家を買うときの諸費用とは

家を買うとき、土地建物の価格以外にさまざまな諸費用が必要です。

資金計画を立てるにも諸費用がどれくらいかかるかを把握しておくのは大切です。

物件によっても変わりますが、この記事では、以下の手続きの中で、それぞれのタイミングで発生する諸費用についてまとめています。

1.売買契約

2.住宅ローン契約
(金銭消費貸借契約)

3.引渡し・融資実行

4.引渡し後

資金計画や不動産取引をスムーズに進めるためにも役立て頂ければと思います。

諸費用と頭金の違い

まず、諸費用と頭金が分かりにくいという方がいらっしゃいますので簡単に説明します。

例)4,000万円中古マンションの諸費用と頭金

【必要資金】
物件価格:4,000万円
諸費用:  300万円  
合計:  4,300万円

頭金と諸費用の違い
頭金と諸費用の違い

この必要資金に対して、住宅購入のための自己資金が500万円準備できるとします。

とすると、残り3,800万円を住宅ローンで借入する必要があります。

頭金とは、物件価格から住宅ローン借入金額を引いた資金

を指します。この例でいうと、

4,000万円-3,800万円=200万円

つまり、この事例でいうと、

・諸費用:300万円
・頭金:200万円

ということになります。

【関連記事】
マイホームの頭金とは?頭金の額の平均、相場、自己資金や手付金との違いは?

住宅購入の流れと諸費用

マイホーム購入の一般的な流れの中で必要となる諸費用についてまとめました。

マイホーム購入の流れ

マイホーム購入の一般的な流れ(注文住宅は除く)は、次のように進んでいきます。

1.売買契約

2.住宅ローン契約
(金銭消費貸借契約)

3.引渡し・融資実行

4.引渡し後から入居

売買契約時の諸費用

売買契約時に必要な諸費用として、
印紙税と仲介手数料があります。

売買契約時に準備する資金として「手付金」がありますが、これは諸費用ではなく、売買代金の一部として充当されますので、今回の説明からは外します。

【関連記事】
不動産売買における手付金とは?その意味や相場、頭金との違い

印紙税

不動産売買契約に伴う印紙税です。
契約金額によって税額は異なります。

契約金額本則税率軽減税率
100万円超え500万円以下2,000円1,000円
500万円超え1,000万円以下10,000円5,000円
1,000万円超え5,000万円以下20,000円10,000円
5,000万円超え1億円以下60,000円30,000円
1億円超え5億円以下100,000円60,000円

令和6年3月31日まで軽減税率により、本則の税率から軽減されています。
表は、契約金額100万円超え5億円以下を抜粋

但し、電子契約ですすめる場合、この印紙税はかかりません。

仲介手数料

不動産会社の仲介を通して購入する場合、必要となる仲介手数料です。

一般的に、売買契約時に仲介手数料の半金、残りを引渡し時に支払う会社が多いです。

売買金額仲介手数料(上限)
200万円以下の部分売買価格×5%+税
200万円超え400万円以下の部分売買価格×4%+税
400万円を超える部分売買価格×3%+税
※契約金額に消費税は含みません

分かりにくいですが、契約金額が400万円を超える場合

売買金額×3%+6万円 +税

で計算できます。

ただこれは仲介手数料の上限を示したものです。

不動産会社、購入物件によって異なる場合があります。

【関連記事】
知っておきたい不動産取引における仲介手数料とは?

住宅ローン契約時の諸費用

住宅ローンの契約(金銭消費貸借契約)に伴う、印紙税が必要です

契約金額本則税率
100万円超え500万円以下2,000円
500万円超え1,000万円以下10,000円
1,000万円超え5,000万円以下20,000円
5,000万円超え1億円以下60,000円
1億円超え5億円以下100,000円

こちらもネット銀行を中心に電子契約によって金銭消費貸借契約を締結する場合、印紙税は不要となります。
ただ、銀行によって、電気契約事務手数料といった名目で手数料が発生する場合があります。

住宅ローン契約に必要な事務手数料や保証料といった諸費用は、住宅ローン契約時ではなく、融資実行時に支払うことから後述します。

不動産購入仲介

3.引渡し・融資実行時の諸費用

家を買う 諸費用

家の購入に伴う諸費用の殆どは、
引渡し時(融資実行と同時)に清算されます。

登記関連費用

登記に関連する費用として、
登録免許税や司法書士報酬が必要となります。

○登録免許税

登記は、現在の不動産の権利関係を登記簿に載せることをいいます。

不動産の売買を原因として、その不動産の権利関係が変わったことを証明するもので、その際にかかる税金が登録免許税です。

所有権保存登記、所有権移転登記は、
固定資産税評価額に規定の税率をかけたもの

抵当権設定登記は、
債権額(住宅ローン借入金額)に税率をかけたもの

で計算されます。

○司法書士報酬

自分で登記手続きしたいという方もいますが、殆どの場合、登記にかかる一連の事務作業を報酬を払って司法書士に委任します。

司法書士報酬は登録免許税と違い、司法書士によって差が出ます。

住宅ローン関連費用

住宅ローンの諸費用として、
事務手数料、保証料、もしくは融資事務手数料が必要となります。

住宅ローンの諸費用は、
保証料型と融資事務手数料型に分けられます。
(金融機関によって取り扱いは異なります)

