住宅ローン変動金利とは?

住宅ローン金利タイプには大きく分けて3つあります。

  • 全期間固定金利タイプ
  • 固定期間選択型金利タイプ
  • 変動金利タイプ

そのうち、

変動金利タイプの住宅ローンの利用者の割合が、57%と6割近くを占めます。
※国土交通省「2018年民間住宅ローンの実態に関する調査」

2015年度の調査時点では35.8%でしたが、ここ数年で徐々に増えています

この記事では、住宅ローン選びの参考として頂くため、変動金利が選ばれる理由と考えられるリスクについてまとめました。

変動金利のメリットとデメリット

変動金利のメリット

変動金利の一番のメリットは、金利の低さ

です。

他の金利タイプを比較すると、低く設定されているので、少なくとも借入当初の返済額は少なくなります。

変動金利のデメリット

変動金利のメリットは金利の低さにありますが、
これはあくまでも借入時点での判断になります。

一般的に金利は半年ごとに見直しされますので、
経済状況の変化などで金利が上昇する可能性があります。

つまり、

金利上昇よって、返済額が増え、家計や貯蓄などに影響する可能性がある

商品といえます。

しかも、住宅ローン返済期間は長期に渡ります。

長期間に渡り金利変動のリスクがある金利タイプですが、多くの方が選ばれる理由は何でしょうか?

変動金利が選ばれる理由

変動金利タイプが選ばれる理由は、大きく4つ考えられます。

  • 金利が低い
  • 金利の見通し
  • 住宅会社や不動産会社に薦め
  • 変動金利の5年・125%ルール

金利が低い

多くの方が変動金利が選ぶ一番の理由は金利の低さです。

ネット銀行含め、0.5%を切る商品を見ると、選びたくなるのも無理はないです。

固定金利と比較すると、どれくらいの差か比べてみました。

・借入金額:3,500万円
・返済期間:30年
・全期間固定金利:1.27%
 ※2019年3月。融資率9割以下
・変動金利:0.47%(りそな銀行・融資型)
・元利均等返済・ボーナスなし

上記の前提で比較すると、

金利タイプ毎月の返済額
全期間固定
(フラット35)
116,967円
変動金利
(りそな銀行)
104,256円
毎月返済額の差12,711円

毎月12,700円の差は大きいですね。

変動金利を選びたくなるのは分かりますが、一方でこの差は借入時点の話でもあります。

ですので、将来の金利がどうなるかの見通しで、選ぶ金利タイプも変わります。

【関連記事】
低金利の時代に考える、住宅ローン固定金利と変動金利の差

これからの金利見通し

多くの方が変動金利を選ばれる2つ目の理由が、金利の見通しです。

変動金利の過去の推移

下図は、1984年以降の変動金利含めた基準金利の推移をあらわしたものです。

基準金利(店頭金利ともいう)とは、
各金融機関が決める住宅ローン金利の定価のようなものです。
実際の契約金利(適用金利)は、基準金利からの金融機関が決める優遇幅で決まります。

基準金利は、変動金利を決める指標となるものですが、途中(2007年~2009年くらい)に若干の上昇はありますが、

過去20年以上ほとんど変わっていません。

変動金利 推移

このデータを見ると、

これからの金利上昇は考えにくい

という見通しをもちやすくなり、変動金利が選ばれる要因と言えます。

これからの人口減社会を考えると、大きな金利上昇は考えにくいという見方もあります。

ただ、冷静に考えると、

過去20年間上昇しないから、今後20年間も上昇しない

ということにはなりません。

金利上昇するシナリオは?

20年、30年に及ぶ住宅ローン返済期間中、景気が上向き、それにともない物価上昇が進めば、金利が上昇するというシナリオは考えられます。

ただ、それがいつかは誰も分かりませんし、そこまで考えて住宅ローンを選び方は少数派と思われます。

また、2020年東京オリンピック後、日銀の黒田さんの交代(2023年3月で任期終了)含め、現在の金融緩和政策が継続するか不透明であります。

もっと悪いシナリオを言えば、日本の社会保障費が膨らんでいる中、税収が減り、日本の国債の信頼性が低下、海外の投資家含め国債の引き受け先が見つからないこともあります。

