投稿日:2016年11月12日 | 最終更新日:2023年10月29日

マンションの資産価値とは?

マンションの資産価値は、次の3つに現れます。

マンションの資産価値

●売却価値
 ≒売却したときの収入
●収益価値
 ≒賃貸したときの収益性
●担保価値
 ≒不動産を担保として借りられるお金

売却価値と担保価値は似ていますが実際の取引では同じではありません。

つまり、家を売却したり、貸したり、担保にしてお金を借りたり(リバースモーゲージなど)といった場面で資産価値は問題となります。

リバースモーゲージ
 自宅を担保に老後資金などのお金を借入し、契約者が亡くなったときに担保の不動産を売却すること
 で借入金を返済する仕組み。自宅に住みながら老後資金を確保する方法の1つ。

ずーと住み続ける(所有し続ける)場合は、資産価値や資産性を考える必要性は低いということになります。

資産価値が下がりにくいマンション

資産価値が下がりにくいマンションは、築年が経過しても価格が下がりにくいマンションです。

A:市場価値が平均1%/年下がるマンション
B:市場価値が平均5%/年下がるマンション

新築時に同じ4,000万円の価格で購入してもAとBのマンションでは20年後の価格はまったく異なります、

20年後の価格
A:3,272万円
B:2,175万円

また、収益価値からみれば、同じ専有面積で月額10万円の賃料と月15万円の賃料がとれるマンションで資産価値は違いますが、売却価値と収益価値は必ずしも一致しません。

この記事では、資産価値が落ちにくいマンションを選ぶ方法について解説します。

資産価値の落ちにくいマンションの特徴

資産価値の落ちにくいマンションの特徴をまとめました。

立地条件

不動産の資産価値に最も影響するのは立地条件」です。そして、立地条件を判断する基準として以下のようなものがあります。

立地条件を左右する要素

●最寄り駅・駅からの距離
●生活利便性・周辺施設
●災害リスク
(ハザードマップ)
立地適正化計画

最寄り駅・駅からの距離

「最寄り駅がどこか」「最寄り駅までの距離」はマンションの資産価値に影響します。

最寄り駅は、JR、私鉄とあるなか、「特急や新快速が停車する駅」「急行や快速まで停車する駅」「各駅しか停車しない駅」などで分けられますが、交通利便性という点から考えてもすべの電車が止まる駅の方が乗降客数も多くベストといえます。

また、下表は、2022年の近畿圏の中古マンションについて、最寄り駅からの距離と㎡単価、成約件数の関係をあらわしたものです。

駅距離㎡単価(万円)成約件数(件)
徒歩5分以内50.736,136
6~10分以内40.525,525
11~20分以内29.733,138
21分以上20.51231
バス便19.561,423

駅から離れるほど取引相場は確実に下がり、また成約件数の約70%が徒歩10分圏内のマンションとなっています。
一戸建て以上にマンションの立地は重要といわれますが、今後も駅から離れるほど不動産市場の流通戸数は減り、価格を維持することが難しくなっていくことが予想されます。

近畿レインズ「中古マンションの駅からの交通条件別成約状況[近畿圏]

