はじめに
家を買うとき、
・できるだけ安く買いたい
・予算を少し超えるが買いたい
・相場より少し高いが買いたい
といったことがあります。
そんなとき、不動産取引においても価格交渉という方法がありますが、初めてのマイホーム購入、どのようにすべきか、またうまくやるにはどうすればよいかよく分からないといった感じではないでしょうか。
- 価格交渉のやり方
- 価格交渉の前に知っておくこと
- 価格交渉をしやすくするコツ
- 価格交渉しやすい時期・タイミング
- 価格交渉が難しい場合
この記事は価格交渉について解説します。
価格交渉によって物件価格を抑えることができれば、住宅ローン借入金額、諸費用なども抑えることにつながりますので、これから物件探しをする方は是非参考にして下さい。
価格交渉のやり方
不動産取引の中において、価格交渉するタイミングとやり方があります。
取引の中で価格交渉をするタイミング
価格交渉はいつでもできるわけではありません。
「この物件を買いたい」という意思が固まった
段階で行います。
購入の意思が固まっていない段階ではできません。
・「この物件の値段これくらいになりますか?」
・「いくらまで値引きに応じてもらえそうですか?」
つまり価格交渉は購入を前提として行われます。
但し物件によっては、売主側から価格調整が可能といった打診がある場合もあります。
価格交渉の方法
そして、価格交渉は、不動産購入申込書という書面で行います。
「この価格・条件で購入したい」正式な意思表示
を書面で署名・捺印して行います。
そして、不動産会社が仲介に入っている場合、仲介会社を通じて行います。
不動産購入申込書に決まった雛形があるわけではありません。
購入者側の不動産会社が準備したり、売主側から指定の書面で行います。
価格交渉の前に知っておくべきこと
価格交渉を行う上で、買主としてできるだけ知っておいた方がよいことがあります。
- 売却理由・売主側の状況
- 両手仲介か片手仲介か?
- 売出価格の決まり方
売却理由・売主側の状況
売主が個人の場合と業者の場合があります。
個人の方が売主の場合、売却理由は聞くようにしましょう。
それによって、売却期間の希望などを知ることができる場合もあります。
また、業者売主の場合、仕事として経費やリスクを負って販売活動をしています。
ですので、個人売主の方以上に、販売価格つまり利益に対するこだわりは強くなります。
ただ、個人の売主の場合、これまで長年住み続けてきた家に愛着や思い入れがある場合もあります。
あまり価格交渉しすぎると、この人には売りたくないといった感情も出てくる場合もあります。
両手仲介か片手仲介か?
不動産会社を通して物件を内覧、購入する場合、間に入る不動産会社の数によって、両手仲介と片手仲介があります。
片手仲介
売主もしくは買主どちらか一方のみを仲介する場合
両手仲介
売主と買主、両者を仲介する場合
もし、買主であるあなたの不動産会社が買主側のみ仲介する不動産会社であれば、買主の利益のために行動し、買主だけから報酬をもらいます。
一方、両手仲介、つまりあなたの不動産会社が売主側の仲介会社でもある場合、その不動産会社は、売主と買主の相反する利益を調整する必要があります。
そして、取引が成立した場合、売主と買主両方から報酬をもらうことができます。
価格交渉する上でも、この違いを知って意識しておきましょう。
売出価格の決まり方
業者売主の場合、売出価格は、販売経費や利益を見込んで価格は決められます。
一方、個人売主の場合、売主側の不動産会社が取引事例などを参考に売却価格を査定し、売主に提案、相談しながら決まります。
つまり、売出価格の提案をするのは、査定する不動産会社です。
この場合、大きな価格交渉すると、売主側の仲介会社にとっては、提案した売出価格とかけ離れた取引を受け入れることになります。
価格交渉が入ることを前提に売出価格を決めている場合もあります。
価格交渉をしやすくするコツ
では、価格交渉をしやすくするコツはどういったことが考えられるでしょうか?
