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リフォームとリノベーションの違い
中古マンションの中には、リフォーム、リノベーション済の物件もあります。
ここでリフォームとリノベーションの違いですが、
リフォームは、
一般的に、古くなった箇所を補修・改修したり、汚れた壁紙を張り替えるなどの内装工事などはを行い、元の状態に戻す工事です。
リノベーションは、
一般的に、間取りの変更や配管の変更など大規模な工事を行い、もとの建物より性能を高めたり、新しい価値を生み出す工事です。
では、こういったリフォーム済み、リノベーション済みの中古マンションは買いなのでしょうか?
答えとしては、「物件と価格次第」になります。
それを判断するためのメリット、デメリット、注意点をまとめてみました。
リノベーション物件のメリット
まず、リノベーション済みの物件のメリットはなんでしょうか。
すぐに住める
リノベーション済み物件は、新築マンションと同様、引渡し後すぐに入居することができます。
中古マンションを購入してリフォーム、リノベーションをする場合、
- リノベーション工事内容の確認
工事ができる内容や範囲など管理規約・使用細則で確認 - 管理組合への工事の届け出
- 工事の実施
- 工事内容の確認(完了検査)
引渡し後、こういった手続きを経た上で入居できるようになります。
新築マンションより価格を抑えられる
同じ広さのマンションでも新築マンションと比べると、購入予算を抑えることができます。
そのうえで専有部分については、設備や内装に使用感なく、新築と同じ状態で購入することができます。
資金計画が立てやすい
リノベーション済みの物件であれば、資金計画を物件価格と諸費用で把握することができます。
一方、中古マンションを購入してリノベーションを行う場合、物件価格と諸費用にリノベーション費用となります。
購入前にリノベーションにかける費用の見積りをした上で、その予算内で収まれば問題ありません。
ただ、実際に工事に入ってから、水回りの設備の交換だけを予定していたところ給排水管などの交換が必要になる。
また、工事に入ると理想や希望が増え、当初の見積りより設備のグレードが上がったり、造作工事が増えたりで予算が高くなるケースもあります。
リフォーム工事をした人の、44%がほぼ予算内、40%が予算オーバー、16%が予算より低いという調査結果もあります。
住宅ローンの借入がしやすい
また、リノベーション済み物件の場合、住宅ローン1本の借入でいけます。
中古住宅を購入してリノベーションをする場合、リノベーション費用を自己資金でまかなえる場合は良いですが、ローンを利用する場合は制約がでてきます。
リノベーション費用も込みで住宅ローンの借入ができる商品も増えてきましたが、住宅ローン契約(金銭消費貸借契約)までに工事請負契約を完了する必要があったり手続き上の制約がある場合も多いです。
また、リノベーション費用でリフォームローンを活用する場合、住宅ローンより金利は高めですし、借入可能な金額や返済期間などもしっかりと確認する必要があります。
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瑕疵担保責任が2年ついている
中古物件の場合、購入後の欠陥(瑕疵)は気になります。
ただ、
・給排水管の故障
・雨漏れ
・電気系統の故障
・シロアリ
など物件の欠陥や不具合などはすぐに気がつくものばかりではありません。
その点、リノベーション済み物件は、不動産業者や再販買取専門業者が売主が殆どです。
宅建業者売主の場合、民法の規定に関わらず、宅建業法(40条)で、引渡しから2年間以上の瑕疵担保責任を義務付けています。
中古マンションを購入してリノベーションをする場合、売主は個人の場合がほとんどです。
売主が個人の場合、物件にもよりますが、契約上、瑕疵担保責任(契約不適合責任)は、3か月や免責(売主は責任を負わない)とする場合が殆どです。
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リノベーション物件のデメリット
一方、リノベーション済みの物件のデメリットとして、どういったことが考えられるのでしょうか。
工事の内容や過程が確認できない
リノベーション物件は、内装や設備が新築同様でも実際の工事や施工過程を確認することができません。
築年数によっては、給排水管の交換時期にある、下地材が痛んでいる物件もあります。
