投稿日:2017年7月31日 | 最終更新日:2024年11月22日
日本人の新築指向
日本の「かっこいいところ」を外国人の目から発見する番組で『cool japan』 という番組をご存じでしょうか。
そのなかで、
日本人はなぜ新築にこだわるの?
というテーマがありました。
欧米では中古住宅の流通が7~8割を占めます。
日本はその逆で、既存(中古)住宅の全流通量の占める割合は、
14.5%(平成30年度)
にとどまります。
・中古住宅が余っているのに、なぜわざわざ新築を好むの?
・しかも、高いお金をかけて買うの?
と外国人は、みな日本人の新築指向には否定的でした。
新築と中古どちらがいいのか?
迷われる方も少なくないと思います。
新築か中古を5つの視点で比べてみました。
新築か中古かを判断する5つの視点
新築か中古かを以下5つの視点で比較しました。
- 住宅ローン控除・税制
- 購入後の保証
- 購入時の生活のイメージしやすさ
- 物件の選択肢の多さ
- 価格の妥当性・相場の分かりやすさ
新築と中古、住宅ローン控除の違い
新築と中古では、住宅ローン控除含め、住宅税制に違いがあります。
加えて、日本は、景気対策として新築重視の税制となっています。
住宅ローン控除額の違い
新築の場合、
建物の価格に対して消費税がかかります。
土地に関しては消費税はかかりません。
一方、
中古の場合、
個人が売主が多く(個人間売買)、
その場合消費税はかかりません。
リノベーション済みなどの中古再販物件の場合は、消費税がかかります。
こういった点踏まえ、新築と中古では住宅ローン最大控除額にも違いがあります。
【新築の場合】
<1~10年目>
最大500万円(50万円/年×10年間)
<11~13年目>
最大80万円
(長期優良住宅など認定住宅は最大100万円)
【中古(個人売主)の場合】
最大200万円(20万円/年×10年間)
床面積や築年数、入居、契約時期など、住宅ローン控除が利用できるための条件を満たしている前提です。
※中古住宅の場合、築年数の要件があります
上記は、住宅ローン控除の最大控除額ですので、借入金額や納付する所得税・住民税額によって変わる可能性があります。
ただ、
新築と中古では、還付される税金の額が大きく異なり、経済的効果は大きいです。
すまい給付金
すまい給付金は、消費税が5%から8%に上がった際の、住宅取得者の負担軽減のための措置です。
現在の消費税10%増税に合わせ、給付額も上がり、給付条件(年収要件)も緩和されました。
10万円から最大50万円の給付金が受け取れるすまい給付金ですが、中古住宅の個人間売買の場合(消費税非課税)、対象外となります。
住宅ローン控除とすまい給付金は併用して利用可能です。
登録免許税、固定資産税等の優遇
家を購入するとき、登記にかかる登録免許税、購入後には固定資産税が必要です。
こういった税金についても、新築が優遇されており、長期優良住宅や低炭素住宅など認定住宅であれば優遇はさらに大きくなります。
一方中古住宅の場合、優遇を受けるには、築年数や耐震基準適合証明など一定の基準を満たす住宅を購入するといった条件が必要となります。
購入後の保証(契約不適合責任)
家を購入したあとに欠陥について、購入者の立場からは心配になって当然です。
そういった場合のことを規定する法律として、
「契約不適合責任」があります。
「契約不適合責任」とは、
売主や請負人が買主に引き渡した物が、その種類や品質、数や量について「契約内容に適合していない」と判断された場合に、売主や請負人が負わなくてはいけない責任をいいます。
以前は「瑕疵担保責任」と呼ばれていましたが、2020年4月の民法改正で「契約不適合責任」となり、瑕疵担保責任より売主側の責任が重くなりました。
家を新築・新築住宅を購入した場合
家を新築もしくは新築住宅を購入した場合、2000年に施行された[「住宅の品質確保の促進等に関する法律」(以下品確法)によって10年間の契約不適合責任が規定されています。
但し、品確法の場合、すべての箇所に対する保証ではなく、
「構造耐力上主要な部分」および
「雨水の侵入を防止する部分」に限定されます。
これに加えて、新築住宅の場合、
売主が宅建業者であることが多いですが、この場合、宅建業法(40条)により引渡しから2年間の契約不適合責任があります。
この責任については、品確法のように特定の箇所に限定されません。
中古住宅を購入した場合
売主が個人の場合と宅建業者の場合で異なります。
売主が個人の場合
売主が個人の場合、売買契約の内容によって契約不適合責任の取り扱いは異なります。
契約状況に応じて、契約不適合責任をすべて免責(売主は責任を負わないこと)、一部を免責にしたり契約内容によって変わります。
多くの場合、契約不適合責任が適用される期間を引渡しから3か月や6か月に制限することも多いです。
売主が宅建業者売主の場合
宅建業者による買取再販物件の場合、前述の宅建業法40条が適用されます。
これは強行法規といって、免責にすることはできません。
