投稿日:2017年1月18日 | 最終更新日:2024年11月22日

年収とリタイアまでの総収入

住宅ローン借入金額を決めるのに、購入時の年収がもっとも重視されます。

ただ、収入という意味では、

・購入時の年収
・リタイアまでの総収入

という2つの考え方があります。

国土交通省の調査によると、
1次取得者(初めてマイホーム購入する人)の平均年齢は以下の通りです。

物件種別世帯主の平均年齢
注文住宅39.5歳
分譲戸建て37.4歳
分譲マンション39.5歳
中古戸建て42.9歳
中古マンション44.2歳

2017年住宅市場動向調査(国土交通省)

平均すると40.7歳。年齢的に遅めの住宅購入になると、

  • 家を買っても大丈夫?
  • 年齢的に借入金額はいくらまで?

という不安や疑問を持たれる方も少なくありませんが、

その理由の1つは、

リタイアまでの期間が短い

ことからです。

これは言い換えると、リタイアまでの総収入が少なくなるとも言えます。

この記事では、住宅ローン借入時の年収からみた返済負担率とリタイア時点までの総収入でみた返済負担率についてまとめました。

マイホーム予算や住宅ローンの借入金額に疑問や不安があるという方は参考にして頂ければと思います。

年収からみた返済負担率

「返済負担率」とは、
年収に占める住宅ローン返済の割合です。

※返済中の車のローン等あれば、それも返済負担率を算出する際含まれます

住宅ローンの融資を行う金融機関のアンケート結果でも、返済負担率は最重要項目の1つです。

住宅ローン審査

「民間住宅ローンの実態」に関する調査 (平成26年度)

国土交通省

この基準は、金融機関によって異なりますが、30%~40%以内で設定されていることが多いです。

一例として、フラット35では返済負担率が公表されています。

・年収400万円未満の人:30%以下
・年収400万円以上の人:35%以下
         ※フラット35HP

年収によって必要とされる返済負担率は異なります。
これは他の金融機関でも同じと考えらます。

返済負担率が低いほど住宅ローン審査では有利になります。

例えば、年間の返済額が120万円の場合、年収によって返済負担率も変わります。

年収返済負担率
400万円30.0%
500万円24.0%
600万円20.0%
700万円17.1%

こういった返済負担率は、融資を受けるうえで重要ですが、借入できる金額を判断する指標であり、

無理なく返済できる基準ではありません。

住宅ローンの完済年齢、借入する時点の年齢とも、
融資する金融機関からみても最重要事項ということです。

住宅ローン審査は、さまざまな項目を総合的に審査されます。
ですので、年齢が高い=不利と一概にはいえません

リタイアまでの総収入からみた返済負担率

下表は、購入した住宅種別の住宅ローン返済に対する負担感を調査した結果です。
(国土交通省)

非常に
負担感あり
少し
負担感あり
あまり
負担感はない
注文住宅10.8%53.8%27.2%
分譲住宅10.1%59.2%25.9%
中古住宅5.8%51.1%35.0%
全国

令和元年度 住宅市場調査(国土交通省)

購入物件によってばらつきはありますが、

「非常に負担感あり」「少し負担感あり」
の割合は全体の6割

にのぼります。

住宅ローン審査と年齢

さきほどの審査項目の上位3つは以下の通りです。

【第1位】完済時の年齢
【第2位】返済負担率
【第3位】借入時の年齢

住宅ローン審査

住宅ローン審査でも「年齢」は最重要項目です。

これは、年収以外に現役世代の期間、つまりリタイアまでの総収入も審査対象としていることを示しています。

そこで、リタイアまでの総収入で見た返済負担率について、事例をまじえシミュレーションしてみました。

「リタイアまでの総収入」に対する「住宅ローン総返済額」

【事例】
・年収600万円 
  ※55歳まで年2%上昇想定
  ※60歳~65歳再雇用収入70%想定
  ※65歳リタイア想定
・住宅ローン借入3,500万円
・住宅ローン金利1%
・返済期間:35年(65歳時に繰り上げ完済)

この事例で、
購入後の総収入に対する住宅ローン総返済額の割合
35歳と40歳で購入した場合で比較しました。

35歳でマイホームを購入する場合

①35歳~65歳までの収入:約22,782(万円)
②住宅ローン総返済額:約4,134万円

返済負担率(②/①)
18.1%

40歳でマイホームを購入する場合

①40歳~65歳までの収入:約17,811(万円)
②住宅ローン総返済額:約4,091万円

返済負担率(②/①)
22.9%

返済負担率が5%近く違います。

つまり、

「リタイアまでの総収入」に対する「住宅ローン総返済額」
という完済までの返済負担率

は、同じ年収でも購入時の年齢で変わります。

これは、年収が高くても購入時の年齢が遅い(現役世代の期間が短い)場合の返済負担についても同様です。

年収800万円で45歳で購入した場合

①65歳リタイアまでの収入:約17,732(万円)
②住宅ローン総返済額:約4,021万円

返済負担率(②/①):22.6%

年収が800万円でも購入時の年齢によっては、年収600万円の場合と返済負担はほとんど変わりません。


ここまで住宅ローン審査上の返済負担率とリタイアまでの総収入に対する返済負担率をみてきました。

家を買うとき、

年収だけで返済負担率を判断すると、
購入時の年齢によっては、住宅ローン返済負担が大きくなる

ということです。

ですので、

購入からリタイアまでの長期の視点で住宅ローンの返済について考える

ことも必要と言えます。

ライフプランで返済負担率を確認

このような長期の視点で住宅ローンの返済負担を知る方法として、ライフプランを作成する方法もあります。

ライフプランは、

・購入後の収入見通し
・住宅ローン含めた支出の見通し


を長期の視点で確認することができます。

まとめ

  • 住宅ローン借入した6割が返済負担を感じている
  • 住宅ローン審査は借入可能額であり無理なく返済できる額ではない
  • 住宅ローン審査の返済負担率は、借入時の年収と借入金額だけで判断
  • より長期の視点でみた返済負担率は、【リタイアまでの総収入】に対する【住宅ローン総返済額】の割合も大切