日本の空き家問題

日本の空き家問題について新聞やニュース等でも取り上げられることも増えました。

日本の空き家の現状

空き家数 空き家率
全国空き家数・空き家率の推移

平成30年住宅・土地統計調査 調査の結果(総務省統計局)によると、空き家は848万9千戸、総住宅数に占める割合(空き家率)は13.6%と過去最高になています。

空き家数・空き家率の見通し

空き家率の予測

上記は、野村総合研究所による空き家戸数、空き家率の将来予測です。

この調査報告では、既存住宅の除去や住宅用途以外への有効活用がすすまなければ、2033年の空家数は、2,146万戸、空き家率は30.2%まで上昇するという予測をしています。

2018年時点13.6%の空き家率が、15年後(2033年)には30.2%。

予測通りにいくと、実に3件に1件が空き家という状況です。

地域差はあるとしても、3件に1件人が住んでいない…かなりさびしい感じですね。

日本の空き家が増える理由

ただ、数字はともかく今後も空き家は増えると考えて間違いありません。

理由は以下のとおりです。

人口・世帯数減少

既に人口減少、世帯数の減少は始まっており、
2015年国勢調査による1億 2709 万人から
2065年には8,808 万人と推計。

併せて、老年人口割合(高齢化率)は、
2015年の 26.6%から2065年には38.4%へ上昇
と推計されています。

国立社会保障・人口問題研究所平成29年推計

老介護施設や高齢者施設の利用

現在持家を所有されている方でも、高齢になり、自力で生活困難や高齢での1人暮らしへの不安から介護施設や高齢者向け住宅へ転居がますます増加することが予測される。

日本人の新築指向

以前と比較すると、中古住宅の流通量は増えてきています。
ただ、欧米等と比べると新築と中古流通割合には大きな差があります。

全住宅流通量の中古住宅の流通シェアを欧米と比較すると、

  • アメリカ77.6%
  • イギリス88.8%
  • フランス66.4%

に対して、日本は14.7%にとどまります。

その1つの要因として、日本人の新築指向があります。

住宅を分譲するデベロッパーや住宅会社も、
新築の方が売りやすいということもあり、
土地仕入れから新築住宅の供給という流れは続いています。

同時に、
国の税制も中古より新築住宅が優遇されていることも要因です。

国土交通省「既存住宅流通市場の活性化」(令和元年)

中古住宅の評価の問題

日本の中古住宅の評価基準は、欧米などと比べると十分に確立されておらず、本来なら十分に住める住宅でも市場に流通しにくいという日本の不動産・住宅業界の現状があります。

固定資産税の優遇・解体費用の負担

建物が建つ土地は、建物のない土地(更地)に比べ、固定資産税が最大1/6まで優遇される税制上の特例があります。

ですので、建物を取り壊すことができてもそのまま放置する人もいます。
また、取壊しのための解体費用がネックとなる場合もあります。

物件次第ではありますが、古家付の物件は不動産市場で流通しにくいこともあります。

このような現状に対し、
国も『空き家対策特別措置法』などの法律や予算を組んで対策を打ちだしています。

空き家対策特別措置法とは

空き家対策特別措置法とは、
適切な管理が行われていない空家等が防災、衛生、景観等の地域住民の生活環境に深刻な影響を及ぼしており、地域住民の生命・身体・財産の保護、生活環境の保全、空家等の活用のために平成26年11月に制定された法律(国土交通省)

空き家を放置することで、建物の倒壊や火災、地域の衛生上の問題などが発生する可能性があるため、そういった問題に対処するための法律といえます。

具体的には、

  • 倒壊の危険がある
  • 衛生上の有害となるゴミが放置されている
  • 周辺環境を著しく損なっている
  • 近隣住民の生活に負担を与えている

といった空き家は、
「特定空き家」に指定される可能性があります。

自治体から特定空き家に指定されると、

「助言・指導」⇒「勧告」⇒「改善命令」⇒「強制処分」

という段階を踏んで、空き家に対する対策を求められます。

そして、
「助言・指導」に従わず「勧告」を受けた段階で、
建物がある土地に適用される固定資産税の特例対象から除外
されます。

つまり、固定資産税が最大で6倍、都市計画税が最大3倍に跳ね上がることになります。

さらに、行政の指導・助言を無視し続けると、行政によって強制的に空き家が取り壊され撤去費用が請求されることになります。

マイホーム購入時に考える空き家の影響・リスク

では、これからマイホームを購入する際、空き家問題についてどのようなことを注意すべきなんでしょうか?

購入した地域の空き家が多い

住む場所や求める環境は人それぞれです。

ただ、購入から10年、20年と経ち、購入した地域の空き家が増える、空き家率が高いとなった場合、いくつかのリスクもあります。

災害や防犯上のリスク

自宅の隣が空き家、周辺に空き家が多い場合、

  • 台風や地震の際の倒壊の危険性
  • 空き巣や窃盗など防犯上の危険性
  • 空き家から出火した火災で被害を被る危険性

資産価値に対するリスク

そもそも自分の住む地域の空き家が増えると、
防犯上、衛生上、美観上の全ての面で街としての魅力は薄れます。

その結果、その地域に住みたい人も少なくなり、不動産取引の流通量も減ります

そして、最終的には、
所有する自宅の資産価値にも影響する可能性があります。

売却価格が低い、売却したくても買い手がつかないといった事態にも関係してくる可能性があるということです。

家を買う場所を決める際、ライフプラン含め将来的な空き家率や住む街の活力なども考えておくことも重要です。

空き家になる・所有する場合

家を購入したあと、

  • 転勤や異動
  • 相続した住宅に住まない
  • 住み替え
  • 親と同居

などで空き家になるもしくは、空き家を所有することになる場合もあります。

空き家を所有する負担やリスクもあります。

空き家の固定資産税

住まない家でも固定資産税、マンションであれば管理費や修繕積立金などの維持費はかかります。

空き家の管理(建物の所有者責任)

所有する空き家をしっかりと管理していれば問題ありません。

ただ、管理が行き届かず、万が一、近隣や通行している人に対して被害を与えた場合などは、空き家の所有者として責任を問われる可能性があります。

こういったリスクに対して、空き家に対する火災保険もありますが、取扱う保険会社が少なかったり、居住中の物件と比べ保険料が高めになっています。

空き家の管理を業者に委託する方法もありますが、当然管理費は必要となります。

家を買うときに住まなくなることまで考えることは少ないと思います。
ただ、購入後のライフプランも意識しながら、住み替えや相続、売却などの可能性も踏まえてマイホーム購入を考える方が安心です。

まとめ

空き家に関する問題は、将来的にも続きます。
マイホーム購入で空き家に関するリスクとして、

・購入した地域の空き家が増えること
・空き家を所有する可能性

もちろんリスクだけではありませんが、購入時にこういった事態も想定して、

  • 住宅購入後のライフプランをよく考えること
  • 将来の売却、住み替え、相続の可能性
  • (将来的な)空き家率踏まえた場所選び

など考えられてはいかがでしょうか。

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