投稿日:2018年11月9日 | 最終更新日:2024年11月21日
マンションの相場を知る重要性
家を買うときに、少なからず、
・この価格は適正なの?
・高いような気がするけどどうなの?
・できるだけ安く買いたい
と思われる方は多いのではないでしょうか。
いつも110円で売られている500mlの水が、150円で売られていたら高いと分かります。
それは、水500mlの市場価格(相場)が90円~120円ということを知っているからです。
ただ不動産の場合、この「相場」が分かりにくい商品です。
・不動産は1つ1つ違い比較が難しい
・不動産の価格は時期によって変わる
・成約価格の情報が公開されていない
ただ、何千万円とする大きな買い物です。
高値で買ってしまう(高値つかみ)ことは避けたいところです。
また、価格交渉をするにしても、根拠(相場情報)があったほうが交渉しやすいでしょう。
そこで、この記事では、
- 中古マンションの「相場」
- 中古マンションの相場を知る方法
- 売出価格と成約価格(相場)の違い
- 実際の事例
についてまとめました。
できる限りお得な中古マンションの購入に役立てて頂ければと思います。
中古マンションの「相場」とは?
「相場」と一言でいってもなかなか分かりずらいかもしれません。
ただ、中古マンションの場合、
相場
その時期もしくは近い時期の取引事例から算出される価格
といえるかと思います。
つまり、対象となる物件と近い条件の取引(成約)事例と比較しながら決まる価格といえます。
中古マンションの相場の知る方法
では、一般の方が、中古マンションの相場を知る方法として、次の3つを挙げました。
- 不動産ポータルサイト
- 不動産取引事例のサイト
- 不動産仲介会社の活用
不動産ポータルサイト
1つ目は、不動産ポータルサイトや不動産会社のHPを活用する方法です。
スーモやアットホーム、ホームズなどさまざまなポータルサイト、各社HPで、検討する物件と類似する条件で検索することで、売出価格を知ることができます。
ただ、ここで注意すべきなのは、
「売出価格」と「成約価格」は違う
ということです。
先程、相場は取引事例、つまり「成約価格」との比較で決まると言いましたが、売出価格と成約価格は違います。
では、売出価格と成約価格、どれくらい違うのでしょうか?
売出価格と成約価格の違い
売出価格は、物件を売り出すときの価格です。
中古マンションの場合、購入申込の際に価格交渉も入ることも多いです。
ですので、成約価格は売出価格より低くなっています。
ここに、売出価格と取引(成約)価格を調査したデータがあります。
下表は、近畿圏の中古マンションについて、
2018~2020年の売出価格と取引価格の平均値と乖離率をまとめたものです。
年 | 上期 下期 | 売出価格 (万円) | 取引価格 (万円) | 乖離率 (%) |
---|---|---|---|---|
2018 | 上期 | 2,678 | 2,491 | 6.98 |
2018 | 下期 | 2,623 | 2,423 | 6.86 |
2019 | 上期 | 2,690 | 2,500 | 7.06 |
2019 | 下期 | 2,855 | 2,672 | 6.41 |
2020 | 上期 | 2,761 | 2,551 | 7.61 |
2020 | 下期 | 2,858 | 2,635 | 7.8 |
乖離率
売出価格から何%下がった価格で取引されたかを表すもの
2018年~2020年、3年間のデータではありますが、
売出価格と取引価格の乖離は、概ね、平均7%前後といえます。
売出期間と乖離率の関係
そして、もう1つ参考になるデータとして、売出期間と乖離率の関係を示したものがあります。
イメージしやすいように、売出価格4,000万円を例とした乖離額も加えてみました。
売出期間 (ヶ月) | 乖離率 (%) | 売出価格との差額 (万円) |
---|---|---|
1か月 | -3.65 | 146 |
3か月 | -7.27 | 290 |
6か月 | -9.68 | 387 |
9か月 | -12.88 | 515 |
12か月 | -14.37 | 575 |
当然ですが、
売出開始から成約までの期間(売出期間)が長くなればなるほど、売出価格と成約価格の乖離が大きくなります
このように、スーモなどポータルサイトの価格を参考にするにしても、相場を形成する取引価格とはこれくらいの違いが出ているということです。。
