不動産の客観的価値~住宅購入時の相場って何~

不動産という商品は、価格が分かりにくいです。

  • 1つの物件がもつ客観的な価値
  • その物件の販売価格の妥当性

が分かりにくい商品です。

特に一般の方からするとわかりにくいというより、『わからない』と言ったほうが正確かもしれません。

不動産といっても、土地、戸建て、マンションその他いろいろありますが、この中でも土地であれば、

  • 国土交通省が発表する公示価格
  • 都道府県知事が公表する基準地価
  • 市町村が公表する固定資産税評価額

など、全面道路や角地などの状況も踏まえ、一定の基準があります。

しかし、マンションや戸建て特に中古住宅になると、その客観的価値や価格の妥当性を判断するのは容易ではありません。

例えば、1つのマンションの価値を客観的に評価するにしても、マンションという商品を構成する要素が多すぎます。

マンションの価値や価格を左右する要素

・専有面積
・築年数
・間取り
・日当たり
・マンションの規模・所在階
・駅からの距離
・マンションの性能や耐震性
・共用部分の施設や設備
・管理状況
・駐車場権利
・管理費や修繕積立金

などさまざまです。

ただ、こういった項目はまだ客観的な比較が可能だとしても、マンションデベロッパーや施工会社などの信頼性やブランド力といったことも判断に加わると客観的な評価はほぼ不可能になります。

ただ、家を買うとき、住宅の販売価格が適正かどうかは最も気になるところです。そして、販売価格が妥当かどうかといった話になったとき、購入現場でやりとりされるのが「相場」という言葉です。

「相場より高い、あるいは安い」「この辺の相場で言うと…」など相場という言葉はよく使われます。それを聞いて、販売価格がその相場価格よりどれくらい違うかで購入を決断される方もいます。

しかし…、そもそもこの相場って何でしょう?

「相場」の意味を調べますと、

市場で取引される商品のそのときどきの値段。時価。市価。

とあります。(デジタル大辞泉から引用)

ただ、先ほども言いました通り、不動産の客観的価値を判断することは非常に難しいです。その不動産に関して「相場」はどこまで信頼して良いものなのか、兵庫県の中古マンションの取引事例で考えてみました。

兵庫県のマンション相場

不動産の相場に関する情報を提供している『ウチノカチ』というサイトがあります。こちらのサイトは、国土交通省の売買価格情報(売買当事者のアンケート)から過去の実取引価格(成約価格)に基づいて価格を提供しています。

つまり、過去の実際の取引価格をデータ化したものですが、相場として考えられるデータとしては最も信頼性があるのではないでしょうか。
売買価格については、2005/09/01から 2018/06/01の期間から算出されています。以下、このサイトから抽出したデータを引用させて頂いております。

兵庫県の中古マンション取引価格(市別)

築年数駅からの距離(徒歩分)専有面積(㎡) 坪単価(万円/坪)
神戸市20.69.259.6110.2
芦屋市22.21575.6126.9
西宮市17.8970124
尼崎市19.596599.2
伊丹市20.1156587.3
宝塚市21.9117077.8
兵庫県全体21.610.664.2103.8

上の表は、兵庫県の各市別(一部)の過去売買事例の中から以下のデータ(平均値)を抽出したものです。

・築年数
・駅からの距離(徒歩〇分)
・専有面積
・坪単価(1坪当りの売買価格)

このデータのなかの、坪単価(平均)が相場ということになります。

坪単価で言うと、芦屋市(126.9万円)がトップです。専有面積が他より広いものの、駅からの距離15分、築年数22.2年と他の市と比べると物件の立地や築年は良くないなかさすがです。
そもそも芦屋でマンションを売却される方の価格設定も高そうですし、購入される方は、価格の妥当性に対するこだわりは他地域と比べて少なそうな感じです。(価格交渉も少ない!?)

