投稿日:2017年5月19日 | 最終更新日:2023年6月15日
はじめに
中古マンションの中には、リフォームやリノベーションがされている物件もあります。
個人の売主の場合もありますが、ほとんどは住宅会社や不動産会社など業者売主の物件となります。
では、こういったリフォーム済み、リノベーション済みの中古マンションは買いなのでしょうか?
一概に判断するのは難しく、「物件と価格次第」という答えになってしまいます。
そこで、購入判断のためにリノベーション物件のメリット、デメリット、注意点をまとめました。
リフォームとリノベーションの違い
リフォーム
一般的に、古くなった箇所を補修・改修したり、汚れた壁紙を張り替えるなどの内装工事などはを行い、元の状態に戻す工事です。
リノベーション
一般的に、間取りの変更や配管の変更など大規模な工事を行い、もとの建物より性能を高めたり、新しい価値を生み出す工事です。
リノベーション済み物件のメリット
まず、リノベーション済み物件のメリットはなんでしょうか。
すぐに住める
リノベーション済み物件は、新築マンションと同様、引渡し後すぐに入居することができます。
一方、中古マンション購入後リノベーションをする場合、
- 管理規約等で工事内容の確認
- 管組合への工事の届け出
- 工事の実施
- 工事確認(完了検査)
物件の引渡し後、こういった手続きを経る必要があります。
部分的か建物全体のかで工事期間も変わりますが、長ければ3か月以上かかる場合もあります。
その間、家賃の支払いも必要となります。
その点、リノベーション済みの場合、こういった時間や費用は必要ありません。
新築マンションより価格を抑えられる
同じ広さや同じ立地の新築マンションと比べると、購入予算を抑えることができます。
そして、専有部分については、設備や内装に使用感なく、新築と同じ状態で住み始めることができます。
また、予算や購入エリアの条件がある中、物件探しの選択肢が広がるとも言えます。
資金計画が立てやすい
リノベーション済み物件は、購入後リノベーションする場合よりも資金計画が立てやすいです。
物件価格にリノベーション費が含まれていますので、
- 物件価格
- 諸費用
と必要資金に対して、資金計画が立てやすいといえます。
一方、購入後リノベーションをする場合、
- 物件価格
- 諸費用
- リノベーション費用
という資金計画になります。
購入前のリノベーション費用の見積り内で収まれば問題ありません。
ただ、工事に入ってから、
・水回り設備の交換だけの予定が給排水管などの交換が必要
・希望条件が変わり、変更工事・追加工事で予算が増える
といった場合に資金計画が変わる可能性もあります。
こういった意味では、リノベーション済み物件は、資金計画が立てやすく、安心と言えます。
住宅ローンを選びやすい
また、リノベーション済み物件の場合、リノベーション費用について、住宅ローンを選ぶ上で制約はありません。
一方、購入後にリノベーションをする場合、リノベーション費用を自己資金でまかなえる場合は良いです。
ただ、リノベーション費用を借入する場合、住宅ローン選びに制約がでる場合もあります。
最近では、リノベーション費用も込みで住宅ローンの借入ができる商品も増えてきましたが、金融機関によっては、住宅ローン契約までに工事請負契約を完了する必要などの制約がある場合もあります。
2年間の契約不適合責任
中古マンションの場合、購入後の欠陥も気になります。
- 給排水管の故障
- 雨漏れ
- 電気系統の故障
その点、リノベーション済み物件は、不動産業者や買取再販業者が売主です。
そして、宅地建物取引業法(40条)では、宅建業者売主の場合、
引渡しから2年間以上の瑕疵担保責任を義務付けています。
一方、個人売主の中古マンションの場合、
契約上、瑕疵担保責任(契約不適合責任)は、長くて3か月、もしくは免責(売主は責任を負わない)とする場合が殆どです。
リノベーション済み物件のデメリット
一方、リノベーション済み物件のデメリットとして、どういったことが考えられるのでしょうか。
工事の内容や過程が確認できない
リノベーション物件は、外見上内装や設備が新築同様でも、実際の工事や施工過程を確認することはできません。
築年数によっては給排水管の交換時期にある、下地材が痛んでいる物件もありますが、どこまでの範囲がリノベーションされているかは見ただけでは分かりません。
担当者への確認含め、工事内容や途中経過の写真など確認できるものがあるか確認するようにしましょう。
販売価格が高い
不動産売買では、個人間同士の場合消費税はかかりません。
また、土地にはそもそも消費税はかかりません。
ただ、不動産業者が売主のリノベーション済みマンションの場合、
建物部分については消費税がかかります。
また、販売価格に販売経費や利益が含まれます。
ですので、リノベーション済み物件の場合、価格の妥当性に注意が必要です。
リノベーションの価値を考慮しても、販売価格が相場よりかなり高いといった場合もあります。
イメージを持っていただく意味で、
市場価格1,500万円の物件を購入し、700万円かけてリノベーションする
前提でリノベーション済みと購入後リノベーションする場合で比べてみました。
リノベーション済み物件を購入する場合
業者の仕入れ価格:2,500万円
仕入れの経費:200万円
リノベーション費:700万円
販売経費・消費税:200万円
業者利益:200万円
→売出価格:3,800万円
中古マンション購入後リノベーションする場合
物件価格:2,500万円
購入諸費用:200万円
リノベーション費:700万円
→かかった費用:3,400万円
一事例ですが、同じ2,500万円の物件を買い、リノベーションするにしても、必要資金がこれくらい違う可能性はあります。
リノベーション済み物件の注意点
最後に、リノベーション済み物件を購入する際の注意点をまとめました。
共用部分、管理状況を確認する
マンションには専有部分と共用部分があります。
専有部分は新築同様であっても、共用部分の状態や管理状況に問題があると資産価値にも影響します。
また、購入するタイミングによっては、大規模修繕工事の実施や修繕積立金の値上げ等予定されていることもあります。
重要事項調査報告書等で、しっかりと管理状況や維持管理費を確認してください。
リノベーション前の物件の相場を知る
前述の通り、リノベーション済み物件の場合、新築物件同様、販売業者の利益や経費、消費税が価格に含まれています。
ですので、価格設定として、
「販売価格」
と
「物件価値(相場)+リノベーションの価値」
を比較し、相場よりはるかに高いといったことに注意する必要があります。
また、住宅ローンの審査では、物件の担保価値が審査されます。
もともとの市場価値に対して販売価格が高い場合、住宅ローンの借入が難しくなる場合もあります。
まとめ
リノベーション済物件のメリット
・すぐに住める
・新築マンションより価格を抑えられる
・資金計画が立てやすい
・瑕疵担保責任が最低2年ついている
リノベーション済物件のデメリット
・工事の内容や過程が分からない
・諸費用や販売経費、利益が含まれる
リノベーション済物件の注意点
・管理状況や共用部をしっかり確認する
・物件の相場を知る
・子育てやライフプランに合う物件
リノベーション済物件は、新築同様の内装で、完成状態で内見することができる分、生活イメージもしやすく、買いたいと思わせる力もあります。
ですので、すぐに住める状態だからという理由だけで決めないよう、デメリットや注意点など含め慎重に判断してください。