生活利便性

生活利便性が高い場所には人が集まりやすいですし、人が集まることは不動産市場に参加する人が増えるということです。

その結果、その地域の不動産価格や賃料の維持しやすさにつながっていきます。物件価格を査定する際の流動性に直接影響するものです。

生活利便性に影響するもの

●買い物施設
●病院・クリニック
●公共施設(図書館、区役所等)
●郵便局

災害リスク

災害から身の安全や建物を守るだけでなく、マンションの資産価値という意味でも災害リスクを考慮することは大切です。

毎年のように日本全国で集中豪雨や浸水被害が出ていますが、マンションの高層階だから安心というわけではありません。

今後、戸建てだけでなくマンション選びにおいても、ハザードマップや耐震性、物件の所在階など、災害リスクの大きさが指標となります。

住宅ローンの物件審査においても、災害リスクの重要性はより増していくと考えられますので、将来、買い手がつきにくくなると資産価値に影響します。

立地適正化計画

各自治体が将来の都市計画を決める1つの指標として「立地適正化計画」を公表しており、そのなかで「居住誘導区域」「都市機能誘導区域」を定めています。

居住を積極的に誘導し人口密度を維持する区域
居住誘導区域

医療機関や学校などの施設を誘導する区域
都市機能誘導区域

こういった区域は鉄道駅を中心に指定されており、各自治体の計画を参考にすることができます。。

西宮市立地適正化計画
参考:兵庫県西宮市「立地適正化計画図」

西宮市「西宮市立地適正化計画について」

管理状況

マンションは管理を買えと言われますが、管理状況は資産価値に影響します。

新築マンションだと無理ですが、中古マンションの場合、管理状況や管理組合の会計などを確認することができます。

共用部や設備をチェック

マンション共用部分(エントランス、エレベーター、駐車場、駐輪場、掲示板、敷地内、防犯対策など)を実際に見て、清掃状況や補修が必要な箇所が放置されていないかなどを確認します。

また、管理人や売主に生活環境やマンション内の問題などを聞いても良いと思います。

管理組合や会計の状況

重要事項調査報告書を見ることで、空き室の状況、管理費、修繕積立金の滞納状況、それに対する対応などで管理組合の状況を知ることができます。

また、長期修繕計画や管理費、修繕積立金の積立状況、値上がり予定など会計もしっかりと確認する必要があります。

必要な修繕やメンテナンスが行われないマンションの資産価値は維持が難しくなり、将来買い手がつきにくくなります。

方角・採光・通風

住戸の方角については、
南向き→東向き→西向き→北向きという順番でマンションの評価は低くなっていく傾向です。

実際には、方角と同時に朝昼夕の日照時間や明るさを確認することが大切です。

また、風通しについても換気設備とともに確認するしましょう。

間取り・専有面積

将来の資産価値を考えるのであれば、その地域のニーズに合わせた間取りや専有面積を考えることも大切です。

ファミリータイプのニーズが高い地域や単身者向けのニーズが高い地域があります。

将来を予測することは簡単ではありませんが、売却するにしても賃貸するにしても、資産性を重視するのであれば、地域のニーズにあった間取りや広さを選択する必要があります。

また、専有面積が広ければ管理費や修繕積立金、固定資産税といった維持費は高くなります。

こういったコストが将来の売却価格や賃料に影響を与えることも考える必要があります。

所在階

一般的には、所在階が1階の物件のニーズは少ないと言われ、また、高層階にいけばいくほど資産価値は高くなると言われます。

マンション1階の資産価値

所在階が1階については、メリット・デメリットがあります。

メリット

・専用庭が使える
・災害時に避難しやすい
・エレベーターの待ち時間が関係ない
・下階の音を気にする必要がない


デメリット

・災害(浸水など)リスク
・防犯性の問題
・騒音や虫などが気になりやすい
・日当たりの問題

所在階が1階でも、物件やマンションの環境、設備によってデメリットにはなりにくい物件もあります。

ただ、資産価値を重視するのであれば、1階の物件は避けた方が無難かもしれません。

総戸数・駐車場・設備

過去の統計によると、総戸数や駐車設備(平面駐車場と機械式駐車場の台数、割合など)によって、管理費や修繕積立金なども違う傾向です。

管理費に関しては、総戸数30戸未満のマンション、反対に総戸数150戸以上のマンションの管理費が高い傾向です。

また、タワーマンションの管理費や修繕積立金は、その他のマンションと比べて高くなります。

マンションの相場をしっかり確認することも大切

資産価値を考えるうえで購入時の価格も大切です。いくら資産価値が落ちにくいマンションを買っても、そもそもの購入価格が高ければ意味がありません。

  1. できるだけ安く購入する
  2. できるだけ維持費を少なくする
  3. できるだけ高く売却する

相場を知ったうえで購入判断をすることが大切です。

まとめ

将来の資産価値を重視してマンションを購入する場合、それは多くの場合市場ニーズの高いマンションでもあり、価格が高くなることもあります。

ですので、マイホーム予算はしっかりと判断しながら、資産価値の落ちにくいマンションを選ぶために参考にしてみてください。

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