家の広さはどれくらい必要?

コロナ感染拡大以降、リモートワークの普及、外出制限による在宅時間の増加もあり、

  • もっと広い家に住みたい
  • 部屋数を増やしたい
  • 収納を増やしたい

などが購入理由や住宅購入のきっかけになっている方もいらっしゃいます。

その一方、家を買ったあと、子どもの成長や家族構成の変化の際、

  • もう少し広い家が良かった
  • 逆に家が広すぎた
  • 部屋数を考えるべきだった

と後悔される方もいらっしゃいます。

では、家の広さはどう決めればよいのでしょうか?

この記事では、家の広さを考える基準や考え方を紹介させて頂きます。

是非参考にして頂ければと思います。

国が考える理想の家の広さ

平成23年に国が「住生活基本計画」で、世帯人数に応じて、豊かな住生活の実現、多様なライフスタイルに対応するために必要と考えられる住宅面積の水準(誘導居住面積)を示したものがあります。

平成23年「住生活基本計画」(国土交通省)

ここで必要と考えられる住宅面積の水準は、

郊外の戸建て住宅を想定した
 「一般型誘導居住面積」

都市部の共同住宅(マンション)を想定した
 「都市居住型誘導居住面積」

があります。

一戸建ての住宅面積

【単身者】
55㎡

【2人以上の世帯】
 25m2×世帯人数+25m2

世帯数居住面積(㎡)
単身者55
2人世帯75
3人世帯100
4人世帯125
※世帯全員10歳以上として算出

マンションの住宅面積

【単身者】
40㎡

【2人以上の世帯】
 20m2×世帯人数+15m2

世帯数居住面積(㎡)
単身者40
2人世帯55
3人世帯75
4人世帯95
※世帯全員10歳以上として算出

上記表は10歳以上の子どもを前提に算出していますが、
・3歳未満は0.25人
・3歳以上6歳未満は0.5人
・6歳以上10歳未満は0.75人
として算出されます

これを見ると、一戸建てとマンションでは、
1人当たりに求められる居住面積にかなり差があります。※単身の場合除く

【一戸建て】約31~37㎡/人
【マンション】約23~28㎡/人

一方で、マンションで4人家族の場合、都市部で95㎡となると、流通する物件数、予算的にハードルは高そうです。

では、この国の考える基準に対して、実際にはどれくらいの広さの家を購入しているのでしょうか?

フラット35利用者調査からみる家の広さ

下表は、フラット35利用調査(2020年度)から、住宅の種類別の住宅面積を表にしたものです。

住宅の種類住宅面積(㎡)
土地付き注文住宅111.1
建売住宅101.1
分譲マンション66.2
中古戸建て113.2
中古マンション67.9

3人~4人家族と考えた場合、一戸建てはまだしも、マンションに関しては、国が示す理想の居住面積(75㎡~95㎡)よりも70㎡に届かない、かなり狭い広さであるのが現実といえます。

家の広さをみるときの注意点
床面積、専有面積と有効面積

次に、物件資料やサイト上に表示される床面積や専有面積と実生活で体感する有効面積の違いについて注意する必要があります。

家の広さを表す際、

・一戸建て:延床面積(各階の床面積合計)
・マンション:専有面積

を使います。

一戸建て延床面積

一戸建てについて、販売図面など見る際に、延床面積に含まれないものを知っておくことも大切です。

延床面積に含まれないもの

ベランダ・バルコニー

外壁から2mまでは延床面積に含まれません。
逆に言うと、2mを超える場合は、超える部分は床面積に含まれます。

また、インナーバルコニーは床面積に含まれている可能性がありますので、該当する物件では確認が必要です。

ロフト

以下の条件を満たすことで延べ床面積には含まれません。

  • 天井高1.4m以下
  • 面積が設置する階の床面積の1/2未満
  • はしごを固定しない

出窓

以下の条件を満たすことで延べ床面積には含まれません。

  • 高さ30cm以上
  • 外壁面からの水平距離50cm未満
  • 見付け面積の 1/2以上が窓

マンション専有面積

マンションの専有面積には、
壁芯面積(壁の中心線)内法面積(壁の内側)があります

当然、内法面積は、壁芯面積より小さくなります。

居住空間の有効性で考える場合、内法面積になりますがマンション販売図面や広告は、壁芯面積で記載されていることが多いです。

登記簿謄本の面積は内法面積です

マンションの場合、木造の一戸建てと比べて、壁厚や柱の断面は大きくなります。

つまり、一戸建て以上に壁芯面積と内法面積の差は大きくなります。

マンションの有効面積は、物件資料(壁芯面積)の3~5%程度少なく見積もるか、登記簿謄本で確認する方がよいです。

一戸建てとマンション有効面積の違い

一戸建てとマンションを比べた場合、2階、3階建ての一戸建ての床面積には階段室が含まれます。(下図赤枠部分)

ですので、同じ広さでも、生活スペースの有効面積は、階段室のないワンフロアのマンションより一戸建ての方が少なくなります。

3階建て一戸建ての間取り
3階建て

また、これは一戸建てにもマンションにも言えることですが、間取りの廊下部分(下図赤色部)、生活動線上、通路的な使い方やデッドスペースが生じる部分があります。(下図緑色部)

間取り的に、そういった面積が多いほど、実質的に使える有効面積は少なくなります。

間取りをチェックする上で、生活動線やデッドスペースもしっかりチェックすることが必要です。

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物件価格や維持費と家の広さ

次に、家の広さを判断する上で、物件価格や維持費との関係についてです。

注文住宅では、坪単価で建築費用を概算したりしますが、マンションでも、専有面積が広ければ価格も高くなります。

ただ、マンションの場合、管理費や修繕積立金も専有面積の割合に応じて決まります。
75㎡と90㎡のマンションでは、毎月の維持費が1.25倍違うことになりますし、固定資産税も高くなります。

一方、一戸建てでも広くなればなるほど、屋根や外壁面積が大きければ、メンテナンスにかかる費用も増えます。

ですので、家の広さは、床面積は購入価格だけでなく、維持費も含めて判断が必要です。

特にマンションの修繕積立金は、築年経過とともに上がることが想定されているマンションがほどんどですので、専有面積が広い分、将来的な負担も大きくなります。

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まとめ

・今より住環境をよくしたい
・良い環境を子どもに与えたい

こういった場合、一定の広さが欲しくなるのも当然です。

ただ、床面積や専有面積と有効面積の関係、維持費との関係なども踏まえて判断することも必要です。

また、将来の家族構成の変化、ライフプランなども踏まえ、

  • お子様の予定
  • 子どもの独立や家族との同居
  • 将来の売却可能性
    (売却しやすい広さや間取りは地域の需給状況などで違います)

なども考えながら広さや間取りを考えることも大切です。

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