投稿日:2022年3月23日 | 最終更新日:2023年10月11日

30年後に後悔しない中古マンション選び

中古マンションは新築マンションと比べて選択肢は多くなります。
ただ、選択肢が多い分迷うこともありますし、建物や設備に関する不安を感じることもあるでしょう。

この記事では、中古マンション選びのポイントと注意点について解説します。

●中古マンション選びのポイント
●不動産会社の選び方

価格・将来の資産価値に影響するポイント

100点満点の物件に出会えることも少ないですし、予算的にも何かを優先して何かを妥協しなければならないこともあります。
中古マンション選びの参考にして下さい。

中古マンション選び方のポイント

中古マンションは、使われ方によって1つ1つ異なり、評価に違いが出やすいです。

中古マンション選び13のポイント

  1. 購入する場所・地域
  2. 立地条件
  3. 周辺環境
  4. 住んでいる人
  5. 間取り専有面積
  6. 築年数
  7. 所在階・眺望
  8. 住戸の配置
  9. 住環境の良好さ
  10. 総戸数
  11. 共用施設
  12. 管理状況
  13. 設備や使用

①購入する場所・地域

不動産の購入は、物件だけでなくその場所や環境を同時に購入するものです。

購入する街や地域を決めるときのポイントとして3つあります。

  • 資産価値
  • 用途地域
  • ハザードマップ

資産価値

将来の売却や住み替えなどをしっかりと考えたマンションを購入したいとなれば資産性が大切になります。

購入地域(エリア)は、不動産の資産価値に直接影響します。
住む街や地域によって、不動産を査定する際の「流動性」が異なります

流動性とは、簡単にいうと、
その地域で不動産売買がどれくらい活発に行われているか?という指標です

ですので、物件自体が良くても購入する場所によっては資産性が維持しにくく、将来の売却、住み替え時に後悔するといったことにもなりかねません。

用途地域

用途地域
建てられる建物の用途や規模によって13地域に分かれています。
大きく住居系、商業系、工業系と分けられ、地域ごとに住環境の維持、商業活動の促進、工業活動の利便性の促進など目的によって建てられる建物が違います。

用途地域は、地域によって現在の住環境だけでなく、将来建てられる可能性のある建物を予測できます。

例えば、第1種低層住居専用地域では、低層かつ建物の用途も限定されていますので、落ち着いた住環境を維持しやすい反面、買い物など生活利便性は低い場所もあります。

一方、商業系の地域では、隣接する場所に建てられる施設によって住環境が大きく変わる可能性もあります。

  • どういった建物が建つ可能性があるか
  • 将来の資産価値に影響しないか
  • 長く住む環境として後悔しないか

こういった視点で用途地域をチェックすることも必要です。

ハザードマップ

ハザードマップは、国や自治体で想定される水害や土砂災害などのリスクをあらわした地図です。

不動産取引では、2020年8月から契約前の重要事項説明でハザードマップ上での物件所在地の説明が義務付けられています。

マンションは一戸建てと比べると災害の影響は直接受けにくいですが、立地条件や所在階によって影響は異なり将来の資産価値にも関係します。

ハザードマップポータルサイト
 (国土交通省)

②立地条件(≒交通、生活利便性)

立地条件を考える際に交通利便性生活利便性という視点があります。
生活や通勤の便利さに影響するだけでなく、資産性にも直接関係します。

交通利便性

交通利便性を左右する主なポイントは次のとおりです。

  • 停車駅(特急や急行など)
  • 利用できる沿線数
  • ターミナル駅か否か・駅の利便性
  • 最寄り駅からの距離
  • 都市部までのアクセス時間

生活利便性

生活利便性を左右する主なポイントは次のとおりです。

  • 買い物施設の数
  • 大型商業施設、商店街などの充実度
  • 病院や公共施設の数、場所
  • 保育園や幼稚園の数
  • 小中学校までの距離

特に、これまで住んだことのない地域でマンションを購入する際は、交通利便性や生活利便性をしっかりとチェックすることが大切です。

用途地域によって建てられる建物の種類や規模も異なりますので、用途地域も意識しながらチェックしてみてください。

③周辺環境

マンションの周辺環境を左右するものとして、以下のようなものが挙げられます。

  • 前面道路(幹線道路等)の交通量
  • 隣接する建物の種類(商業施設やオフィスビル等)
  • 公園や自然の多さ
  • 治安の良さ
  • 嫌悪施設の有無
    (ごみ処理、下水処理、火葬場、高圧線など)

