現在の家賃と定年までの返済期間からマイホーム予算を決めると…

家を買うとなったらまず最初にすべきこと…それは予算を決めることです。

ではこの『予算』をどうやって決めるか?

多くの方が言われるのは、

購入前の家賃を目安(基準)にして、毎月の住宅ローン返済額を決める

ということです。

先日もあるお客様は、

「今住んでいるマンションの家賃くらいで定年までに払い終えることができないか?」

ということを仰っておられました。

不動産屋さんの広告や物件チラシでも、

  • 家賃並みの支払いで家が買える…
  • 毎月の返済額は家賃と変わりません…

みたいな表記はよく見ます。

確かに、今支払っている家賃を基準とし、返済終了までの期間を定年までで考えると、

  • 「毎月の返済額」
  • 「返済期間」

が決まりますので、住宅ローンの借入金額を逆算することは可能です。

そして、住宅購入にあてられる自己資金を併せて、住宅購入予算を決めることができます。


ただ…この方法で予算を決めていいんでしょうか?

 

世帯年収700万円・返済期間30年・現在の家賃12万円の方の例

1つ例で考えてみたいと思います。

  • 購入者:35歳
  • 返済期間:30年(65歳までに住宅ローン完済を希望)
  • 世帯収入:700万円
  • 現在の家賃:12万円
  • 住宅ローン金利タイプ:全期間30年固定(金利1.6%)
  • 貯蓄1,500万円のうち500万円を住宅の頭金

 

□毎月の返済額:12万円
□返済期間:30年(65歳完済)
□金利1.6%

から住宅ローンの借入金額を逆算すると、約3,429万 になります。

そこに、500万円の自己資金を合わせると、

500万+3,429万=3,929万円

これが、今の家賃とリタイアまでの返済期間で算出した予算となります。

 

ここで出てきた購入予算ですが…

自分の希望する条件(返済額や返済期間)を満たし、かつ銀行から借入れできる範囲内である、

とすると、何も問題がないと思われるかもしれません。

 

ただ、繰り返しますが、ここで算出したマイホーム予算は、

1、住宅購入前の家賃
2、定年までの期間(年数)

によって決まってますが、

これが本当にその人にとって、無理なく払い続けられるマイホーム予算になっていると言えるか…

結果的にどうなるかは別として、

購入予算の決め方としては、正しいとは言えないと考えます。

 

購入時点ではなく、住宅購入後を基準に決める

その理由は…大きく以下の3点です。

1、家賃と住宅ローンの返済額を同じにすれば大丈夫という根拠がない

今の家賃を住宅ローン返済額の目安にする方は、

「現在の家賃が払えているのなら、同程度の金額の住宅ローン返済でも払えるはず…」

と考えられる方だと思われます。

しかし、これはある意味、購入時点のことしか考えていないとも言えます。

住宅ローン返済は、20年、30年と続きます。

さらに住宅購入の前後で、収入や支出の状況は変わります。

ですので、それまでの家賃を住宅ローン返済額を基準にする根拠はあまりありません。

2、借入期間の決め方に根拠がない

リタイア時点(65歳)までを返済期間という考え方でいくと、35歳でマイホームを購入するより、30歳で購入した人のほうが住宅ローンの借入期間は当然ですが長くできます。

毎月の返済額が同じであれば、借入期間が長ければ、借入できる金額は増えます。

つまり、住宅を購入する年齢で借入金額が変わるということです。

確かに一面では間違いではないのですが、ただ、1人1人家計の状況は異なります。

また、比較的若い年齢で住宅を買うと、その後、転職や家族構成の変化(子供の数が増えたり)など収入や支出が大きく変わる可能性もあります。

リタイアまでに住宅ローンの返済を終えたいこと自体は間違いではありません。

ただ、リタイアまでの年数を返済期間とし、予算を決めることに根拠はありません。

銀行の返済負担率と家計の負担率は違う

また、住宅ローンの返済負担率の範囲内であれば大丈夫と借入金額を決めるという方もいます。

返済負担率とは、「収入に対する住宅ローンの返済が占める割合」です。

そもそも、この基準は、

「金融機関が貸しても問題ないと考える基準」
であり、
「あなたが無理なく払っていける予算の基準」ではありません。

また、「年収」と年収から所得税や住民税などを差し引いた「所得」(いわゆる手取り)は違います。

ですので、年収に対する住宅ローンの返済負担率が大丈夫といって、この借入金額で大丈夫と判断するとのちのち後悔する場合があります。

ライフプラン・キャッシュフローから予算を決める

では、マイホームの予算をどうやって決めるべきか?

結論から言うと、

「購入後の家計の収支や貯蓄の推移、人生設計から考えて決める」

ことが一番確実な方法です。

つまり、住宅購入後のライフプラン・キャッシュフロー表を作成して予算を決めるということです。

関連記事:「住宅購入時、ライフプラン・キャッシュフローを作成する意味」

キャッシュフロー表を作成すると、購入後の家計の収入・支出状況だけでなく、教育・老後資金など将来迎えるライフイベントなど必要な資金が問題なく確保できるか、なども客観的に把握することができます。

購入後の家計の収支や貯蓄残高などから、老後までの長い視点から予算を決めることができます。

そして、ライフプランやキャッシュフローを作成する最大のメリットは、

1人1人異なる、家計の状況や家族構成、年齢などを踏まえた、その人に合った予算を知ることができる点です。

確かにマイホームを購入し、何十年と住宅ローンを払い続ける間には、予測できない出来事や状況に陥ることもあり、ライフプラン表やキャッシュフロー表を作成しても意味がないのではという方もいるかもしれません。

しかし、ライフプランやキャッシュフロー表によって、収支や貯蓄に基づいた返済計画を作成していれば、そういった不測の事態によって収入や支出の状況が変わっても、

  • それが家計にどれくらいの影響を与えるのか
  • 購入時点での計画からどれくらい外れるのか
  • 貯蓄目標からいくら足りないのか

ということも分かります。

そういった意味でも、マイホーム購入予算を算出する方法としては、最も説得力のある方法だといえます。

但し、ライフプランを作る上で精度や信頼性は重要です。

特に売り手の立場の方が作成するライフプランは、精度や信頼性について要チェックです。

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