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年収だけでなく年齢も重要
住宅ローンの借入金額を決めるのに、
みなさん年収という基準をもっとも重要視されます。
もちろん間違いではないのですが、
年収といっても、
・その時の年収
・リタイアまでの収入
があります。
住宅ローン返済にあたって、
購入時の年齢によって、
リタイアまでの年収総額は大きく変わります。
この記事では、住宅購入年齢と住宅ローン借入金額について、注意してほしいことをまとめました。
マイホーム購入年齢
国土交通省の調査によると、
1次取得者(初めてマイホーム購入する人)の平均年齢は以下の通りです。
物件種別 | 世帯主の平均年齢 |
注文住宅 | 39.5歳 |
分譲戸建て | 37.4歳 |
分譲マンション | 39.5歳 |
中古戸建て | 42.9歳 |
中古マンション | 44.2歳 |
2017年住宅市場動向調査(国土交通省)
平均すると40.7歳。
20歳で家を買う方もいらっしゃいますが、
晩婚化に合わせ購入年齢も上がっている感じです。
また、ご相談を受けていて、40歳前後になると、
- 家を買っても大丈夫?
- 住宅ローンの借入金額はいくらまでがよい?
という疑問や不安を持たれる方も多いです。
こういった不安を感じる理由の1つは、
リタイアまでの期間が短い
ことからです。
購入年齢と住宅ローン審査
現実問題として、購入年齢は、マイホーム購入に大きく関係します。
住宅ローン審査項目
下表は、住宅ローンの融資を行う際に金融機関が考慮する項目をアンケートした結果です。

国土交通省
審査項目の上位3つは以下の通りです。
【第1位】完済時の年齢
【第2位】返済負担率
【第3位】借入時の年齢
住宅ローンの完済年齢、借入する時点の年齢とも、
融資する金融機関からみても最重要事項ということです。
住宅ローン審査は、さまざまな項目を総合的に審査されます。
ですので、年齢が高い=不利と一概にはいえません
返済負担率
そして、重要審査項目の第2位が返済負担率です。
「返済負担率」とは、
年収に占める住宅ローン返済の割合です。
※返済中の車のローン等あれば、それも返済負担率を算出する際含まれます
この基準は、金融機関によっても異なりますが、30%~40%で設定されていることが多いです。
フラット35では、返済負担率が公表されています。
・年収400万円未満の人:30%以下
・年収400万円以上の人:35%以下
※フラット35HP
返済負担率は低いほど、住宅ローン審査でも有利になります。
ですので、
同じ借入金額であれば年収が高いほど有利になります。
年収と返済負担率
例えば、年間の返済額が120万円の場合
(毎月10万円・ボーナス返済なし)
年収 | 返済負担率 |
400万円 | 30.0% |
500万円 | 24.0% |
600万円 | 20.0% |
700万円 | 17.1% |
これら返済負担率は、融資を受けるうえで重要です。
ただ、返済していくうえでも住宅ローンの返済負担は重要です。
そして、住宅ローン審査における返済負担率は、
借入できる金額を判断するための指標であり、
無理なく返済できる基準ではありません。
住宅購入年齢からみた返済負担率
下表は、購入した住宅種別の住宅ローン返済に対する負担感を調査した結果です。
(国土交通省)
非常に 負担感あり | 少し 負担感あり | あまり 負担感はない | |
注文住宅 | 10.8% | 53.8% | 27.2% |
分譲住宅 | 10.1% | 59.2% | 25.9% |
中古住宅 | 5.8% | 51.1% | 35.0% |
令和元年度 住宅市場調査(国土交通省)
購入物件によってばらつきは多少ありますが、
住宅ローン返済に対して、
「非常に負担感あり」、「少し負担感あり」
と答えた方の割合は、全体の6割にのぼります。
家賃であっても、住宅ローン返済であっても多少の負担感はあるのかもしれません。
ただ、住宅購入後、ローン返済によって
「生活が苦しい」
「生活が楽しくない」
「やりたいことができない」
では困ります。
そうならないために気を付けて頂きたいのが、
購入年齢も踏まえた「返済負担率」です。
「リタイアまでの総収入」に対する「住宅ローン総返済額」
【事例】
・年収600万円
※55歳まで年2%上昇想定
※60歳~65歳再雇用収入70%想定
※65歳リタイア想定
・住宅ローン借入3,500万円
・住宅ローン金利1%
・返済期間:35年(65歳時に繰り上げ完済)
この事例で、
購入後の収入に対する住宅ローン総返済額の割合
を算出しました。
35歳でマイホームを購入する場合
①35歳~65歳までの収入:約22,782(万円)
②住宅ローン総返済額:約4,134万円
返済負担率(②/①):18.1%
40歳でマイホームを購入する場合
①40歳~65歳までの収入:約17,811(万円)
②住宅ローン総返済額:約4,091万円
返済負担率(②/①):22.9%
同じ年収でも、購入時の年齢によって、
返済負担率が5%近く違う結果になります。
住宅ローン審査では、年収と借入金額が同じであれば、返済負担率は同じになります。
ただ、購入時年齢によって、住宅購入からリタイアまでの総収入は変わります。
ですので同じ年収でも、購入する年齢によって住宅ローン返済に対する負担感は変わってくるということです。
年収800万円で45歳で購入した場合
①65歳リタイアまでの収入:約17,732(万円)
②住宅ローン総返済額:約4,021万円
返済負担率(②/①):22.6%
年収が800万円でも購入時の年齢が45歳の場合、
年収600万円で40歳時に購入した場合と
返済負担率はほとんど変わりません。
つまり、家を買うとき、
年収だけで返済負担率を判断すると、
購入時の年齢によっては、
思った以上に負担が大きいという
場合があるということです。
これは違う言い方をすれば、
購入からリタイアまでの長期の視点で、
収入に対する住宅ローンの返済負担率を考える
と言えます。
無理なく返済できる住宅ローン借入金額を知る
という意味では、
住宅ローン借入時の年収と借入金額で判断する返済負担率より、
リタイアまでの収入と住宅ローン総返済額で判断する返済負担率の方が重要です。
ライフプランで返済負担率を確認
このような長期の視点で住宅ローンの返済負担率を知る方法として、
ライフプランを作成することが挙げられます。
ライフプランは、
・購入後の収入見通し
・住宅ローン含めた支出の見通し
を年齢に合わせて、
長期の視点でシミュレーションできます。
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まとめ
- 住宅ローン借入した6割が返済負担を感じている
- 住宅ローン審査の返済負担率は借入可能額を知る基準であり、無理なく返済できる基準ではない
- 住宅ローン審査の返済負担率は、借入金額と年収だけで判断
- より重要な返済負担率は、
【リタイアまでの総収入】に対する
【住宅ローン総返済額】の割合 - 年齢に合わせた無理のない住宅ローン借入額を知るためにライフプランを活用する