低層階だと周辺に建てられる建物によって日当たりや眺望、風通しなどの影響を受けやすくなります。

④住んでいる人

マンション購入では、隣接する住戸、管理組合を構成する層、周辺地域の住民層と3つのレベルでどういう人が住んでいるかを確認するのがおすすめです。

中古マンションの場合、売主を通じて隣の人や入居者層についてヒアリングできます。

また、エントランスの掲示板には、マンション内で起こっている問題などが掲示されている場合があります。

⑤間取り・専有面積

マンションの間取りは、1Kから4LDKなどいろいろですが、同じ3LDKの間取りでも、田の字型やセンターイン、ワイドスパンなどいくつかタイプがあります。

また、専有面積にも壁芯面積内法面積があります。

壁芯面積
 壁の中心線で囲まれた面積
 内法面積
 壁の内側で囲まれた面積

物件資料で表記される面積は、通常壁芯面積ですので、実際の有効面積(内法面積)より狭くなります。

一方、住宅ローン減税の適用条件などで基準となる面積は内法面積となっていますので注意しましょう。

また、マンションの管理費や修繕積立金、固定資産税など専有面積に比例しますので、広ければ広いほど維持費が高くなります。

⑥築年数

築年数は、価格に直接影響するマンション選びの大きな条件です。

築年数によって、住宅性能や耐震性の違い、修繕積立金など維持費も異なります

また、旧耐震基準含め築年の経過したマンションを購入する場合は、住宅ローン減税や審査への影響も踏まえる必要があります。


中古マンションの買い時については、下記の記事で解説しています。

⑦眺望・所在階

マンション購入にあたって眺望を気にされる方は少なくありません。

ただ、眺望と言っても、所在階だけでなく立地やバルコニーの向き、周辺の建物などで眺望は異なります。

また、所在階については、3階より高層か低層か、また最上階か否かで評価は変わる傾向です。

⑧住戸の配置

その物件がマンション内のどの場所に位置するかは、住環境や価格に影響します。

角部屋か中住戸かの違い主要開口部の向き、基本的に南向きから東→西→北といった順で評価される傾向です。

主要開口部が2か所ある間取りなどはプラス要素に働きやすくなります。

⑨住環境の良好さ

住環境を左右する主な条件は次の4つです。

  • 日当たり
  • 通風
  • 騒音
  • 振動

日当たりはベランダ方角や住戸の配置、間取りに左右されます。
夏場と冬場の違いなど意識しながら確認しましょう。

また、マンション総合調査(平成30年)によると、マンション内のトラブルの最も多い要因となっているのが音の問題(38%)です。
上下階含めた隣接住戸からの音、前面道路や鉄道、隣接施設からの音など確認が必要です。

マンション総合調査(平成30年)
(国土交通省)

⑩総戸数

総戸数は、管理組合の運営や将来の管理費や修繕積立金の負担に影響します。

また、総戸数に加えて、空き家戸数や賃貸割合、また間取りが混在するマンションであれば、単身世帯の割合もあわせて確認しましょう。

やはり、空き家や賃貸割合、単身世帯が多くなるほど管理組合の運営は難しくなる傾向があります。

⑪共用施設

タワーマンションや総戸数の多い大規模マンションで共用部が充実している傾向です。

  • ロビー・ラウンジ
  • パーティルーム
  • キッズルーム
  • 敷地内公園庭園
  • トレーニングジム
  • フロント/コンシェルジュ
  • 宅配ボックス

共用施設が充実している分、管理費や維持費が高くなる傾向です。自分にとって必要な施設か否かも含めて確認しましょう。

⑫管理状況

マンションは良好な住環境を維持する意味でも、資産価値という意味でも管理状況は非常に重要です。

管理状況を確認するポイントはいくつかあります。

  • 長期修繕計画
  • 修繕積立金のストック状況
  • 管理費や修繕積立金の滞納
  • 敷地内の保守、点検状況
  • 修繕履歴
  • 総会議事録

購入を検討したいマンションについては、事前に管理に関する重要事項調査報告で確認しましょう。

⑬設備や仕様のグレード

マンション共用部分や部屋、キッチンの設備、内装の仕様などです。

  • 24時間ゴミ出し
  • TVモニター付インターホン
  • 床暖房
  • 浴室乾燥機
  • ミストサウナ
  • 浴室テレビ
  • 食洗機
  • 浄水器
  • ディスポーザー

