はじめに

同じマンション内で専有面積が違う複数の物件が売りに出されていることがあります。

専有面積は、
区分所有者(マンション購入者)に所有権、専用の使用権が認められている部分の面積
バルコニーや玄関ポーチは含まれません。

この点、

広いに越したことはないが、値段や維持費の負担はどうなの?

と思われたことはないでしょうか。

マンション価格は、専有面積だけで決まるわけではありませんが、
相場(㎡当たりの単価)が同じ場合、

  • 3,500万円(専有面積70㎡)
  • 4,250万円(専有面積85㎡)

専有面積の違いでこれくらいの価格差が出ておかしくはありません。

確かに広さは魅力ですが、750万円の価格差は大きいですよね。

もっというと、購入価格としては750万円の違いですが、

維持費を含めた住宅コストは、もっと大きな違い

になります。

この記事では、専有面積の違いによって

・住宅購入時の諸費用
・住宅購入後の維持費


含めた住宅コストの違いを比較しました。

これからマイホームを購入される方の予算の決め方や購入後の維持費の負担について、参考にして頂ければと思います。

専有面積70㎡と85㎡を比較

【事例】
マンション①
3,500万円(専有面積70㎡)

マンション②

4,250万円(専有面積85㎡)
 ※他条件は同じ前提とします。

この2つのマンションを住宅ローンを利用して完済するまでの購入コストがどれくらい変わるか、以下比較しました。

購入時の諸費用の比較

中古マンション購入時の諸費用として、主なものは以下の通りです。

  • 印紙代
  • 登記費用
  • 仲介手数料
  • 住宅ローン諸費用
  • 火災保険料(一括)

ここでは、登記費用の違いは大きくない点、火災保険料は維持費として試算するため、仲介手数料と住宅ローン諸費用について比較します。

仲介手数料

売買価格仲介手数料(税込)
3,500万円1,221,000円
4,250万円1,468,500円
※正規仲介手数料率3%+6万円(税別)で計算

住宅ローン諸費用

購入価格で住宅ローン借入金額も変わります。
借入金額が変わると、住宅ローン事務手数料や保証料、登記費用などが変わります。
諸費用分の自己資金はある前提で、借入金額を3,500万円と4,250万円として試算します。

【住宅ローン借入金額】
マンション①
3,500万円(専有面積70㎡)

マンション②

 4,000万円(専有面積85㎡)  

借入金額融資事務手数料
3,500万円770,000円
4,250万円935,000円
※融資事務手数料は2.2%(別込)で計算

住宅ローン諸費用は、事務手数料以外、保証料型、金利上乗せなど、支払い方法はいろいろあります。

その他、ここでは比較しませんが、広さが変われば、ハウスクリーニングやリフォーム費用も変わります。

中古マンションの維持費の違い

中古マンションの修繕積立金
大規模修繕工事

次に、購入後の維持費の違いです。

主な維持費として、

  • 管理費
  • 修繕積立金
  • 固定資産税
  • 住宅ローン返済
  • 火災保険料

火災保険の場合、特にマンションの場合、専有面積によって大きな違いが出ないため、他4つの維持費を比較します。

管理費

ほとんどのマンションでは、管理費、修繕積立金は、専有面積によって負担割合が決まります。
ですので、専有面積は、毎月の管理費、修繕積立金に影響します。

平成30年度マンション総合調査によると、
一戸当たりの管理費収入の平均は

・単棟型:221円/㎡・月
・団地型:216円n/㎡・月


となっています。

ここでは、比較上200円/㎡・月として試算します。

専有面積管理費/月
70㎡14,000円
85㎡17,000円

平成30年度マンション総合調査(国土交通省)

修繕積立金

次に、修繕積立金について、平成30年度マンション総合調査を見ると、
一戸当たり164円/㎡・月となっています。
※使用料・専用使用料かたの充当額を除いた場合

また、国土交通省のガイドラインでは、202円/㎡・月が修繕積立金としての目安となっています。

この比較上では、

購入から15年間:180円/㎡・月
16年目以降:250円/㎡・月
    で試算します。

専有面積修繕積立金/月
70㎡13,500円
85㎡15,300円
1年目~15年間
専有面積修繕積立金/月
70㎡17,500円
85㎡21,250円
16年目~

修繕積立金の積立方式について、平成27年以降完成マンションの69.7%が、「均等積立方式」ではなく、「段階増額積立方式」を採用しています。(同マンション総合調査)

築年経過に従って、修繕積立金の増額を見込んでおく必要があります。

マンションの修繕積立金に関するガイドライン

固定資産税

次に、固定資産税についてです。

専有部分が広い分、建物だけでなく、共有する土地の持分割合も増えますので、固定資産税も高くなります。

ここでは、固定資産税(年間)を以下の金額で比較します。

専有面積固定資産税/年
70㎡140,000円
85㎡170,000円
30年間の平均値として試算

住宅ローン総返済額

次に、住宅ローン返済額について、借入金額によって総返済額は変わります。

【試算条件】
・金利:1.1%(全期間固定)
・返済期間:30年

・返済方法:元利均等返済

専有面積借入金額総返済額
(概算)
70㎡3,500万円4,110万円
85㎡4,250万円4,990万円

住宅ローン完済までのトータルコスト

ここまでの、購入時諸費用、購入後の維持費の違いを比較してきました。
それを、住宅ローン完済までの30年間のトータルコストで比較したのが下表です。

70㎡
(3,500万円)
85㎡
(4,250万円)
仲介手数料1,221,0001,468,500
住宅ローン
手数料
770,000935,000
管理費5,040,0006,120,000
修繕積立金①
(15年目まで)
2,430,0002,754,000
修繕積立金②
(16年目以降)
3,150,0003,825,000
固定資産税4,200,0005,100,000
住宅ローン
総返済額
41,100,00049,900,000
合計57,911,00070,102,500
※管理費、固定資産税の変動は考慮していません

購入から住宅ローン完済までの費用は、

70㎡・3,500万円:5,790万円
85㎡・4,250万円:7,010万円


約1,220万円の差になります。

購入価格では750万円の差ですが、30年間の住宅コストで見ると、これだけの差になり得ることが分かって頂けたのではないでしょうか。

こういった費用の差は、将来の貯蓄や老後資金にも影響します。

まとめ

中古マンションを検討するときは、管理費や修繕積立金などの維持費の負担を長期の視点で判断する方が失敗することも少なくなります。

そのための1つの方法として、購入後のライフプランを作成する方法もあります。

マイホーム 不安 相談
マイホーム予算物件診断