投稿日:2016年8月24日 | 最終更新日:2024年11月22日
はじめに
●できるだけ安く買いたい
●予算を少し超えるが買いたい
●相場より少し高いが買いたい
不動産を購入するときの予算と価格の状況はさまざまで、こういった場合に値下げ交渉をすることが考えられます。
ただ、不動産は高額であるとともに、初めての住宅購入、初めて家を売るという売主も多くいますので、値下げ交渉、価格交渉をうまくするにはどうすればよいか分からない人も多いでしょう。
この記事では不動産購入時の値下げ交渉をうまくすすめる方法について解説します。
- 値引き交渉のやり方
- 値引き交渉をしやすくするコツ
- 価格交渉しやすいタイミング
- 値引き交渉はどこまでできる?
- 価格交渉が失敗・難しいケース
価格交渉によって購入費用を抑えることができれば、住宅ローン借入金額や諸費用なども抑えることができます。是非参考にして下さい。
不動産購入時の値下げ交渉の方法
不動産取引で価格の交渉をする場合、タイミングと方法があります。
値下げ交渉は購入の意思が固まってから
価格交渉はいつでもできるわけではなく、「この物件を買いたい」という意思が固まった段階で行います。
物件資料を見ただけ、内覧後の購入の意思がまだ固まっていない段階で、「この物件の●●●万円になりますか?」「いくらまで値引きに応じてもらえそうですか?」という交渉はできません。
但し、物件によって売主側から価格調整が可能といった打診がある場合もあります。
値下げ交渉を含めた条件交渉は不動産購入申込書
不動産の価格交渉は、不動産購入申込書で行います。
つまり「この価格とこの条件で購入したい」という正式な意思表示を書面で行います。
そして、不動産会社が仲介に入っている場合、仲介会社を通じて行います。
不動産購入申込書に決まった雛形があるわけではありませんが、購入価格以外に契約・引渡し時期の希望や住宅ローン借入予定などをあわせて伝えます。
不動産購入申込書は、購入者側の不動産会社が準備したり、売主側から指定される場合もあります。
不動産購入の値下げ交渉のコツ
では、値下き交渉をしやすくするためにはどういった点がポイントとなるのでしょうか。価格交渉をしやすくするコツを3つご紹介します。
●売主の事情や取引状況をできるだけ把握する
●住宅ローン事前審査を通す
●購入の意思の本気度を伝える
売主の事情や取引状況をできるだけ把握する
値下げ交渉は当然相手があることですので、買主としてできるだけ知っておいた方がよい情報があります。
住み替え等の売却理由を把握する
売主が個人の場合と業者の場合がありますが、個人の方が売主の場合、売却理由は聞くようにしましょう。
あわせて、いつまでに売却したいかなどを知ることができる場合もあります。
売主さんの売却理由が住み替えで、住み替え先がすでに決まっている場合などは、できるだけ早く売りたいと考えていることが多くなります。
両手仲介か片手仲介か
不動産仲介会社を通して購入する場合、間に入る不動産会社の数によって両手仲介と片手仲介があります。
片手仲介
2社で売主、買主それぞれ一方のみを仲介する場合
両手仲介
1社が売主と買主、両者を仲介する場合
片手仲介であれば報酬は買主からの仲介手数料だけとなり、買主側の不動産会社として買主の利益のために行動してもらいやすいといえます。
一方、両手仲介の場合、不動産会社は売主と買主の相反する利益を調整する必要があります。取引が成立した場合、売主と買主両方から報酬をもらうことができますが、売り出し価格の設定含め、売主の利益に配慮する必要性は高くなります。
取引時の状況によりますが、片手仲介と両手仲介の不動産会社の立場の違いは意識しておきましょう。
住宅ローン事前審査を通す
値下げ交渉を行う2つめのコツは住宅ローン事前審査を通すことです。
売主にとって売却価格は重要ですが、同時に不動産取引を最後まで確実にすすめることも重要です。
この点踏まえ、価格交渉をしやすくするコツを4つ挙げました。
売主は、売買契約締結後に買主が住宅ローン承認が得られず、住宅ローン特約で契約が流れてしまうことを最も恐れます。
この点、住宅ローン事前審査を通していると、高い確率で住宅ローン本審査を通すことができることを売主に伝えることができます。
そのため値下げ交渉においても、売主に取引完了までの安心感をもってもらうことで交渉しやすくなります。
事前審査がないと購入申込ができないケースも多くあります。
購入の意思の本気度を伝える
値下げ交渉をうまくすすめる3つめのコツは、手付金の額やリフォームの見積もりを取得することです。
価格交渉をすすめるうえで、売主側に購入の本気度を感じてもらうことも大切です。購入申込は売買契約とは異なり、法的拘束力はありませんので状況によってはキャンセルが入ることもあります。
この点、不動産売買契約では、契約成立の証として、また引渡しまでの権利関係を安定させるために手付金を交わします。
手付金の目安は、一般に物件価格の5~10%といわれますが、解約手付を兼ねる手付金を一定金額いれることで、買主の本気度を売主に伝えることができます。
また、リフォームが必要な物件などの場合、リフォーム費用の見積もりをとることで、価格交渉の材料になる(これだけのリフォーム費用がかかるので●●円値下げして欲しいなど)とともに、購入意思の強さを伝えることもできます。
値下げ交渉しやすいタイミング
値下げ交渉をしやすいタイミングを考えることも大切です。
売り出しからの期間が長い
一般的に、売出からの期間が長いほど価格交渉はしやすくなりますので、売出の開始時期は不動産会社通じて確認しましょう。
1つの目安として、売り出しから3カ月という期間があります。
これは、売主と不動産会社が締結している媒介契約書の契約期間の更新時期をという意味があります。
媒介契約
不動産会社が売主との間で締結する契約で、売買契約の成立に向けての義務や業務内容等について規
定されています
媒介契約の最長期間は3カ月となっており、その期間内に売却できない場合、不動産会社は契約を更新する必要があります。
この点、売出価格や売却の目標時期にもよりますが、なかなか売却できない、問合せや反響が少ないといった状況だと、媒介契約の更新をしてもらえない可能性があります。
ですので、売主側の不動産会社も、何とか契約を成立させるために積極的に動いてくれやすくなり、価格交渉に対しても、売主の説得を頑張るかもしれません。
また、売り出しから時間が経っていても、途中、価格変更(値下げ)をしている場合などは、タイミングによってはそこからの交渉が難しい場合もあります。
決算時期
業者売主の物件であれば、決算時期が近ければそれに合わせた販売計画を立てていることは少なくありません。
会社にとって値下げしてでも売上を上げたいと考えやすいタイミングでもあります。
値引き交渉はどこまでできる?