設備や仕様は、住み心地や利便性、防犯性に影響するものですが、専有部分の設備に関しては自分で維持管理を行う必要があります。

中古マンションの不動産会社の選び方

中古マンションを購入するにあたって不動産会社選びもポイントとなります。

  • 大手不動産会社
  • 地域密着の中小不動産会社
  • マンション専門の会社
  • リフォームやリノベーション提案が強い会社
  • 賃貸がメインの会社

スーモなどの不動産ポータルサイトで気になる物件を見つけて、そのまま問合せする方も多いと思いますが、資金計画や住宅ローン、リフォームなどの提案力も不動産会社や担当者を選ぶ大切な要素です。

ホームページで会社や担当者の経歴や取扱実績、エリアの強みなどチェックしたり、電話やオンライン面談で提案内容や対応を確認するなどの方法が考えられます。

中古マンションの価格・資産性に影響するもの

では、これまで見てきた13の中古マンションのポイントのうち、特に売出価格と将来の資産性に影響しやすいものはどれなんでしょうか?

中古マンションの価格に影響しているもの

中古マンションの売出価格は、不動産業者の査定に基づき、売主さんと相談して決定されます。

業者売主の再販物件は、仕入れた物件価格に営業経費や利益をのせて販売されるため、個人売主の場合と価格の決まり方に違いがあります。


そして、中古マンションの査定では、取引事例法という近隣もしくは同一マンション内での取引事例と比較して価格を決めます

前述の13のポイントうち、査定価格にダイレクトに反映されやすいポイントは以下のものです。

  • ①購入する街・地域
  • ②立地条件
  • ⑤専有面積
  • ⑦築年数
  • ⑧眺望・所在階
  • ⑨住戸の配置
  • ⑩住環境の良好

逆に言うと、これ以外の条件は、価格に反映されにくいということです。
例えば、マンションデベロッパーや仕様、設備などは、中古マンションの価格にはあまり影響しないといえます。

また、管理状況は長期的には非常に重要ですが、築年数が経過していない物件だと、その良し悪しが価格には反映されないことも多いといえます

管理状況は、専有面積や築年数のように簡単に比較できるものではないということもあります。

中古マンションの資産価値に影響するもの

永住志向かそれとも将来の売却を想定するかでマンションの資産性をどこまで求めるかは変わると思います。

資産性に影響しやすいポイントは、以下のものです。

  • ①購入する街・地域
  • ②立地条件
  • ④ハザードマップ
  • ⑤専有面積
  • ⑥間取り
  • ⑩総戸数
  • ⑫管理状況

①地域②立地④災害リスク

今後ますます進む人口減・高齢化社会では、購入する地域や立地条件が資産性を維持するためにより重要になります。

また、それに加えて、ハザードマップ(災害リスク)での評価は今後ますます重要になると考えられます。

ハザードマップは災害が起こるなどの節目節目で更新されていくものです。
ですので、場所的にぎりぎり浸水エリアや土砂災害警戒区域外あっても、将来含まれる可能性があることも踏まえて判断する必要があります。

⑤専有面積・間取り

専有面積と間取りはセットで考える必要があります。

将来その地域のニーズに合致しない専有面積や間取りは、資産価値は維持しにくくなります。

逆に、流通戸数が少なめの物件は資産性が高く維持される可能性も高くなります。

⑩総戸数・⑫管理状況

管理状況が悪い、必要な修繕費用が積立されていない、管理費や修繕積立金の滞納が多いマンションは、買い手がつきにくく、売れにくいマンションとなっていきます。

また、総戸数は、前述の通り、管理組合の運営負担や管理費、修繕積立金の負担に直結するものです。
総戸数が極端に少ないと将来の維持費が高く、売りにくいマンションとなる可能性があります。

加えて、注意すべきは、管理組合を構成する住民層です。
管理組合の高齢化はこれからも進んでいきます。ですので、購入時点での管理組合の年齢層などもできれば確認したいところです。

さらに、投資用のマンション(主に1Kから2DKの単身もしくは子供のいない世帯対象)の戸数の割合が高いマンションなども、管理組合の活動への参加率が悪く運営面でマイナスに働く可能性があります。

まとめ

ここまで中古マンションを選ぶうえでのチェックポイント、またその中で販売価格や将来の資産価値に特に影響が大きいと考えられる条件をまとめました。

不動産は1つ1つ違いますので、当てはまらないケースや例外の物件もあります。
ただ、それぞれのポイントが住み心地や将来の資産価値にどう影響するのか参考にしていただければと思います。