投稿日:2021年6月1日 | 最終更新日:2024年11月21日
一戸建て購入で後悔する理由
ヤフー知恵袋などを見ると「家を買って後悔」した書き込みが数多くあります。
なかでも、一戸建てを購入した場合の後悔についての書き込みが多いイメージです。
引っ越し後10日で売却したいという書込みもあります。
データがあるわけではありませんが、恐らくマンション以上に一戸建ての方が後悔するポイントは多いのではないかと思います。
その理由として以下のようなことが考えられると思います。
- 周辺環境の影響を受けやすい
- 1つ1つ個別性が高く比較が難しい
- 価格の妥当性が分かりにくい
マンション以上に一戸建ては、敷地の広さや形状、前面道路の幅、接道の仕方から、建物の構造や性能、仕様、間取りまで1つ1つが異なります。
マンションのように同じ場所に同じ仕様の部屋が数多くつくられるわけではありません。
そのため、マンションのような評価もしづらく後悔が生じやすいのではないかと思います。
この記事では、一戸建て購入で後悔しないためのチェックポイントについてまとめました。
- 交通・生活利便性
- 周辺環境
- 近隣関係
- 日当たり
- 間取り・生活動線
- 3階建て
- 予算・住宅ローン
- 資産性
- 付帯工事・諸費用
交通・生活の利便性
職場や都市部へのアクセスのしやすさ、生活のしやすさは生活環境に大きく影響します。
それまで知らない場所に家を購入する場合は特に、注意が必要です。
エリアや立地の選定は、非常に重要です。
交通利便性での後悔
- 最寄り駅まで時間がかかる
- 日々の通勤や外出が想像以上に負担だった
- 利用できる電車の種類、時間が少ない
通勤や通学、買い物などでの交通利便性は、調べてはいたものの実際に生活を始めると想像以上に負担、時間がかかるいうケースが多いと思われます。
生活の利便性での後悔
- 満足できる買い物施設が近くにない
- 通学路の交通量が多い、安全性が低い
- 駅周辺の施設やお店などが不満、物足りない
- 近くのいい病院がない、少ない
- 子どもを連れていける場所が少ない
これまで住み慣れている町から離れ、初めて住む場所に購入する場合などは、その場所での生活利便性を確認しきれないこともあるでしょう。
後悔しないためのポイント
最寄り駅を利用し、実際に歩く
交通利便性や生活利便性は、時間や距離、地図などを確認するだけでなく、実際に歩いたり電車に乗って体感することも必要です。
物件資料は80m/分の計算のもとに所要時間が掲載されていますが、実際は違うことも少なくありません。
実際に歩くと、坂道や迂回経路、信号の数、待ち時間、人通りや街頭、街の雰囲気など、発見もありますし、今の生活と比較もしやすいでしょう。
物件探しの優先順位を明確にする
交通利便性の高いエリアや立地は、価格や必要な予算も高くなります。そのため、家の広さや築年数などを優先すると、予算上、立地条件がどうしても悪くなる、郊外中心の物件探しになってしまうことがあります。
のちのち後悔しないために物件の優先順位を明確にすることも大切です。
●交通や生活の利便性を重視するのか
●建物の広さや築年などを重視するのか
交通利便性や生活利便性を左右する立地条件は、家の資産性にも関係します。
周辺環境
マンション以上に周辺環境の影響を受けやすい一戸建て購入では、周辺環境のチェックはより重要です。
前面道路、交通量での後悔
- 家の前の道路が実は生活道路や抜け道に利用されていた
- 思った以上に交通量が多い
- 交差点の角地に位置し、車の飛込みが怖い
- 道路の幅員が狭く、車のすれ違いが難しい
一戸建てで角地はそれだけの価値がありますが、交通量も含めて判断する必要があります。
音や振動での後悔
- 通行する車や電車の音、振動が気になる
- 通学路になっていて騒がしい
- 隣の公園からの音や飛込みが気になる
- 周辺の店舗や工場、作業場からの音
音や振動の程度や問題は、内覧中だけで分からないことも多いです。近隣の住民やお店、中古住宅であれば売主にできるだけ確認することが大切です。
後悔しないためのポイント
- 時間帯を変えて物件周辺を歩く
- 売主や近隣住民、お店などに確認
- 周辺施設、用途地域を確認する
用途地域によって建築できる建物は変わります。近隣の建築計画だけでなく、将来周辺に建つ可能性のある建物を事前に把握しておくことも大切です。