その結果、長期金利の上昇さらには、変動金利の指標である短期金利の上昇といった可能性もなくはありません。

ただ、私も現時点では、近い将来、金利が上がる見通しは持ちにくいです。

住宅会社や不動産会社に薦められる

変動金利を選ぶ3つ目の理由は、

住宅会社や不動産会社から薦められる

ということです。

ただ、住宅会社は家を売ること、不動産会社は家を買ってもらうこと仕事です。

家を買ってもらいやすように、

毎月の返済額が少なくみえる変動金利を薦めるのは当然ともいえます。

あなたが家を買ったあとの生活について何ら責任はありませんし、売れれば、買ってもらえればいいということです。

ですので、

住宅ローンを最後まで返済する購入者とは、立場が違う

ことは認識しておいて下さい。

変動金利5年・125%ルール

また、変動金利を選ぶ際の後押しとして、変動金利の5年ルール、125%ルールがあります。

この説明を聞かれて、変動金利に決断される方もいるのではないでしょうか。

5年ルール、125%ルールについて解説します。

変動金利5年ルール

変動金利 金利上昇

変動金利の金利見直しは、基本的に6ヶ月おきに行われます。
(4月と10月の基準金利で見直しを行う金融機関が多いです)

ただ、仮に基準金利が上昇した場合でも、すぐに返済額が変わりません。

毎月の返済額が急激に増え、家計への影響、住宅ローン返済の滞納などを防ぐ意味で、

金利上昇があっても、返済額は5年間変わらない

というルールがあります。

変動金利125%ルール

変動金利には、5年ルールに加え125%ルールがあります。

例え、金利が上昇しから5年後、返済額が上昇した場合でも、

返済額の上昇幅は、それまでの返済額の1.25倍がを上限とする

というルールがあります。

例えば、金利上昇で、毎月の返済額が10万円から13万円に増えた場合でも、返済額は、それまでの1.25倍、つまり、125,000円までしか増えないということです。

これも住宅ローン返済額が急激に増えて、返済が困難になることを防ぐ意味です。

5年ルール、125%ルールを採用していない金融機関もあります。
また、固定期間選択型の商品で、固定期間終了後、変動金利に移行した場合に適用にならない場合がありますので確認が必要です。

5年・125%ルールの注意点

ただ、注意してほしいのは、

・5年間返済額が変わらない
・返済額の上昇が125%におさえられる

としても、

金利が上昇した分の利息負担は増えます

つまり、5年ルールも125%ルールも、金利上昇の負担を抑えるものではなく、毎月の返済額だけをおさえるものということです。

ですので、元利均等返済で毎月の返済額が変わっていないように見えても、

金利が上昇した分、毎月返済額の元本返済分が減り、利息返済分が増えることになります。

その結果、元本自体が減りにくくなります。

ですので、5年ルール、125%ルールがあっても、

住宅ローン総返済額は増える

ことは知っておいてください

【関連記事】
住宅ローンの返済方法、元利均等・元金均等どっちがいいの?

5年ルール・125%で備えられるリスク

変動金利で金利上昇があった場合、

  • 返済期間中、繰上げ返済をしていく
  • 返済期間終了時に、残った残高を一括返済する

しない限り、当初の返済期間内に完済できないことになります。

このように考えると、変動金利の5年ルール、125%ルールは、

「毎月の返済が続けられなくなるリスク」

に対してのシステムといえます。

金融機関からすると一番最悪なのは、契約者が住宅ローン返済を続けられなくなることです。

そういった場合のため、家に抵当権を設定して担保にしているわけですが、仮に抵当権を実行しても全額を回収できるかどうかは分かりません。

金融機関とって一番良いのは、返済を続けてもらうことです。

5年ルール・125%ルールはそのためのルールといえます。

まとめ

■変動金利タイプを選ぶ理由

・金利が低い
・金利の見通し(上昇しない)
・住宅会社・不動産会社に薦められる
・5年ルール・125%ルール

変動金利が約6割の人に選ばれているから、選ぼう、選んでも大丈夫と考えられる方もいらっしゃると思います。

ただ、変動金利が選ばれている理由やリスクについても、しっかり踏まえた上で判断頂ければと思います。

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