東京カンテイ プレスリリース
「中古マンションの価格乖離率&売却期間」(近畿圏)
成約価格情報のサイト
2つ目に相場を知る方法として、成約情報サイトがあります。
土地総合情報システム
土地総合情報システム
不動産の取引価格、地価公示・都道府県地価調査の価格を検索することができる国土交通省のサイト
土地だけでなく、中古マンションや戸建ての成約価格を調べることができます。
このサイトは、実際に取引を行った当事者にアンケートを送り、そのデータをまとめたものです。
エリアごとに、最寄り駅からの距離、築年数、専有面積など条件を絞って検索することができます。(過去5年間)
実際の取引当事者にアンケートを送付し、取引データとまとめたサイトです。
レインズマーケットインフォメーション
もう1つの成約情報サイトが、レインズマーケットインフォメーションです。
レインズマーケットインフォメーション
国土交通大臣指定の不動産流通機構が運営・管理する不動産流通標準情報システム
「レインズ」とは、国土交通省から指定を受けた不動産流通機構が運営するネットワークシステムで、取引中、成約済みの不動産取引情報がリアルタイムで一元管理されているものです。
これは、不動産会社向けのシステムであり、一般の方には公表されていません。
レインズマーケットインフォメーションは、レインズの情報の一部を一般の方向けに公開しているサイトになります。
※全国に4法人(東日本レインズ、中部レインズ、近畿レインズ、西日本レインズ)あります。
成約情報サイトの注意点
土地総合情報システムもレインズマーケットインフォメーションも、売出価格ではなく、成約価格を知ることができるサイトではあります。
ただ、掲載されている取引事例数が限られているため、必ずしも近い条件の取引事例が見つかるわけではありません。
不動産仲介会社を活用する
物件探しにおいて、不動産仲介会社を活用されると思います。
ですので、相場を知る上で最も信頼性の高い方法は、
不動産会社の担当者に聞く
ということです。
不動産仲介会社は、レインズを通じてリアルタイムで取引情報を知ることができます。
直近の相場情報、近隣のマンションの売出価格から成約価格までの情報を知っているはずです。
神戸市の中古マンション取引事例
最後に、神戸市灘区で実際にマンションを購入されたお客様の事例で検証してみました。
売出価格価格
・専有面積:68.8㎡
・築年数:12.5年
・徒歩:7分(JR灘駅)
・売出価格:3,590万円
・売出期間:1か月未満
これを見ると、
売出価格の単価は、52.2万円/㎡です。
※1㎡当たりの単価
取引価格(相場)を調べる
売出価格からの乖離率から算出
前述の売出価格と取引価格の乖離率でいうと、
売出期間1か月以内の物件ですので、乖離率は3.65%になります。
ですので、売出価格からの乖離率で取引価格をみると、
3,590×(1-0.0365)≒3,459万円
となります。
レインズマーケットインフォメーションから算出
「レインズマーケットインフォメーション」で以下の条件で検索すると、1年以内の取引事例が26件出ました。
検索条件の設定が、
・専有面積:60㎡以上80㎡以下
・築年数:15年超え20年以内
・徒歩距離:6分以上10分以内
その事例の平均取引価格を算出する、51.2万円/㎡でしたので、
成約価格は、51.2×68.8㎡
=3,522万円
となります。
これをまとめますと、
売出価格 | 3,590万円 |
成約価格(相場) | |
乖離率から算出 | 3,459万円 |
成約情報サイトから算出 | 3,522万円 |
不動産の場合、相場を知るといっても算出方法や算出する人の違いによって、一定の幅が出ることは仕方がありません。
この例で、仮に3,459万円が相場だったとしても、売出価格は、約3.8%高くなっています。
ですので、売出価格としては、相場に近い価格であり強気の価格設定とは言えないと思います。
最終的に、売出価格3,590万円から40万円の価格交渉が通り、3,550万円での取引となりました。
まとめ
中古マンションの相場を調べる方法として、
- 不動産ポータルサイト等
- 取引情報サイト
- 土地総合情報システム
- レインズマーケットインフォメーション
- 不動産仲介会社の活用
をお伝えしました。
また、売出価格と成約価格は、売出期間に応じて乖離率が違うことも分かりました。
相場を知りながら、よりお得に購入できるよう参考にしてみてください。