リノベーション工事の施工内容や途中経過の写真など、売主へ資料を請求ししっかりと確認するようにしましょう。
消費税や販売経費、利益がのっている
不動産売買において、個人間同士の取引には消費税はかかりません。
ただ、リノベーション済みマンションで不動産業者が売主の場合、消費税がかかります。
但し、課税対象は建物部分だけで土地にはかかりません。
また、業者売主の物件は、販売価格に販売経費や利益が含まれます。
リノベーション済み物件購入 VS 購入後リノベーション
リノベーション済み物件を購入する場合と購入後リノベーションする場合の価格のイメージの一例で比べてみました。
リノベーション済の物件を購入する場合
物件の仕入れ価格:1,500万円
仕入れの経費:60万円
リノベーション費:700万円
販売経費:100万円
利益:200万円
→売出価格:2,560万円
中古マンションを購入してリノベーションする場合
物件価格:1,500万円
購入諸費用:100万円
リノベーション費:700万円
→かかった費用:2,300万円
あくまで一例ですが、実際に物件のもつ価値と購入価格が違う場合、住宅ローンの借入が難しくなることもあります。
この例の場合、物件の客観的価値1,500万円に700万円のリノベーションを実施した場合でも、どこまでリノベーションによる価値の向上を認めるかは金融機関の判断となります。
リノベーション済み物件購入時の注意点

最後に、リノベーション済み物件を購入する際の注意点をまとめました。
管理状況や共用部を確認する
マンションの場合、専有部分と共用部分があります。
リノベーション物件で専有部分は新築同様であっても、共用部分の状態や管理状況に問題があると資産価値にも影響します。
また、購入する時期によっては、大規模修繕工事の実施や修繕積立金の値上げ時期等を迎えることもあります。
管理費や修繕積立金の維持管理コストは、購入後の家計にも影響します。
重要事項調査報告書等で、しっかりと管理状況や維持管理費を確認してください。
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物件の相場を知る
相場より高く買うことを高値つかみと言ったりしますが、そうならないように物件の相場を知ることも大切です。
特に、リノベーション物件の場合、新築物件同様、販売業者の利益や経費が価格に含まれています。
もともとの物件価格(相場)にリノベーションによる価値が加わっている前提で、価格として妥当かを判断する必要があります。
相場価格とリノベーションの内容に対して販売価格が高すぎると思われる場合は、慎重な判断が必要です。
前述の通り、物件の担保価値より価格が高い場合、住宅ローンの借入にも影響する可能性があります。
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子育てやライフプランに合う物件
築年数が経過していると、耐震性や断熱性、防音性能などマンションの基本的な性能も古くなります。
お子様がいらっしゃる場合は、居住環境として安全性や快適性は特に気になるところです。
耐震性については、新耐震基準と旧耐震基準の大きな区切りがありますが、利用できる住宅ローンにも影響します。
また、マンション管理組合の高齢化問題などもあります。
購入したマンションに子育て世帯が少ないといったこともあり得ます。
また、将来の住み替えなどもライフプランとして考える場合、築年数や購入する立地条件などは将来の資産性、売却価格や可能性に影響を与えます。
そういった点も併せて考えながらの判断が必要です。
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まとめ
リノベーション済物件のメリット
・すぐに住める
・新築マンションより価格を抑えられる
・資金計画・住宅ローン計画が立てやすい
・瑕疵担保責任が最低2年ついている
リノベーション済物件のデメリット
・工事の内容や過程が分からない
・諸費用や販売経費、利益が含まれる
リノベーション済物件の注意点
・管理状況や共用部をしっかり確認する
・物件の相場を知る
・子育てやライフプランに合う物件
リノベーション済物件は、新築同様の内装で、完成状態で内見することができる分、生活イメージもしやすく、買いたいと思わせる力もあります。
ですので、すぐに住める状態だからという理由だけで決めないよう、デメリットや注意点など含め慎重に判断してください。