中古マンションの評価を左右する要素

家・不動産購入の難しさの1つに、1つ1つ違う個別性の高い商品であることが挙げられます。

それが中古住宅となると、建物の状態含め、1つ1つの違いますので、新築以上に物件評価に違いが出やすくなります。

この記事では、

●中古マンションの評価に影響する条件
●その中で価格や将来の資産性に影響を与えやすい条件

についてまとめました。

中古マンションを選ぶ際の参考にして頂ければと思います。

マンションの敷地権には、
所有権以外に賃借権や地上権、定期借地権などがあり、価格や評価は大きく異なります。

この記事では、マンションの敷地権が所有権という前提とさせて頂きます。

中古マンションの評価に影響する16の要素

中古マンションの評価を左右する条件を以下挙げてみました。

①購入する街、地域

不動産は、地域やその街の影響を受けます。
中でも、不動産を査定する際の基準である「流動性」に影響します。

流動性とは、分かりやすく言うと、
その地域で不動産売買がどれくらい活発に行われているか?
という指標です。

また、地域性の基準として用途地域があります。

大きく分けると住居系、商業系、工業系と分けられますが、用途地域によって、現在の住環境だけでなく、将来建てられる可能性のある建物を予測することもできます。

用途地域は、
建てられる建物の用途や大きさによって13地域に分かれています。
地域ごとに目的が、住環境の維持、商業活動の促進、工業活動の利便性をどこまで促進するかなど違いがあります。

②立地条件(≒交通、生活利便性)

交通利便性については、

・特急、急行などの停車駅か?
・ターミナル駅か?

最寄り駅からの時間

などです。

生活利便性については、

・買い物施設の数
・大型商業施設、商店街などの充実度

・病院や公共施設の数、場所
・保育園や幼稚園の数
・小中学校までの距離

などが挙げられます。

③周辺環境

周辺環境を左右するものとして、

住環境としての落ち着き
公園や自然の多さ
治安の良さ
嫌悪施設の有無
 (ごみ処理、下水処理、火葬場、高圧線など)

などが挙げられます。

また、用途地域によっても、周辺環境は大きく変わります。

例えば、第1種低層住居専用地域では、低層かつ建物の用途も限定されていますので、落ち着いた住環境を維持しやすい反面、買い物など生活利便性は低いといった場所もあります。