近隣関係
一戸建てでも近隣との関係性は大切です。
住宅密集地域や広くない敷地に目いっぱい建てられている場合、隣接住戸影響は大きくなりがちです。
また、自治会や地域のコミュニティが形成されている場合は、自治会活動等の負担も確認したほうがよいでしょう。
近隣関係の後悔
- (隣の窓の位置や大きさなど)視線が気になる
- 隣からの生活音が気になる
- コミュニティになじめない、付き合いが多い
- 隣が老朽化した空き家で、台風や火災のときの危険性
分譲地の一画を購入する場合など、分譲地の中で奥様同士のコミュニティが形成されている場合もあります。
後悔しないためのポイント
隣接住戸までの距離やすべての窓や開口部について、外部からの視線を確認しましょう。新たに購入した土地に新築する場合は、目隠し請求権(民法235条)が関係してくる場合もあります。
また、可能であれば近隣の人に生活環境やコミュニティについて聞いてみることです。
分譲の新築戸建ての場合、分譲会社や住宅会社は工事に先だって近隣挨拶を必ず行っています。
隣接住戸にどういう人が住んでいるか情報収集ができる場合もあります。
また、隣が老朽化した空き家や空き地の場合、建物の状態や今後建つ可能性のある建物は意識して確認するようにしましょう。。
日当たり
一戸建ては、間取りや開口部の数、位置、大きさで日当たりは異なります。
日当たりの後悔
- 冬場、想像以上に日当たりが悪い、暗い
- 内見した時間帯と日の入り方が全然違った
- 西日が思った以上に厳しい
- 洗濯物が乾きにくい
南向きや角地であれば、冬場の日照時間の短い時期でも日照は確保しやすいですが、北向きで隣接住戸と近い場合などは、特に日当たりについては確認が必要です。
後悔しないためのポイント
物件を見る時期や時間帯も考慮しながら、日当たりを判断する。
日当たりや採光は、1つの要素だけで判断すると失敗することがあります。
- 開口部(窓)の向きがどちらか
- 敷地周辺に日差しを遮る建物はないか
- 窓や開口部の大きさ、位置(高さ)
- 形状的(特にリビング)に光が届きにくいことはないか
また、新築未完成の分譲物件を購入する場合は、特に注意が必要です。
注文住宅であれば、打ち合わせ段階で日当たりや日照について希望を伝えることができます。
一方、新築未完成の分譲戸建ての場合、間取り上窓の位置や大きさが決まっている一方、未完成の段階で契約しなければならない場合もあります。
間取りから日照や照明の数がどうしても気になる場合は、追加や変更ができる場合もありますので、交渉することも含め考えましょう。
間取り・生活導線
生活、家事動線に関する後悔はマンション以上に起こりやすい。
間取りの後悔
- 無駄な(デッド)スペースが多い
- 生活動線が悪い
- 使いづらい部屋や収納がある
- ドアの開閉がしにくい
- 収納が少ない
- コンセントの位置や数が悪い
後悔しないためのポイント
間取りを判断する上で家事動線は重要です。
一連の作業を想像しながら図面を見たり、内覧することが必要です。
- 食事を作る→運ぶ→食べる→片付ける
- 洗濯ものを集める→洗濯する→干す→収納する
- 料理と洗濯など複数の家事の動きを想像する
また、床面積に含まれるものの廊下や実質的には通路にしか使えない部分などを、図面、現地で確認することが大切です。
十分な収納量といえる目安として床面積の10%収納面積(収納率)と言われます。
3階建て
都市部では、狭小敷地や3階建ての一戸建ては珍しくありません。
分譲会社も利便性の高い地域では、土地が狭く3階建てでも売れる、販売価格を抑えるという判断から、積極的に新築3階建ての分譲物件を供給します。
3階建てでの後悔
- 家事、生活導線の負担大きい(特に2階に水回りが集中していない場合)
- 建物内の温度差が大きい、冷暖房の効率が悪い
- 年齢がいった時の階段昇り降りが心配
後悔しないためのポイント
3階建ては都市部などで広い土地の確保が難しい、予算的に厳しいという場合に選択肢の1つになりやすいです。
ただ、1階駐車場の場合、2階リビングとなり、生活、家事動線が1階と2階に分かれることは少なくありません。
ですので、そういった間取りや将来含めた負担も踏まえて判断することが必要です。
予算・住宅ローン
一戸建てはマンション以上に
適正価格や相場が分かりにくい