保証料型

保証料とは、

住宅ローンの債務者が返済ができなくなった場合に、保証会社が代わりに金融機関に返済するための費用です。

保証料は、2つの支払い方法があります。

  • 外枠方式(一括前払い)
  • 内枠方式(金利上乗せ)

外枠方式の場合、融資実行時に一括で支払います。

一方、内枠方式の場合、金利に上乗せし毎月の返済額の中で返済していくため、準備する諸費用は少なく済みます

一例として、りそな銀行で3,800万円の借入金額の場合、

外枠方式の場合
 783,332円(返済期間35年の場合)となります。

内枠方式の場合、
 上乗せ金利は0.2%です。(2021年8月)

融資事務手数料

融資事務手数料とは、

住宅ローンの借入に際して、金融機関に手数料として支払うものです。

融資事務手数料には、2種類あります。

  • 定率型
  • 定額型

定率型の場合、借入金額に対して一定の利率をかけた手数料を支払います。

多くの金融機関では、2.2%(税込)としています。

3,800万円の借入金額の場合、
融資事務手数料は、
836,000円(税込)となります。
 ※借入金額×2.2%

一方の定額型は、数万円の事務手数料で、
その代わり金利が上乗せされる場合が多いです。
(定額型の融資事務手数料の取り扱いがない金融機関もあります)

・保証料型か融資事務手数料型か
・保証料外枠方式か内枠方式か
・融資事務手数料が定率型か定額型か

何を選ぶかによって、準備する諸費用は変わります。

また、金融機関によって、

・保証料型のみ
・融資事務手数料型のみ
・保証料型と融資事務手数料型両方


と取扱う商品は異なります。

火災保険料

火災保険料について、
年払い、5年払い、10年一括払いなど保険会社によって支払い方法があります。

現在は火災保険の長期契約は10年まで可能ですが、10年分の保険料(地震保険は最長5年)を一括で支払う場合は、まとまったお金が必要となります。

長期一括払いの方が、保険料は割安となります。

固定資産税清算金

固定資産税・都市計画税は、
毎年1月1日の所有者に対して課税されます。

ですので、売主が支払った1年度分の固定資産税について、

・引渡し日前日まで売主負担
・引渡し日以降を買主負担

として日割り計算で清算します。

管理費等清算金

マンションの場合、管理費や修繕積立金について清算金が必要となります。

管理費等についても、固定資産税同様、引渡し日を基準に清算します。

【関連記事】
中古マンション購入前に確認~管理費と修繕積立金は適正?相場は?~

修繕積立金基金

修繕積立基金は、
新築マンションを購入した場合に、
毎月の修繕積立金とは別に一時金として支払うものです。

「修繕積立準備金」、「修繕積立一時金」ということもあります。

10年から15年後の大規模修繕工事に備え、毎月の修繕積立金の額を抑えるために集められる費用です。

長期修繕計画に基づいて決められますが、数十万円単位の費用となることも多いです。

また、修繕積立基金以外に、管理費や修繕積立金の前納分(1か月分)が必要です。

適合証明書交付手数料(フラット)

フラット35を利用する場合、購入する建物が一定の技術基準を備えていることが必要です。

その基準をクリアすることを証明するのが適合証明書です。

発行費用については、購入する物件や住宅会社、依頼する会社によって異なります。

住宅ローン代行手数料等

新築マンションや新築戸建てで多いですが、
諸費用明細に、

「住宅ローン代行手数料」
「住宅ローン事務手数料」などの名目で、

33,000円~の費用が計上されている場合があります。

これは住宅ローン契約時の金融機関に支払う事務手数料ではありません。

新築マンションの販売会社や住宅会社に、
住宅ローンの借入手続きを行う手数料として支払う費用です。

ただ、
この費用は当然に支払う必要はありません。

住宅ローンの選択肢は、販売会社や住宅会社の提携ローン以外にも数多くあります。

また、代行といっても実質の手続きは金融機関が行うことであり、買主が自身で行うことができるものです。

こういった根拠がよく分からない費用は、諸費用明細に計上されていても当然に支払うべきものではありません。

4.引渡し後の諸費用

最後に引渡し後にかかる費用についてです。

不動産取得税

不動産を取得した場合にかかる税金で、
取得から6か月~に各都道府県から納税通知書が届きます。

但し、居住用の土地建物について、軽減の特例がありますので、不動産取得税がかからない場合もあります。(2021年8月)

引越し費用・家具等の購入費用

新居の引越し費用、家具購入費用等が必要です。

新築の場合、テレビアンテナの設置やネット回線の引込なども必要ですし、カーテンレールや網戸、玄関ポストなどを自分で設置しなければならない場合もあります。

また、中古の戸建てやマンションでリフォームなど伴う場合は、引渡しから入居までの家賃、退去時にかかる費用などを踏まえておく必要もあります。

神戸阪神間の不動産購入

まとめ

ここまで住宅購入の諸費用についてまとめてきました。

物件や購入時の状況によっても変わりますが、
概ね、諸費用の目安として、

  • 新築の場合:購入価格の4~7%
  • 中古の場合:購入価格の6~10%

です。

住宅ローンの諸費用などは、融資額から差し引いて振り込まれる場合も多いです。

必要な諸費用とタイミングについて、マイホーム購入の資金計画の参考にして頂ければと思います。

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