マイホーム購入後の3つの状況

住宅ローンを利用して家を買う場合、
購入後の状況として3パターン考えられます。

  1. 返済自体が困難
  2. 返済はできるが、教育資金や老後資金が準備できない
  3. 無理なく返済できる

1と2の状況は避けたいところです。

この記事では、住宅ローン返済が厳しくなる状況とその理由についてまとめました。

1.住宅ローン返済が困難

一番厳しい状況ですが、最終的には競売や任意売却、リースバックといった方法で自宅を手放す必要があります。

住宅ローン破綻率

下表は、住宅金融支援機構(フラット35)のリスク管理債権の割合(貸出金額ベース)を示したものです。

リスク管理債権には、

・破綻先債権
・3か月以上延滞している債権
・貸出条件の緩和(金利の減免、利息の支払い猶予など)


も含まれています。

年度破綻率
平成27年度5.12%
平成28年度4.52%
平成29年度3.94%
平成30年度3.49%
令和元年度3.20%
出典:住宅金融支援機構リスク管理債権

債権額ベースでの割合ではありますが、概ね4%前後で推移しています。

但し、この数字は住宅金融支援機構の数字です。

住宅金融支援機構以外の民間金融機関の方が、貸出時の審査が厳しく、全体に占める住宅金融支援機構の割合を考えると、全体の破綻率はもう少し低くなると思われます。

住宅ローンの返済ができない場合

住宅ローンの返済ができないとなった場合、

「任意売却」や「競売」あるいは「リースバック」といった形で、

いずれにしても家を手放すことになります。

競売

競売
住宅ローンの返済ができなくなり、借入時に担保となっている住宅を裁判所の手続きによって強制的に売却して住宅ローンの残債にあてる手続きのことです。

市場価格よりかなり低い価格での売却を余儀なくされることが多いです。

また、競売となっても住宅ローンが完済できない場合、返済義務は続きます。

任意売却

また、競売の一歩手前の方法として任意売却があります。

任意売却は、

競売になる前に、仲介会社などが債権者(金融機関)と債務者(住宅ローン契約者)の間に入り、売却後、住宅ローン残債が残る場合でも、より市場価格に近い価格で売却することです。

物件にもよりますが、市場価格より低い価格で売却価格を設定することが多いです。

また、任意売却後の残債についても、返済額や返済方法について、債権者(金融機関)と話しあい、返済を続けていく必要があります。

リースバック

リースバックは、

自宅を売却し現金化したあと、賃貸借契約を結び家賃を払いながら住み続けることができる方法です。
将来的には、住み続けたあと自宅を買い戻すことも可能です。

住宅ローン返済の負担は?

前述の調査結果から、おそらく住宅ローン返済ができなくなる方は、全体の2%程度ではないかと予測されます。

ただ、住宅ローン返済ができればよいということでもありません。

下表は、住宅購入後の住宅ローン返済の負担感に関する調査結果です。

非常に
負担感あり
少し
負担感あり
あまり
負担感なし
注文住宅10.8%53.8%27.2%
新築分譲戸建て10.1%59.2%25.9%
既存(中古)住宅5.8%51.1%35.0%

住宅ローンの返済をしている以上何らかの負担感はあるとも言えますが、概ね6割以上の方が住宅ローンの返済に負担感を感じているという結果です。

購入する物件によって違いはありますが、中古住宅より新築住宅を購入した場合に、「非常に負担感あり」の割合が高くなっています。

令和元年度住宅市場動向調査(国土交通省)

2.教育資金や老後資金が準備できない

住宅ローンの返済はできているが、将来必要な資金が準備できないという人もいらっしゃいます。

ライフプラン マイホーム
マイホーム購入後の貯蓄推移

このグラフは、住宅購入後の貯蓄推移をあらわした一例です。

家を買う年齢や貯蓄額、子どもの数や年齢などで当然ですが貯蓄推移は変わります。

ただ、お子様がいる方の多くは、教育資金が一番多くかかる時期(大学進学時やそれが重なる時期)に貯蓄を取り崩す形になります。

また、老後資金についても、年金収入だけで生活できるという方は少なく、リタイア時点の貯蓄を取り崩しながら生活するという場合が殆どです。

ライフプラン マイホーム
マイホーム購入後の貯蓄推移

ですので、もし十分な貯蓄が確保できないとなると、現役期間中の貯蓄が極端に少なくなったり、貯蓄がショートするという方もいらっしゃいます。

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教育資金はいくら必要?住宅ローン返済と教育費の準備
 ~保険?運用?それとも繰り上げ返済?~

老後のための貯蓄額

老後資金についても同様です。

下表は、内閣府が全国の60歳以上の男女3,000人に行った調査です。

  1. 貯蓄総額
  2. 現在の貯蓄額は十分か?
貯蓄総額割合
貯蓄はない8.3%
100万円未満10.8%
100万円~500万円未満18.8%
500万円~1,000万円未満12.1%
1,000万円~2,000万円未満11.2%
2,000万円以上15.6%
未回答23.1%
貯蓄総額
現在の貯蓄は十分か?割合
十分だと思う11.6%
最低限はあると思う32.0%
少し足りないと思う23.9%
かなり足りないと思う27.5%
未回答5.1%
現在の貯蓄額は十分か?