適正価格や相場が分かりにくいということは、売出価格にも幅が出やすいということです。
予算・住宅ローン返済の後悔
- 購入価格が高すぎた
- 住宅ローンの返済が厳しい
- 必要な貯金ができない
- 固定資産税や光熱費の負担が大きい
- 将来の修繕費用が積立できない
例えば、一戸建ての流通量が少ないエリアで、比較的条件の良い物件が出ると、かなり強気の価格設定になっている場合があります。(特に新築…)
これは売主側の視点から考えると当然とも言えます。
不動産は基本的に1つしかありませんので、立地条件の良い物件となると、値段に関係なく多少高くても、予算に余裕がある人がいれば売れると考えるのは当然です。
ただ、買手の立場から考えると違います。
・相場より高い価格で購入する可能性が高い
・将来の資産価値の下落率が高くなる可能性がある
・売却時にオーバーローンになる可能性がある
オーバーローン
家の価値より住宅ローン残高の方が高い状態
後悔しないためのポイント
予算や住宅ローンの後悔は、もともとの資金計画のチェックが足りず、予算や借入金額が大きすぎたことからくるものです。
マンションと異なり管理費や修繕積立金がありませんが、一戸建てでも定期的な修繕とそのための資金を準備する必要があります。
収入や家族構成などに合わせた予算や借入金額を知る方法として、ライフプランを作成し長期の視点で予算や住宅ローン返済を検討することが有効です。
資産性
家は、住環境と同時に資産です。
特に、将来の売却や住み替えを考えている場合は資産性は重要です。
資産性に関する後悔
- 将来売れない、価格が低い
- 売却収入で住宅ローンが完済できない
- オーバーローンの状態が続く
購入時に諸費用含め物件価格以上の借入をした場合、返済を続けていく中でオーバーローンの状態が続く場合もあります。
また、物件自体の資産性が低いと、住宅ローン返済以上に資産価値の減り方が早く、オーバーローンの状態になることもあります。
後悔しないためのポイント
のちのち家を売却や住み替えなどをしっかり想定する場合は、
- 購入エリア・最寄り駅
- 立地条件
- 土地の広さや形状
- 道路付け
- 周辺環境など
資産価値が維持しやすい物件選びが大切です。
自己資金が少なく物件価格以上の借入をする場合は特に注意しましょう。
また、資産性を重視するのであれば、新築にこだわり過ぎないことも必要です。
中古物件を含めて物件探しをすることで選択肢は広がりますし、資産性を考えたとき立地と土地の広さはやはり重要です。
付帯工事・諸費用
諸費用の後悔
- 諸費用が想像以上に高かった
- 外構工事や追加工事が思った以上にかかった
一戸建てを購入する場合、土地や建築費用、物件価格以外にもさまざまな諸費用が必要となります。
特に、注文住宅では打合せを重ねる中で、当初の予算を超えてしまうことは良いあります。
後悔しないためのポイント
注文住宅では、資金計画が非常に重要です。
土地購入費用
土地売買代金だけでなく、仲介手数料や登記費用、印紙代などの諸費用が必要です。
また、土地によっては地盤調査や改良費用、解体工事費がかかります。
建物本体工事費
建物本体工事は、総費用の70~80%を占めます。何が含まれ、仕様や構造変更で追加になる費用などしっかり確認することが必要です。
付帯工事費
駐車場・塀や門・外構工事・家電品の取り付け・家具の取り付けなどの費用がかかります。
諸費用
住宅ローン事務手数料や登録免許税、印紙代、火,災保険料、不動産取得税などの費用がかかります。
それぞれについて、資金計画をしっかり確認しないと予算オーバーや追加費用がかかるとなりかねません。
初めてのマイホーム購入では、その費用が意味するものが何か分からない場合もありますし、住宅業界の慣習でやり取りされているものもあります。
また、新築分譲戸建てを購入する場合には以下の点をしっかり確認しましょう。
- 新築住宅に含まれる消費税を知る
- 価格に含まれる外構工事の範囲をしっかり確認する
- 分譲戸建てのオプション工事を確認する
まとめ
一戸建て購入で後悔するポイントについて解説しました。
- 交通・生活の利便性
- 周辺環境
- 近隣関係
- 日当たり
- 間取り・生活動線
- 3階建て
- 予算・住宅ローン返済
- 資産性
- 付帯工事・諸費用
一戸建てはマンション以上に1つ1つが異なる難しさがあります。
是非参考にしてみてください。