④ハザードマップ

ハザードマップは、国や自治体で想定される水害や土砂災害などのリスクをあらわした地図です。

不動産取引においては、2020年8月から重要事項説明でハザードマップ上での物件所在地の説明が義務付けられています。

⑤専有面積

当然ですが、専有面積の広さによって評価は変わります。

また、マンションの場合、管理費や修繕積立金、固定資産税などの維持費も専有面積に比例します。

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⑥間取り

マンションの間取りは、1Kから4LDKなどいろいろですが、地域によって需要も異なります。

また、例えば同じ3LDKの間取りでも、田の字型、センターインなど特徴ががあります。

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⑦築年数

築年数は、マンション選びの大きな条件です。

築年数による耐震性の違い(旧耐震か新耐震か)や建てられた時期によって、住宅性能(住宅性能表示、長期優良住宅)などの違いもあります

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⑧眺望・所在階

マンションを検討される方で、眺望を気にされる方は少なくありません。

ですので、眺望の良し悪しはマンションの評価の1つとなります。

ただ、眺望と言っても、マンションの立地やバルコニーの向き、周辺建物などで得られる眺望は異なります。

ですので、物件次第で「高層階=眺望が良い」とも限らないのですが、高層階の方が高く評価されます。

また、所在階については、3階を基準としてそれより高層か低層かで評価される傾向で、最上階か否かで評価は変わる傾向です。

⑨住戸の配置

その物件がマンション内のどの場所に位置するかは、住環境や価格に影響します。

また、角部屋か中住戸かの違いもあります。
それに合わせて、主要開口部の向き、基本的に南向きから東→西→北といった順で評価される傾向です。

主要開口部が2か所ある間取りなどはプラス要素に働きやすくなります。

⑩住環境の良好さ

  • 日当たり
  • 通風
  • 騒音
  • 振動

など、住環境を左右する大きな条件です。

日当たりは前述の間取りや住戸の配置に左右されますが、マンション評価の大きなポイントと言えます。

⑪総戸数

総戸数は、極端に少ないと、管理組合の運営面や将来の維持管理費の負担は大きくなる傾向です。

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⑫共用施設の充実度

比較的、タワーマンションや総戸数の多い大規模マンションで共用部が充実していることが多いです。

  • ラウンジ
  • パーティルーム
  • キッズルーム
  • 敷地内公園
  • トレーニングジム

などありますが、一方で共用施設が充実している分、管理や維持費などへの影響もあります。

評価はマンションの戸数など含め、ケースバイケースで変わります。

⑬管理状況

マンションは良好な住環境を維持する意味でも、資産価値という意味でも管理状況は非常に重要です。

管理組合がうまく機能しているか否で、

  • 長期修繕計画
  • 修繕積立金のストック状況
  • 管理費や修繕積立金の滞納
  • 敷地内の保守、点検
  • 修繕履歴

といったところに違いが出ます。

⑭管理人の管理形態

多くの管理組合が共用部の管理を管理会社に委託し、管理人を配置しています。
その管理人の形態には、常駐、日勤、巡回があります。

⑮設備や仕様、内装のグレード

マンション共用部分や部屋のフローリング、キッチン設備など内装の仕様や設備の違いです。

  • 宅配ボックス
  • 24時間ゴミ出し
  • 床暖房
  • 浴室乾燥機
  • 食洗機

などをはじめ、さまざまな設備があります。

⑯マンションブランド・施工会社

新築分譲時のデベロッパーや施工会社です。
三井、住友、野村など大手デベロッパー、また、施工会社でも大林組や清水建設、竹中工務店など大手含めさまざまです。

また、タワーマンションなどで使われる免震あるいは制震構造などの施工技術や実績に安心感や価値を感じる方もいらっしゃいます。

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不動産物件診断

中古マンションの価格に影響するもの

では、これまで見てきた17の中古マンションの条件のうち、特に売出価格に影響しやすいものはどれなんでしょうか?

中古マンションの価格の決まり方

中古マンションの売出価格は、不動産業者の査定に基づき、売主さんと相談して決定されます。(個人売主の場合

業者売主の再販物件は、仕入れた物件価格に営業経費や利益をのせて販売されるため、個人売主の場合と価格の決まり方に違いがあります。


そして、中古マンションの査定では、取引事例法という近隣もしくは同一マンション内での取引事例と比較しながら価格を決めるケースが多いです。

この査定において、前述の16の条件の中で、価格に反映されやすい条件は以下のものです。

  • ①購入する街・地域
  • ②立地条件
  • ⑤専有面積
  • ⑦築年数
  • ⑧眺望(≒所在階として)
  • ⑨住戸の配置
  • ⑩住環境の良好さ
  • ⑬管理状況

この中でも、特に価格面への影響が大きいのは、
①②⑤⑦⑬という条件と考えられます。

ただ、逆に言うと、これ以外の条件は、価格に反映されない場合もあるということです。
例えば、新築時のマンションデベロッパーやこだわった仕様や設備などは中古マンション購入時の価格にはあまり影響しないといえます。

また、管理状況は非常に重要な条件ですが、管理状況の良し悪しを価格には反映するのは簡単ではありません

中古マンションの資産性に影響するもの

マイホームを購入する際、永住志向かそれとも将来の売却を想定するかで求める資産性は変わってきます。

では、将来の資産性に影響しやすい条件はどういったものが考えられるでしょうか。

  • ①購入する街・地域
  • ②立地条件
  • ④ハザードマップ
  • ⑤専有面積
  • ⑥間取り
  • ⑪総戸数
  • ⑬管理状況

①地域②立地④災害リスク

将来の資産性という意味では、ますます進む人口減社会、行政コストとの関係から、購入する地域や立地条件がより重要になります。

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また、それに加えて、現在一戸建てほどハザードマップ(災害リスク)の評価はされていないマンションですが、今後、評価基準としてますます重要になると考えられます。

ハザードマップは節目で更新されていくものです。
ですので、今現在ぎりぎり浸水エリア外あっても、将来含まれることもあるという視点も必要かもしれません。

⑤専有面積・⑥間取り

専有面積と間取りはセットで考える必要があります。

将来その地域の住居ニーズに合致しない専有面積や間取りは、資産価値は維持しにくくなります。

逆に、流通戸数が少なめの物件は資産性が高く維持される可能性も高くなります。

⑪総戸数・⑬管理状況

管理状況が悪く、必要な修繕費用がストックされていない、管理費や修繕積立金の滞納が多いマンションは、買い手がつきにくく、売れにくいマンションとなっていきます。

また、総戸数は、前述の通り、管理組合の運営負担や管理費、修繕積立金の負担に直結するものです。
総戸数が極端に少ないと、将来の維持費が高くなり売りにくい、貸しにくいマンションとなる可能性があります。

加えて、注意すべきは、管理組合を構成する住民層です。
管理組合の高齢化はこれからも進んでいきます。ですので、購入時点での管理組合の年齢層などもできれば確認したいところです。

さらに、投資用のマンションの戸数の割合が高いマンションなども、管理組合の運営面でマイナスに働く可能性は高くなります。

まとめ

ここまで中古マンションの条件、またその中で価格や将来の資産価値に特に影響が大きいと考えられる条件をまとめました。

不動産は1つ1つ違いますので、当てはまらないケースや例外の物件もあります。

大切なのは、自分が家を買う目的や優先順位をしっかりと把握した上で、1つ1つの条件をチェックすることです。

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