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住宅ローン元利均等返済と元金均等返済の違い
住宅ローンを契約するとなると、金利タイプや借入金額、返済年数の他に「返済方法」を決める必要があります。
返済方法には、
・元利均等返済
・元金均等返済
があります。
では、元利均等返済(以下、元利均等)と元金均等返済(以下、元金均等)では何が違うのでしょうか。
元利均等は、その名の通り、元本と利息を併せて毎月均等に返済していく方法です。
それに対し、元金均等は、元本を均等に返済していく方法です。
上の図を見てもらえば分かりますが、
返済期間中、
- 元利均等⇒毎月の返済額が同じ
- 元金均等⇒毎月の返済額が徐々に減る(変わる)
という違いがあります。
つまり、同じ条件の借入であれば、
当初、元金均等の毎月の返済額は元利均等より多くなりますが、
返済が進むにつれ毎月の返済額は減り、途中どこかの時点で
毎月の返済額は元利均等より少なくなりす。
元利均等と元金均等のメリット・デメリット
では、元利均等と元金均等どちらを選ぶべきか、
それぞれのメリット・デメリットを考えてみました。
元利均等返済のメリット
- 返済額が変わらないので返済計画が立てやすい
- 当初の返済額が(元金均等と比べ)少ない
- 返済負担率が低くなる(住宅ローン審査上)
元金均等は元利金等に比べ、借入当初の年間返済額が多くなるので、返済負担率(年収に対する年間返済額の割合)の点では不利になります。
審査基準の1つに返済負担率がありますので、そもそも住宅ローン審査に通らない場合も出てきます
元利均等返済のデメリット
- 総返済額が元金均等と比べ多くなる
- 保証料が元金均等より多い
- 元本の減りが元金均等より遅い
一方、元金均等返済はその裏返しとも言えますが、
元金均等のメリット
- 元利均等より総返済額は少ない
- 保証料が元利均等返済より少ない
- 元本の減りが元金均等返済より早い
元金均等のデメリット
- 当初の毎月の返済額が多い
- 返済額が一定ではないので返済計画が立てにくい
このように、総返済額や元本の減り方といった経済的な面に関しては、元金均等のほうが有利です。
住宅ローン諸費用の1つである保証料についても、元利均等より元金均等の方が少なくすみます。
ただ、この低金利時代、元金均等の経済的メリットは、それほど多くないと言われる方もいます。
実際どれくらいの違いがあるのでしょうか?
元利均等返済と元金均等返済の差
借入金額3,500万円を返済期間30年(固定金利1.3%)として試算してみました。
総返済額・諸費用の差
3,500万円を30年間(全期間固定1.3%)で借入の場合
元利均等 | 元金均等 | 差額 | |
---|---|---|---|
毎月の返済額 (総額) | 42,286,044 | 41,843,795 | 442,249 |
諸費用 (保証料) | 669,725 | 534,485 | 135,240 |
577,489 |
毎月の返済額と諸費用(保証料)合わせ、約57万円の差です。
借入金額や返済期間、金利によって変わりますが、これを多いと感じるかどうかですが、経済的メリットは元金均等返済のほうにあります。
【関連記事】
▶家を買うときの諸費用とは?住宅購入の流れと必要な費用まとめ
毎月返済額の違い
では、元金均等返済のデメリットと言われる、
・借入当初の返済額が多い
・返済計画が立てにくい
という点についてはどうでしょうか。
同じ3,500万円の借入金額で、借入から10年後、20年後、25年後の返済額の推移を表にしました。

元利均等返済は、返済期間中変わらず、
毎月の返済額は1,174,761円です。
それに対し、元金均等返済は、
借入当初元利均等返済より17,677円返済額が多くなります。
そこから徐々に毎月の返済額は少なくなり、14年後元利均等とほぼ同じ返済額になります。
それ以降、返済額は減り続け、25年後では、元利金等より13,815円/月返済額は少なくなります。
元金均等返済で借入当初の返済額135,138円/月と比べた場合、
25年後103,646円/月と返済額が31,492円少なくなります。
元金均等返済は、当初の返済額の負担が大きい反面、将来時点の返済額は逆に負担が少なくなります。
貯蓄や家計の状況、ライフプランを考えて、返済に問題がなければ、元金均等も積極的に検討すべきです。
ただ、もう1つ元利均等と元金均等の違いとして知っておきたいのが、将来時点の住宅ローン残高の違いです。
住宅ローン借入残高の差
下の表は、元利均等と元金均等で、
10年・20年・25年後の住宅ローン残高を表したものです。
購入からの 期間 | 元利均等 | 元金均等 | 住宅ローン 残高の差 |
---|---|---|---|
10年後 | 2,481万円 | 2,333万円 | 147万円 |
20年後 | 1,321万円 | 1,166万円 | 154万円 |
25年後 | 682万円 | 583万円 | 98万円 |
当初の返済期間を30年、35年で組まれて、10年後で繰上完済する方は少ないかもしれませんが、20年、25年後だと繰上げ完済される方も多くなります。
先程と同じ事例で元利と元金で比べた場合、
20年後で約154万円、25年後で約98万円、住宅ローンの残高に差が出ています。
住宅ローン残高の差はどう影響するか?
将来の住宅ローン残高の違いは何に影響するのでしょうか?
- 繰上完済をする場合、その資金が少なく済みます
- 家を売却しやすくなる
- 住宅ローンを借換えしやすくなる
将来時点の住宅ローン残高が少なければ、その家の価値(売却価格)との関係でいうと、売却しやすかったり、住宅ローンの借り換えがしやすいといったメリットがあります。
元金均等は元利均等と比べて、住宅ローンの返済をしながら、こつこつと貯金しているようなイメージです。
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▶完済までみすえる住宅ローン返済計画
~返済期間、返済方法で何が変わる?~
まとめ
これまでみてきたように基本的には、元金均等返済の方が元利均等返済より、
- 総返済額
- 将来の住宅ローン残高
いずれも少なくなります。
30代で小さなお子様いらっしゃる方が住宅を購入する場合、一般的にお子様の教育資金の負担が一番大きくなる大学入学までの間に貯蓄をしていく時期でもあります。
ですので、お子様の教育費が本格的にかかる時期まで、元金均等返済で返済を頑張って、できる限り元本を減らすという考え方もあります。
ただ、会社員・公務員の給与水準は、基本的には徐々に上がっていく見通しが多いです。
ですので、借入当初の収入が少ないときに、元金均等返済による住宅ローン返済の負担が大きすぎる、生活が苦しい、楽しくないとならないことも大切です。
ですので、家計的に問題ない返済額であることを、しっかりと確認したうえで元利金等か元金均等か決めるようにしてください。