では、値引き交渉はどこまでできるのでしょうか?
交渉の限度の目安は物件価格の5%!?
一般的に交渉金額は「100万円単位でみた端数」が多く、「100万円と端数」という場合もあります。
ではどこまで交渉できるかは、物件価格や取引時の状況によって一概には言えないとなりますが、1つの目安として物件価格の5%でしょうか。
●物件価格3,000万円であれば150万円
●物件価格4,000万円であれば200万円
●物件価格5,000万円であれば250万円
これは売主側の立場に立った場合、物件にもよりますが、価格交渉も見込んで相場より5%程度高く価格設定をしていることが多く、なかには10%高い強気の価格設定もありますが周辺相場から考えると高すぎるととらえられる可能性が高くなります。
仮に、5%程度高い価格設定をしていた場合、5%以上の値下げ交渉をすることは、相場よりも低い価格で買いたい言っていることになります。
売主側の立場も理解する
価格交渉をするにしても交渉相手があることですので、売主の立場を理解することも大切です。
個人が売主の場合
特に、個人売主の場合、これまで長年住み続けてきた家に愛着や思い入れがあることも多く、値下げ交渉しすぎると、この人には売りたくないという感情も出てくる場合もあります。
また、価格設定は売主側の不動産会社が周辺の条件が近い取引事例などを参考に売却価格を査定し、売主に提案、相談しながら決まります。
大きな価格交渉になると、売主からすると不動産会社から提案された売却価格はなんだったのかとなりえますし、不動産会社にとっても受け入れづらくなります。
業者が売主の場合
業者が売主の場合、売出価格は販売経費や利益を見込んで価格は決められます。
また、業者売主の場合、仕事として経費やリスクを負って販売活動をしています。ですので、個人売主の方以上に、販売価格つまり利益に対するこだわりは強くなります。
値下げ交渉が難しい・失敗するケース
最後に、価格交渉が難しい物件やタイミングもあります。
一般的に価格交渉が難しいと考えられるケースを4つ挙げてみました。
売出からの期間が短い
売出からの期間が短ければ価格交渉は難しくなります。
人気物件、希少性の高い物件は売れるまでが本当に早いですが、一般的に売出価格は3か月以内に売却できそうな価格設定を考えます。
つまり、まずは3カ月以内にできるだけ高く売れることを考えますので、売り出しで間もない、期間が短い物件の値下げ交渉は難しいといえます。不動産会社との関係でも媒介契約の更新時期まで間があると、協力的に動いてもらうことは難しいでしょう。
売出価格を提案する不動産会社の立場としても、売却を始めてすぐに価格交渉に応じたとなると、もともとの価格は何だったのかということになります。
人気物件・他の買主と競合した場合
他の買主と競合する人気物件、希少性の高い物件の値下げ交渉は難しくなります。特に、競合した場合に価格交渉することは、その後条件に合う物件がなかなか見つからないと後悔することになります。
売主側の事情・任意売却物件
売主側の事情で価格を下げられない場合もあります。
例えば、住宅ローンの残債を完済するために価格を下げれないケースがあります。
また、任意売却物件は基本的に価格交渉は難しくなります。
任意売却
住宅ローン返済を一定期間滞納したのち、競売になる前に、売却収入でローンを完済できなくても債
権者(金融機関)の合意のもと、一般の不動産市場で売却する手続きをいいます。
任意売却は、通常の売却と異なり売却価格を決めるうえで金融機関の同意が前提となります。そのため、価格交渉が難しいだけでなく、契約不適合責任も免責となります。
新築未完成物件
一般的に、中古物件より新築物件のほうが売れやすい分価格交渉は難しくなります。
特に、完成前の値引き交渉は難しいでしょう。
物件が気になっても、完成前はの状態では物件のイメージがしにくく、購入を決めきれない人多くいます。売主としても、完成後は実際に物件を内覧することで売れる可能性は高くなると考えます。
そのため未完成物件の価格交渉は難しいといえます。
まとめ
不動産購入時の値下げ交渉について解説しました。
- 値下げ交渉交渉のやり方
- 購入の意思が固まったとき
- 不動産購入申込書で行う
- 不動産購入の値下げ交渉のコツ
- 売主の事情や取引状況を把握する
- 住宅ローン事前審査を通す
- 購入の意思の本気度を伝える
- 価格交渉しやすいタイミング
- 売出・価格変更からの期間
- 決算時期
- 住み替えの場合
- 値下げ交渉はどこまでできる?
- 交渉の限度の目安は物件価格の5%!?
- 売主側の立場も理解する
- 価格交渉が難しい・失敗するケース
- 売り出しからの期間が短い
- 人気物件・他の買主と競合する場合
- 売主側の事情・任意売却物件
- 新築未完成物件