投稿日:2016年7月22日 | 最終更新日:2023年11月8日

変動金利と固定金利の割合は?

住宅ローン選びでの最も大きなポイントは金利タイプです。住宅ローンの金利タイプ「変動金利」「固定金利期間選択型」「全期間固定」と大きく3つあります。

下表は、貸出金額ベースですが各金利タイプの利用割合を表したものです。

金利タイプ
変動金利76.2%
固定金利期間選択型13.5%
全期間固定金利3.4%
証券化ローン(フラット35等)6.8%

変動金利と固定金利の違い

変動金利・固定金利を選ぶ人の割合

令和2年度の住宅ローンの利用状況をみると、

金利タイプ選ぶ人の割合
変動金利型63.1%
固定金利期間選択型19.9%
全期間固定金利型4.6%
証券化ローン(フラット)12.4%
令和2年度民間住宅ローンの実態に関する調査(国土交通省)

変動金利が63.1%
・全期間固定が17.0%(フラット含む)


6割以上の方が変動金利を選ばれています。

・変動金利にする人が多いから
・不動産会社や住宅会社にすすめられた
・過去金利上昇していないから

という理由で変動金利にする方も多いと思います。

ただ、一番の問題は、

将来の金利動向は誰も分からない

ということです。

そこで、この記事では、

・変動と(全期間)固定金利かを決める判断基準
・変動と固定で決められないときの選択肢

についてまとめています。
住宅ローン選びで後悔しないためにも役立てて頂けると思います。

固定期間選択型の金利タイプもありますが、この記事では扱いません。
よろしければ、こちらの記事を参照ください。

変動金利と固定金利の違い

最初に、簡単に変動金利の違いを説明します。

変動金利

変動金利は、市場金利の動向によって半年ごとに適用金利が見直される金利タイプです。

変動金利のメリット

固定金利と比べた場合、金利が低く設定されています。
ですので、契約当初の返済額は少なくなります。

変動金利のデメリット

市場金利が上がると適用金利が上がり、返済額が増える可能性があります。
つまり、完済まで返済額は確定しない金利タイプといえます。

(全期間)固定金利

固定金利(全期間)は、契約時の金利が完済まで続く金利タイプです。

固定金利のメリット

毎月の返済額が一定で、完済までの総返済額も見通せるので、返済計画が立てやすい。
また、市場金利の動向に左右されず、返済額が確定する点がメリットといえます。

固定金利のデメリット

変動金利と比べ金利が高い
また、市場金利が上昇しない場合、変動より返済額が増える可能性がある。

変動金利・固定金利を決める基準

住宅ローン 変動 固定 どっち

では、変動金利にするか固定金利にするか?
どういった基準で決めるべきなんでしょうか。

判断基準として、以下3つ挙げてみました。

  • 金利動向の予測・付き合い方
  • 金利上昇リスクの保険と考えられるか
  • 金利上昇リスクの大きさの違い

金利変動の予測・付き合い方

基準金利の影響をうける変動金利を選ぶかは、
今後の金利動向をどのように考えるかに左右されます。

金利動向について、いろいろな予測をされる方がいらっしゃいます。
ただ、10年、20年、30年と続く住宅ローン返済期間中の金利のゆくえを予測することはできません。

ですので、

変動金利を指向
・今後、金利上昇は考えにくい
・仮に上昇しても大きな上昇は考えにくい


固定金利を指向
・このまま低金利でいくことはない
・金利上昇がどれくらいになるか分からない

となります。

また、変動金利は、いつどれくらいの金利が上昇するか分かりません。

ですので、金利上昇した際は、返済額が変わりますし、金利上昇しそうと判断して金利タイプを切り替えるという選択もあります。

つまり、金利動向との付き合い方によって、選ぶ住宅ローンが変わるということです。

変動金利を指向
・金利動向と付き合っていける
・金利動向を見ながら金利タイプの変更も考えたい


固定金利を指向
・経済状況や金利動向を気にするのは面倒
・返済額が増える心配など考えたくない

・いつ金利が上昇するなんて分からない

となります。

金利上昇リスクの保険と考えられるか

変動金利と固定金利では、金利が違いますので毎月の返済額も総返済額も違います。
分かりやすいように、下記事例で解説します。

  【事例】
・変動金利:0.475%
・固定金利:1.33%
・返済期間30年
・元利均等返済(ボーナスなし)

 ※変動金利:三菱UFJ・三井住友銀行
 (2021年7月最優遇金利)
 ※固定金利:フラット35
 (融資率9割以下・団信あり)

住宅ローン毎月返済額の差

借入金額別に毎月の返済額を表にしたものです。

借入金額
(万円)
変動金利固定金利返済額
の差
2,00059,618円67,404円7,786円
3,00089,428円101,106円11,678円
4,000119,237円134,808円15,571円
5,000149,047円168,510円19,463円
借入金額別の毎月返済額の差