ですので、売主は引渡しから2年間の契約不適合責任を負うことになります。
このように、新築と中古住宅では、購入後の保証について違いがあります。
新築の場合、取引に応じて、地盤保証やメーカー保証などがつく場合があります。
一方中古住宅の場合、個人売主に対して長期間保証の責任を負わせることはできませんし、そうなると中古不動産の取引自体が難しくなります。
中古住宅の購入後の欠陥に対するリスクヘッジとして、
建物調査や既存住宅瑕疵保険などを活用することもできます。
場所、物件の選択肢の多さ
どこにどういった家を買うか、予算との兼ね合いもありますが、選択肢が多い方がよいですよね。
地域性による違いもあるとは思いますが、一般的には、新築より中古住宅の方が選択肢は多いと考えられます。
新築の場合
新築マンションを建築用の土地、新築戸建て分譲用地を仕入れることは、年々難しくなっています。
もちろん、建て替えや相続、利用用途の変更といった形で、駅近や生活利便性の高い立地に新築住宅が建つこともありますが、その割合は少なくなっています。
また、好立地の新築マンションであっても、土地が狭く、世帯数が少ないといった場合もあります。
世帯数が少ない=ダメというわけではありませんが、少人数で管理組合を組織する点踏まえ、管理費や修繕積立金、駐車場の数、機械式駐車場の採用など、総合的に判断が必要です。
戸建て分譲地についても、立地条件があまり良くない、良くても1区画当たりの敷地面積が狭い、価格が想像以上に高いといったことは考えられます。
中古住宅の場合
中古住宅の場合、ストック数、流通量は新築より多いです。
ですので、立地条件や物件について、新築より中古住宅の方が選択肢は多いといえます。
家を買うときに、何を優先するかはそれぞれですが、選択肢が多いほど物件選びで失敗する可能性は低くなります。
購入時の生活イメージしやすさ
家を買うとき、購入後の生活をどこまでイメージできるかは非常に大切です。
土地建物だけでなく、生活環境や周辺環境の判断のしやすさは、新築と中古では違う点も多いです。
新築の場合
新築の場合でも、完成物件と未完成物件で異なります。
完成物件の場合
実際の生活導線や間取り、日差しや風通し、外部からの音、家具の配置などをしっかり確認して購入判断ができます。
未完成物件の場合
モデルルームや図面、建築中の現場でしか確認ができませんので、間取りや生活環境をよりしっかりと確認する必要があります。
特に、未完成の戸建て住宅の場合、周辺の建物や住宅密集度などの影響を受けやすいです。
日当たりや風通し、生活導線や収納スペース、プライバシー性などで後悔することも多いです。
中古物件の場合
中古物件でも、
- リフォーム・リノベ済みの物件かどうか
- 売主が居住中の物件かどうか
によって、購入後の生活のイメージしやすさは変わります。
このように新築、中古だけでなく、購入するタイミングや物件の状態ににょって、購入後の生活のイメージしやすさは変わります。
物件選びで後悔しないために、それぞれの状況に応じて、購入後の生活をイメージすることが重要です。
価格・価格の妥当性の違い
新築と中古住宅では、価格の決まり方や妥当な価格かどうかの判断のしやすさでも差があります。
利益を引き受けるのは誰?
新築住宅の場合
新築の場合、価格に売主の利益や広告費といったものが含まれます。
ですので、その不動産がもつ本来の市場価値以上の価格設定になっていることもあります。
いわゆる、新築プレミアムといわれるものです。
新築を購入することは、購入者がこの利益を引き受ける
ことになります。
また、利益率も事業形態(1棟か複数かなど)や物件の希少性や売れやすさによって違います。
ですので、物件によっては相場よりかけ離れた価格設定になっている場合もあります。
売りやすさやセールストーク含め、高値で買ってしまう可能性が高いのは新築といえます
中古住宅の場合
中古住宅の場合、基本的に売出価格は市場の取引(相場)に合わせて決められます。
また、個人売主の場合、業者売主の場合のように利益分の上乗せが必ずあるわけではありません。
つまり、新築と比べると価格の妥当性や相場を知った上で購入判断をしやすいといえます。
中古住宅の価格も、不動産会社による査定方法や売主の事情等によって価格設定に違いはあります。
ただ、一般的には、新築と比べると一定の相場や価格の妥当性を確認しながら購入できます。
まとめ
一般的には、中古住宅より新築の方がマイホームの予算は高くなります。
ただ、見た目の価格や仕様だけでなく、
- 税制や補助金含めた住宅コスト
- 購入後の保証
- 物件の価格の妥当性
今回は触れていませんが、 - 将来の資産性
こういったことを踏まえながら、物件選びを間違えないように判断が必要です。
是非参考にしてみてください。
ちなみに、冒頭の番組で、最初否定的だった外国人レポーターが、住宅展示場に立ち並ぶ、洋風・和風の立派なモデルハウスに、こんな家に住みたい~と最後は完全に洗脳されてました。恐るべしモデルハウス…