一戸建てとマンション違い
マイホーム購入で「一戸建てかマンションか?」で迷われる方もいらっしゃると思います。
一戸建てとマンションの大きな違いは、
・所有形態が個人か共有か
・維持管理を単独で行うか管理組合で行うか
という点です。
マンションは、専有部分と共用部分があります。
専有部分は個人で所有・維持管理し、
共用部分は管理組合で共有・維持管理します。
この記事では、一戸建てかマンションを考えるうえで、
- 住環境
- 維持管理
- 災害リスク
- 資産性
4つの視点で比較しました。
住環境の違い
1つ目は、一戸建てとマンションの「住環境」について以下の項目で比較しました。
- 音の問題
- 防犯性
- 断熱性・気密性
- 周辺環境の影響
- 建物利用の自由度
- 高齢になった場合の住みやすさ
- リフォーム、建て替えの自由度
音の問題
マンションの場合、隣接住戸と壁で区分され、上下階の住戸とも床、天井で接しています。
ですので、一戸建てと比べると音の問題は生じやすいといえます。
ちなみに、マンション総合調査(国土交通省)によると、居住者間の行為やマナーによるトラブルの内訳として、音の問題が全体の38.0%ともっとも多くなっています。
マンション総合調査(国土交通省)※平成30年度
音の問題を防ぐために、マンションの仕様として二重床が採用されていたり、一定の遮音性能を満たす床材の使用が管理規約や使用細則で規定されています。
一方、一戸建ての場合、テラスハウスなどを除き、隣接住戸と直接接していない分、マンションと比べると音の問題は生じにくいといえます。
とはいえ、都市部などでは、比較的狭い敷地に建物を境界に隣接して建てられることは多くあります。
ペットの鳴き声や音楽やテレビの音量の問題が生じやすい生活環境である場合は注意も必要です。
プライバシーについて、一戸建ての場合、隣地境界から1m以内に窓やベランダがあり、隣の家を見通すことができる場合は、目隠しを設置する義務が規定されています(民法235条)
防犯性
マンションの場合、建物や敷地の規模にもよりますが、前面道路や敷地境界から建物、エントランスまで一定の距離があります。
また、殆どのマンションでは、エントランスや駐車場などに防犯カメラが設置されるとともに、管理事務所、他の住民の監視もあります。
ただ、マンションによって外部からの侵入の容易さは異なりますし、所在階によっても変わります。
一方、一戸建ての場合、前面道路や隣の土地から敷地内、建物への侵入は容易です。
ですので、セキュリティシステムや防犯カメラの設置など対応は可能ですが、一般論として、防犯性という意味では、一戸建てはマンションより劣ると考えられます。
警察庁の統計調査でも、「侵入窃盗」の発生割合は、マンションより一戸建て住宅が多くなっています。
断熱性・気密性
一般的に木造一戸建ては、鉄筋コンクリート(RC)造などのマンションと比べると、断熱性や気密性は低くなります。
一戸建ての外壁は、四方外気に面し、また、マンションと比べても開口部の面積も広い分、外気温の影響を受けやすいといえます。
断熱性や気密性が低いと、夏は暑く、冬は寒いだけでなく、光熱費が高くなりやすいです。
また、結露によるカビの発生やヒートショックなど、健康面にも影響を与える場合があります。
ただ、一戸建てでも高気密、高断熱の住宅性能を備えているものもあります。
中古住宅を購入した場合でも、費用はかかりますが断熱リフォームなども可能です。
2000年に住宅性能表示制度がスタートし、2022年には長期優良住宅の条件として断熱等級5にひき上げられるなど、住宅に求められる性能は高くなっています。
周辺環境の影響
一戸建ての場合、マンション以上に、前面道路や隣接住戸、周辺の建物の影響を直接受けやすいです。
ですので、隣接建物の種類や高さ、配置、また、用途地域などの確認も重要です。
建築基準法上、用途地域によって建てられる建物が規制されています。
近隣に大規模な商業施設やマンションが建つと、日照や騒音、プライバシーの影響を受けやすくなりますし、将来の資産価値にも影響します。
ですので、特に一戸建ての場合は、用途地域や近隣土地の空きや活用状況など、のちのちの環境の変化も予測しながらで決める必要があります。
もちろんマンションでも、近隣の建物によって特に低層階ほど影響を受けやくなります。
比較的、駅近くの立地に建てられるマンションの場合、商業系の用途地域が指定されていることも多くあり、周辺環境が変化も起こりやすいともいえます。
建物利用の自由度
マンションの場合、管理規約によって住居以外の利用方法は制限されています。
民泊なども禁止している管理組合が多いです。
また、共用部分のバルコニーの利用方法、飼うことができるペットの大きさや数など、管理規約や使用細則によって定められています。
一方、一戸建ての場合、店舗や事務所での利用、民泊、ペットの飼育まで自由に利用することができます。