当然、借入金額が大きいほど毎月の返済額の差も大きくなります。

そして、返済額の差は、

金利が上昇するリスクに対する保険料

でもあります。

ですので、

変動金利を指向
・毎月の返済額の差が保険料として高い

固定金利を指向
・毎月の返済額の差は保険料として払っても良い

となり得ます。

住宅ローン総返済額の差

また、返済額を比較するとき、毎月の返済額だけでなく総返済額で考えることも重要です。
上記事例での総返済額の差は以下の通りです。
 ※金額は概算額です

借入金額
(万円)
変動金利固定金利総返済額
の差
2,0002,146
万円
2,426
万円
280万円
3,0003,219
万円
3,639
万円
420万円
4,0004,292
万円
4,853
万円
561万円
5,0005,365
万円
6,066
万円
701万円
借入金額別の総返済額の差

この事例の30年間で完済した場合の総返済額の差です。

総返済額でみても、30年間の保険料として高いと思うか、必要な保険料と考えるかによって変わります。

ただ、この差は、途中繰上げ返済や繰上げ完済をした場合、もっと少なくなります。

また、この差は30年間、変動金利が全く上昇しない前提です。

変動金利が上昇した場合の固定金利との差

参考に、金利が上昇した場合の返済額の違いを比較しました。

【ケース1】10年後に2%金利上昇
【ケース2】15年後に2%金利上昇

2つのケースで総返済額を比較しました。

【10年後に金利が2%上昇】
借入金額
(万円)
変動金利固定金利総返済額
の差
2,0002,447
万円
2,426
万円
21万円
3,0003,670
万円
3,639
万円
31万円
4,0004,894
万円
4,853
万円
41万円
5,0006,117
万円
6,066
万円
51万円
借入金額別の総返済額の差

変動金利が10年後に2%上昇した場合、変動金利の方が総返済額が多くなります。

固定金利による保険効果はありますが、その効果はこれくらいの差です。
それをどう考えられるかだと思います。

【15年後に2%上昇した場合】
借入金額
(万円)
変動金利固定金利総返済額
の差
2,0002,313
万円
2,426
万円
113万円
3,0003,470
万円
3,639
万円
169万円
4,0004,627
万円
4,853
万円
226万円
5,0005,784
万円
6,066
万円
282万円
借入金額別の総返済額の差

15年後に2%の金利上昇があった場合でも、変動金利より固定金利の方が総返済額は多くなります。

つまり、このタイミングでこの程度の金利上昇では、固定金利にする意味はなかったということになります。

ただ、保険効果は借入金額や返済期間によって変わりますので個々に判断が必要です。

金利上昇した場合のリスクの大きさ

変動か固定かを判断する3つ目の基準は、金利上昇のリスクの大きさです。

つまり、

変動金利を指向
・金利上昇時に対応できる資金がある
・金利上昇の(家計等への)影響が小さい

・返済負担率が低い
・金利上昇しても問題なく返済を継続できる

固定金利を指向
・金利上昇に対応できる資金がない
・金利上昇した場合、影響が大きい

・返済負担率が高い
・金利上昇すると返済が厳しくなる

によって判断するということです。

返済負担率とは、
年収に対して、住宅ローンの年間返済額が占める割合

現在は諸費用やリフォーム費用含め、物件価格以上の住宅ローンの借入も可能です。

そして、資金計画によって返済負担率や融資率は異なり、金利上昇した場合の影響も異なります。

金利上昇した場合の返済額への影響だけでなく、家計全体への影響も含め金利上昇リスクは判断する必要あがあります。

変動金利と固定金利で決められない

変動金利・固定金利でどうしても決められない場合の選択肢について2つお伝えします。

固定期間選択型の住宅ローン商品

借入当初から一定の期間の金利を固定する商品です。
固定期間終了後は、変動金利になるか、再度固定期間を選択することができます。

固定期間(2~20年)によって、また、金融機関によっていろいろな商品があります。

ただ、固定期間選択型も選択肢の1つとしてありますが、

変動か固定か決められないから、とりあえず何年間か固定できるものを選ぶ
といった単純なものではありません。

固定期間終了後の金利水準や対応について、しっかり確認した上で決める必要があります。

ミックスローン・ぺアローン

ミックスローンは、
借入金額を、変動金利、固定金利、期間選択型の金利タイプで組み合わせて借入する方法

4,000万円の借入金額に対して、

・2,000万円を変動金利
・2,000万円を固定金利


といった形です。

また、2人で借入する場合、ミックスローンと同様の効果を得る方法とてぺアローンがあります。

ぺアローンは、
夫婦など2人で1つの不動産に対して2本の住宅ローンを契約する方法

ぺアローンは2本の住宅ローンを契約しますので、一方を変動金利、もう一方を固定金利と分けることができます。

ただ、これらの効果については、

変動金利と固定金利それぞれの良いとこどりをする反面、それぞれのメリットも少なくなります。

まとめ

変動金利と固定金利を考える基準

・金利動向の考え方
・金利との付き合い方
・金利上昇リスクの保険と考えられるか
・金利上昇リスクの大きさ

変動金利と固定金利で決められない場合

・固定期間選択型住宅ローン
・ミックスローン
・ぺアローン

あなたの住宅ローン選びの参考にしてみてください。

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