投稿日:2017年4月30日 | 最終更新日:2023年11月10日
はじめに
団体信用生命保険(以下団信)
住宅ローン契約者が万一死亡もしくは高度障害になった場合に、残された家族に住宅ローンの負担が残らないようにする保険です。
民間の住宅ローンの場合、団信の加入は原則必須であり、保険料は金利に含まれている場合がほとんどです。
一方、フラット35の場合、団信加入は任意です。
ですので、以前は住宅ローン返済とは別に団信保険料を年払いする形でしたが、2017年10月から金利に含まれるようになりました。
ただ、フラットの団信加入は任意ですので、健康上の理由で団信に入れない方でも団信なしプランで利用することができます。
そうはいっても、住宅ローン借入にあたり、原則団信加入は必要です。
この記事では、フラットを検討される方に、団体信用生命保険3つのプランについて、金利や保障内容、また団信と生命保険の違いなどを解説します。
フラット35の団信
フラット35の団信(新機構団体信用生命保険)には、基本プラン含め3つの種類があります。
- 新機構団信(基本プラン)
- 3大疾病付機構団信
- デュエット(夫婦連生団信)
フラット35新機構団信の保障内容
新機構団信(基本プラン)は、
- 死亡したとき
- 身体障害者福祉法に定める障害の級別が1級または2級に該当し、身体障害者手帳の交付を受けたとき
に保険金が支払われます。
民間金融機関の一般団信は、死亡または所定の高度障害になった場合保険金が支払われますが、フラット35は保障内容が少し異なります。
加入できる年齢
機構団信(基本プラン)は、15歳以上満70歳未満の方が加入できます
フラット35機構団信の金利
フラット35では、機構団信(基本プラン)の保険料は金利に含まれています。
団信に加入する場合としない場合の金利はどうなるのでしょうか。
アルヒのフラット35金利
・返済期間21年以上35年以下
・融資率9割以下 の場合
団信の有無 | 適用金利 |
---|---|
団信加入 | 1.96% |
団信不加入 | 1.76% |
団信加入の有無によって、0.2%の金利差になっています。
※アルヒは住宅ローン専門の金融機関で全国でフラット35の取り扱いをしています
※その他、フラットの取扱金融機関は、民間金融機関のほか、優良住宅ローンやファミリーライフサービスなどがあり、商品プランや事務手数料も異なります
3大疾病付団信の保障内容
フラット35の3大疾病付団信は、
機構団信(基本プラン)に加え、
3大疾病(がん・心筋梗塞・脳卒中)や介護状態になった場合
を保障するものです。
- 3大疾病(がん・急性心筋梗塞・脳卒中)が原因で一定の要件に該当した場合
- 公的介護保険制度に定める要介護2から要介護5までのいずれかに該当した場合
3大疾病における一定の要件
・所定のがんにかかり医師に診断されたとき
・急性心筋梗塞を発病し初診日からその日を含めて60日以上、労働制限を必要とする状態が継続したと医師により診断されたとき
・脳卒中を発病し、初診日からその日を含めて60日以上、まひや運動失調、言語障害などの他覚的な神経学的後遺症が継続したと医師により診断されたとき
・急性心筋梗塞もしくは脳卒中の治療を目的とする手術を受けたとき
がん、急性心筋梗塞、脳卒中に備える保険ですが、病気の種類によって条件が異なります。
がんは診断ベース、その他の疾患は労働制限や手術などの条件が必要となっています。
加入できる年齢
3大疾病付団信は、15歳以上満51歳未満の方が加入できます
フラット35 3大疾病付団信の金利
3大疾病付団信の金利は、
機構団信(基本プラン)の0.24%上乗せとなります。
月々に直すとどれくらいの保険料になるのか、下記条件で算出しました。
借入金額:3,500万円
返済期間:35年(元利均等返済)
融資率:9割以下
※2023年3月金利
団信特約 | 金利 | 毎月の返済額 |
---|---|---|
3大疾病あり | 2.2% | 119,566円 |
3大疾病なし | 1.96% | 115,224円 |
差額 | 4,342円 |
保険料は借入金額によって変わります。
この場合の3大疾病付団信の保険料は、毎月4,342円になります。
3大疾病付団信の保障内容、保険金給付条件、年齢などを考えながら、加入するべきか判断する必要があります。
デュエット(夫婦連生団信)
デュエット
夫婦2人で住宅ローンの借入を行うときに(連帯債務)、夫婦のうちどちらか一方が万一の場合、持ち分や返済割合にかかわらず、以後の住宅ローン返済が不要となる保険です。
ただし、デュエットを利用する場合、機構団信のみ申込可能で、3大疾病付団信は申込できません。
加入できる年齢
機構団信(基本プラン)と同じ、15歳以上70歳未満の方が加入できます。
デュエット(夫婦連生団信)の金利
デュエットを利用する場合、0.18%金利が上乗せになります。
フラット35団信と生命保険の比較
フラット35では団信は任意加入という選択もできます。
そこで、団信を加入せず生命保険を利用する場合と何が異なるのでしょうか。
保険金額と保険料
団信の場合、返済がすすむと住宅ローン残高、つまり保険金額が下がります。
ただ、団信保険料(金利でいうと0.2%)は変わらず負担が必要です。
つまり、住宅ローン完済までは、保険料が下がっても同じ保険料です。
一方、生命保険の死亡保障保険もしくは収入保障保険では、
保険金額が変わらない、あるいは保険金額に応じた保険料を設定することができます。
また、途中、年齢や貯蓄などの状況に応じて、保険金額の見直しも可能です。
途中解約の可否
団信の場合、住宅ローン完済まで団信の解約はできません。
一方、生命保険の場合、住宅ローン残高や貯蓄の状況に応じて途中で解約も可能です。
保険料控除
生命保険の保険料は、年末調整や確定申告時に保険料控除を受けることができ、所得税、住民税を少なくすることもできます。
一方、団信については保険料控除は使えません。
生命保険の場合、契約年齢や健康状態などで保険料が変わります。
ですので、団信にするか生命保険にするかは、
団信と生命保険の違いを踏まえ、団信で負担する保険料、生命保険の保険料を長期の視点で比較して判断する必要があります。
まとめ
- フラット35の団信は任意加入である
- 団信加入と未加入の金利差は0.2%
- フラット35の団信には3つある
- 機構団信(基本プラン)
- 3大疾病付団信(+0.24%)
- デュエット(夫婦連生団信)
- 3大疾病保険は、金利+0.24%
- デュエット(夫婦連生団信)は金利+0.18%
- 団信の代わりに生命保険を利用することもできる