老後資金の必要額は、年金収入やライフスタイル、持ち家か否か等によって変わりますが、こういった調査結果からも過半数以上の方は必要な老後資金が足りていないと考えてよいと思います。

令和元年度 高齢者の経済生活に関する調査(内閣府)

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老後資金はいくら必要?~マイホーム購入と老後の生活の関係~

趣味や生きがいにお金を使えない

マイホーム購入後、

・趣味や付き合いなど好きなことを我慢している
・家族旅行をやめた、減らした
・本当にやりたいことを我慢している

となると、
なんのためのマイホーム購入だったかということになりかねません。

住宅ローンの返済が厳しくなる理由

住宅ローン なんとかなる

住宅ローン返済が厳しくなる理由として、購入後の状況の変化含めいろいろなことが考えられます。

  • 勤務先の業績不振による収入減、リストラ
  • 離婚
  • 転職による収入減
  • 病気やケガ
  • 事業の失敗

など、借入時点では対策が難しいものもあります。

ただ、住宅ローン返済を厳しくなる要因として、家を買うときにしっかりと備えることができることもあります。

予算、住宅ローン借入金額が大きすぎた

収入に対して、マイホーム予算や借入金額が大き過ぎれば返済は当然苦しくなります。

自己資金がなくても住宅ローン借入はできますが、借入ができる金額と返済できる金額は違います

特に、ぺアローンや収入合算を利用する場合、借入金額も大きくなりがちですし、毎月の返済額を減らすためにボーナス返済を安易に活用するのも危険です。

また、年収に対する住宅ローン返済額が占める割合をあらわす返済負担率があります。

家を買う年齢が上昇傾向にある今では、リタイアまでの期間を踏まえた返済負担を考えることも必要です。

頭金なしで住宅ローンを利用している方の破綻率が高いという調査結果もあります。

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 年収だけでなく購入時の年齢で返済負担率を判断

マイホーム購入後の収入・支出の見通しが甘かった

収入に対する見通し

家を買う上でも予算を決める上でも収入見通しが最も重要です。
住宅ローン審査でも最も重要視されるところです。

定年延長や65歳までの雇用義務など、人生100年時代の中で働き方が変わります。

住宅を購入する年齢が上昇傾向にある中、役職定年や再雇用後の収入見通し含め、将来の収入見通しをしっかりと考える必要があります。

また、ペアローンや収入合算を利用する場合、配偶者の収入見通もも住宅ローン返済に影響します。

もちろん、収入見通しをネガティブに考えすぎると住宅購入自体が難しくなりますので、現実的な見通しであれば問題はありません。

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支出に対する見通し

また、購入後の支出について、特にお子様の独立までの節目節目で必要となる資金をしっかりと把握する必要があります。

・子どもの成長に合わせて増える教育費・生活費
・車の購入や維持費
・定期的なメンテナンス費用

など、確実に必要となる支出や今後増えていく支出をしっかりと把握することが必要です。

こういった収入や支出の見通しを把握するための一番の方法は、ライフプランを作成することです。

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金利変動に対する見通し

ここ数年は低金利の状況が続いていますので、金利上昇によって返済額が大きく増えたという方は少ないかもしれません。

ただ、住宅ローン商品によっては、返済額が増える方もいると思います。

例えば、

・期間選択型の住宅ローン(当初10年固定など)で固定期間終了後の金利が上昇
・フラット35で当初5年あるいは10年間の金利優遇期間が過ぎて返済額が増えた

などです。

また、変動金利の金利動向を予測することは難しいですが、金利が上昇した場合の家計への影響をシミュレーションすることは必要です。

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病気やけがへの備え

病気やけが、事故を予測することは難しいです。

ただ、住宅ローンの返済は長期間に渡るものです。

住宅ローン返済中にもし病気やケガで働けなくなった場合に、どういった公的制度や補償が使えるのかを確認することも必要です。

そして、住宅ローンの団体信用生命保険の特約(3大疾病、7大疾病など)や保険で、そういった公的制度では足りない部分を補完するといった備えはできると思います。

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まとめ

住宅ローンの返済が厳しくなる理由や状況は様々です。

病気やけが、事故、離婚、会社の業績不振など、自分自身でコントロールすることが難しいこともあります。

ただ、自分でコントロールできることはしっかりと考えながら、マイホーム購入をすすめる必要があります。

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