こういった意味では、建物利用の自由度は、一戸建ての方が高いといえます。
民泊については自治体によって制限する条例を設けている地域もあります。
高齢になった際の住みやすさ
一戸建ての場合、地域にもよりますが、2階建てあるいは3階建てが主流です。
地価が高い都心部では、狭小敷地に3階建てといった一戸建て住宅も少なくありません。
購入当初は苦にならない生活動線や間取り、建物や庭のメンテナンスも、高齢になると負担になる場合があります。
その点、マンションは基本的にワンフロアで段差が少ない分、高齢になっても生活しやすい環境といえます。
また、一般的に、マンション立地として駅近くに建てられることが多い分、車がなくても電車、バスなどの交通利便性は一戸建てより高いといえます。
リフォームや建て替えの自由度
一戸建ての場合、リフォームやリノベ―ションだけでなく、家族構成の変化に応じた増築や減築、建て替えまで自由に行うことができます。(もちろん法律の範囲内ですが)
一方、マンションの場合、専有部分のリフォームでも、管理規約や使用細則といったルールの範囲内で行う必要があります。
また、共用部分についても、改修や将来的の建て替えも、管理組合での決議によって決まります。
維持管理について

補修、メンテナンス
一戸建ての場合、屋根や外壁などの修繕計画について、いつ、どの範囲を、いくらの予算で行うかを自分で決めることができます。
自ら補修やメンテナンスを行うことで維持費を節約することもできるでしょう。
一方、マンションの場合、長期修繕計画にもとづき、管理組合で話し合いながら共用部分の補修、メンテナンスを行います。
そして、そのための費用を毎月修繕積立金として管理組合で徴収しています。
こういった補修やメンテンナンスの自由度は、人によってメリットにもデメリットにもなりえます。
つまり、一戸建ての場合、自身で屋根や外壁の状態を確認しながら、適切な修繕時期を判断し、そのための費用を準備する必要があります。
また、台風や集中豪雨、地震などの自然災害時、建物に被害を受けやすいのは一戸建てです。
こういった自然災害の被害に対しても、火災保険の活用など含め、自身で対応する必要があります。
管理費や駐車場代
殆どのマンション管理組合は、共用部分の清掃や施設の管理を、管理費を払い管理会社に委託しています。
一方、一戸建ての場合、マンションのような共用部分はなく、全てを自分で管理をする必要がある一方、管理費の負担はありません。
また、マンションと異なり、敷地内に駐車スペースを確保できれば駐車場代はかかりません。
ですので、一般的に長期のスパンで考えた場合、維持管理のコストはマンションが一戸建て上回るケースが多いです。
災害リスク
最近では、台風、集中豪雨など自然災害の発生頻度も増え、規模も大きくなっている傾向があります。
この点、マンションの場合、自ら管理する専有部分については、バルコニーや共用廊下といった共用部分に囲まれています。
ですので、一戸建てと比べると、台風や集中豪雨などの被害が専有部分に及ぶ可能性は少なくなります。
また、大雨や川の氾濫があった場合の水災のリスクや被害の影響は、一戸建てはマンション以上に大きくなります。
ですので、一戸建てはマンション以上にハザードマップや地盤の確認が重要です。
火災保険の違い
そして、こういった自然災害に対しての備えとして火災保険(地震保険)があります。
マンションの場合、共用部分は管理組合として火災保険を契約し、個人で備えるのは専有部分に対する被害に対してになります。
一戸建ての場合、屋根や外壁、バルコニー含め、敷地内の建物すべて自ら備える必要があります。
加えて、耐火性能や構造の違いから、火災保険料も、一戸建てはマンション以上に高くなります。
資産性について
不動産の資産価値は、土地と建物それぞれにあります。
建物は経過年数に応じて価値は減少しますが、土地は減価償却されない資産です。
この点、一戸建ては、建物の価値がなくなっても、土地だけを切り離して、売却したり、賃貸することができます。
ですので、一戸建ての資産価値を考える場合、立地条件だけでなく、前面道路や接道の仕方、敷地の広さ、形状などは重要な要素となります。
一方、マンションは、共有持ち分である土地を単独で処分することはできません。あくまでも建物と一体で処分されます。
ですので、専有部分の建物の価値が低いもしくは売れないとなれば、土地含め、不動産として価値もなくなっていきます。
まとめ
ここまでマンションと戸建ての違いを、
- 住環境
- 維持管理
- 災害リスク
- 資産性
4つの視点から比較しました。
一般的な比較ですので、当てはまらない場合もあるかと思います。
ただ、マンションか一戸建てかを考える際、それぞれのメリットもデメリットも比較することが大切です。
物件を探す際の参考として頂ければと思います。