スーモさんの住みたい街ランキングなど見ると、今は西宮の人気の方が高くなっていますが、芦屋ブランドは健在です。

購入しようとしている物件価格の妥当性を判断するための相場としては、市単位では広すぎますので、さらにエリア(神戸市)を絞ります。

兵庫県神戸市の中古マンション取引価格(区別)

築年数駅からの距離(徒歩分)専有面積坪単価(万円/坪)
東灘区20.17.670.1119.0
灘区22.49.462118.9
中央区16.15.543.2161.0
兵庫区18.15.342.9115.7
須磨区28.512.869.958
長田区19.65.458.878.8
垂水区26.12068.960.2
北区25.212.671.641.8
西区21.113.88073.7
神戸市全体20.69.259.6110.2

神戸市の区別のデータですが、地域差がかなり大きいです。築年数、駅からの距離という条件面でかなりばらつきがありますので一概に比較は難しいところですが、坪単価の地域差はかなり大きくなっています。

神戸市は、主要沿線として、東西に北から阪急電鉄、JR西日本、阪神電鉄が走っておりますが、南北もしくは北エリアの沿線はそこまで充実していません。そのため、駅からの平均距離が、垂水区や北区、西区などは遠くなっていることも影響していると考えられます。

ただ、購入しようとするマンションの相場を知る上では、区単位でも広すぎます。さらに町単位までエリアを絞りこむ必要があります。

実際の相場と売買価格を比較してみた

そこで、神戸市灘区○○町で実際にマンションを購入されたお客様の事例で、実際の取引価格とこのサイトからの相場価格を比較してみました。

実際の売買価格

・専有面積68㎡
・築年数18.5年
・徒歩7分
・売買価格3,500万円

⇒坪単価:175万円


物件の所在する同じ町名の取引価格(相場)

・専有面積:70.3㎡
・築年数:18.6年
・徒歩距離:8.8分

⇒坪単価:149.1万円

築年数はほぼ同じ、最寄駅からの距離は2分弱違いますが、実際の取引価格と過去の取引事例の平均(相場)と比較すると、坪単価で約26万円の差がでました

 

相場について、さらにもう1つ違うサイト(「レインズ・マーケット・インフォメーション」)で調べてみます。

このサイトは誰でも自由に使用でき、過去の不動産の成約情報を提供してくれるサイトです。

検索条件の設定が、

・専有面積:60㎡以上80㎡以下
・築年数:15年超え20年以内
・徒歩距離:6分以上10分以内

と築年数、駅からの距離とも少し幅がありますが、取引事例として過去1年以内のものを抽出すると26件の取引情報が出ました。

その成約情報の平均坪単価は、169万円/坪でした。実際の取引価格(175万円/坪)と比べて6万円/坪の差が出ました。

つまり、実際の売買価格:3,500万円に対して、導き出された相場価格は

  • 国土交通省の売買価格情報に基づく相場:2,982万円
  • レインズマーケット情報に基づく相場:3,380万円

となりました。

 

これを見ると、3,500万円という購入価格は高いということでしょうか。

実際にマンションの売買について、価格交渉も含め立会いましたが、3,000万円で買付申込み(売主に対するこの価格で購入したいという正式な意思表示)をしていれば、この物件を購入することはまずできなかったです。

売主さんからしてもこの値段で買いたいという人を買主として交渉はしなかったはずです。最終的な3,500万円という価格は、価格交渉後の値段ですが、3,380万円という価格での購入も恐らく難しかったと思います。

つまり、このマンションを購入しようした場合、相場の価格で購入することは難しかったといえます。

まとめ~不動産売買における相場の信頼性~

先ほどの例のように、相場と一言でいっても、抽出する方法や条件、期間、時期などによって違います。また、実際の売買価格とも違うことも当たり前に起こります。マンションの価格を左右する全ての条件を踏まえた相場を算出することもできません。

つまり、マイホーム購入場面において、相場といっても、どういった条件で算出されたものなのかをよく確認しないと、その数字を参考にする意味はありません。

近隣のマンション取引事例を参考に相場のように言われることがありますが、そのマンションと購入しようとするマンションの条件がどう違うかを踏まえて判断しないと信頼できないのは当然ですよね。

購入するか否か、いくらで買付の申込みを入れるか迷うことがあります。その時、相場という言葉を耳にすることがありますが、その意味をしっかりと確認して判断してください。

♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦
あなたの住宅購入後のライフプラン・キャッシュフロー表から算出する無理のない購入予算、物件選びを把握する「マイホーム予算・物件診断サービス」はこちら
マイホーム予算・物件診断サービス