価格交渉をしやすくするポイントは、
- 売主に取引相手として安心感を持ってもらう
- 売主に購入の本気度をしっかり伝えるる
ことです。
売主にとって売却価格は重要事項ですが、同時に、不動産取引を最後まで安心、確実にすすめていける相手であることも重要です。
この点踏まえ、価格交渉をしやすくするコツを4つ挙げました。
住宅ローン事前審査
住宅ローン事前審査を通していると、高い確率で住宅ローン本審査を通すことができます。
売主側は、売買契約後、買主の住宅ローン承認が得られず、住宅ローン特約で契約が流れてしまうことを最も恐れます。
ですので、住宅ローン事前審査を通しておくことで、売主さんに取引の安心感をもってもらうことで価格交渉はしやすくなります。
ただ、事前審査がないと購入申込ができない場合もあります。
手付金の額・リフォーム見積り
不動産の売買契約では、成立の証として、また引渡しまでの権利関係を安定させるために手付金を交わします。
この解約手付を兼ねる手付金の額をある程度入れることで、契約条件と買主の本気度を売主に伝えることができます。
また、リフォームが必要な場合など、リフォームにかかる費用の見積りをとることで、価格交渉の材料になったり、購入意思の強さを伝えることができます。
価格交渉しやすいタイミング

また、価格交渉をしやすいタイミングを考えることも大切です。
売出・価格変更からの期間
売出からの期間が長ければ、基本的に価格交渉はしやすくなります。
ですので、売出開始時期を不動産会社通じて確認しましょう。
ただ、途中、価格変更(値下げ)をしている場合などは、変更まもないタイミングではさらなる交渉は難しい場合もあります。
また、1つの節目として、売出から3か月近くになる時期があります。
これは、売主と不動産会社が、売却依頼のための媒介契約書の契約期間(最長3か月更新)の更新時期を迎えるタイミングという意味です。
つまり、売却を依頼された不動産会社も、なかなか売れない、反響が少ないとなると、媒介契約更新のタイミングで更新できない可能性があります。
ですので、買主側の価格交渉に対しても、売主さんの説得を頑張るかもしれません。
決算時期
業者売主の物件であれば、決算時期も踏まえ販売計画を立てていることも少なくありません。
会社にとって、値下げしてでも売上を上げたいと考えやすいタイミングでもあります。
住み替えの場合
売主さんの売却理由が住み替えの場合があります。
加えて、売主さんが住み替え先の購入を先行させていて物件も決まっている場合、できるだけ早く、一定の期限内に売りたいという場合もあります。
住み替えのすすめ方にも左右されますが、そういった場合、価格交渉にも応じてもらいやすいことがあります。
価格交渉が難しい場合
最後に、価格交渉が難しい物件やタイミングもあります。
一般的に価格交渉が難しいと考えられるケースを4つ挙げてみました。
売出からの期間が短い
売出からの期間が短ければ価格交渉は難しくなります。
売れる物件は本当に早いですが、売出価格を決める際にも、一般的に3か月以内に売却できそうな価格設定を考えます。
また、前述の売主と不動産会社との間で交わす売却のための媒介契約の更新期間も3か月(上限)となっています。
売出価格を提案する売主側仲介会社としても、売却活動を始めてすぐに価格交渉に応じたとなると、もともとの価格設定は何だったのかということになります。
人気物件・競合した場合
当然ですが、他の買主と競合するような人気物件、希少性の高い物件では、価格交渉は難しくなります。
特に、競合する買主がいる場合、価格交渉することによって買いたい物件が買えなかったとなりかねません。
売主側の事情・任意売却物件
売主さんの事情で売却価格を下げられない場合もあります。
住宅ローンが残っていて、完済するためにそれ以上売却価格を下げれない場合もあります。
また、任意売却物件は、基本的に価格交渉はできない場合が多いです。
任意売却とは、
住宅ローン返済を一定期間滞納したのち、競売になる前に、債権者(金融機関)の合意のもと、一般の不動産市場で売却する手続きをいいます。
つまり、任意売却の場合、通常の売却と異なり、売出価格を売主と仲介会社で決めるわけではなく、債権者(金融機関)の合意のもと価格が決められています。
この場合、価格交渉だけでなく、契約不適合責任も免責となります。
新築・未完成物件
一般的には、中古物件より新築物件のほうが売れやすい反面、価格交渉はしにくいです。
特に、完成前のタイミングでは価格交渉は難しくなります。
完成前は内覧できない検討者も物件のイメージがしにくく決まりにくい場合もありますが、完成後は物件を内覧し、売れる可能性が高くなると売主も考えます。
ただ、新築でも、もともとの値引き交渉前提の価格設定であったり、完成後の反響が悪い、といった場合、価格交渉ができるケースもあります。
まとめ
- 価格交渉のやり方
- 購入の意思が固まったとき
- 不動産購入申込書(書面)で行う
- 価格交渉の前に知っておきたいこと
- 売却理由・売主側の状況
- 片手仲介か両手仲介か
- 売出価格の決まり方
- 価格交渉をしやすくするコツ
- 住宅ローン事前審査
- 手付金の額。リフォーム見積り
- 価格交渉しやすいタイミング
- 売出・価格変更からの期間
- 決算時期
- 住み替えの場合
- 価格交渉が難しい場合
- 売出からの期間が短い
- 人気物件・競合物件
- 売主側の事情・任意売却物件
- 新築・未完成物件