投稿日:2016年2月3日 | 最終更新日:2023年6月15日
「市街化区域」から「居住誘導地域」
日本では都市化を促進する地域とそうでない地域を、都市計画法という法律で定めています。
市街化区域
市街化を優先的かつ計画的に図る区域
市街化調整区域
市街化を抑制する区域
住宅が建てられるのは、基本的に市街化区域だけです。
この都市計画法ができたのは、昭和43年です。
ただ、これから家を購入、建てる場所に、市街化区域だけでなく、異なる区域の指定がなされるかもしれません。
コンパクトシティとは
国は「コンパクトシティ」という取組をすすめています。
「コンパクトシティ」は、
今後、日本が人口減・高齢化社会が進展する中、行政コスト削減のため住宅や生活拠点を集約化していこうという試み
それによって、道路や下水道、公共住宅、港湾、空港など、いわゆる社会資本の維持管理費や更新費用、新設費などの行政コストを抑制・削減しようとするものです。
各自治体がすすめる立地適正化計画とは?
こういった考えのもと、都市再生特別措置法という法律が一部改正され(平成26年8月施行)、各自治体で「立地適正化計画」が動いています。
「立地適正化計画」は、
自治体が住民や民間の事業者等の意見を聞きながら、医療や福祉施設、商業施設や住居などがまとまって立地し、高齢者をはじめとする住民が公共交通によりこれらの施設にアクセスできるよう都市全体の構造を見直そうとする取組です。
関西では大阪府箕面市などは、積極的にこの計画を進めています。
居住誘導区域と都市機能誘導区域
立地適正化計画では、これまでの市街化区域内に、
「居住誘導区域」と「それ以外の区域」
が指定されます。
居住誘導区域は、
人口減少の中にあっても一定エリアにおいて人口密度を維持することにより、生活サービスやコミュニティが持続的に確保されるよう、居住を誘導すべき区域
箕面市の計画でいうとこのような感じです。
※箕面市HP:立地適正化計画(素案)より引用
さらに、「居住誘導区域」の中に「都市機能誘導区域」という区域が設定され、病院や学校、大型ショッピングセンターなど住民の福祉や生活利便性を図るための施設が設定されるという計画になっています。
平成27年12月末時点、立地適正化計画の作成を具体的に取り組む自治体は日本全国220あります(国交省)
兵庫県でいうと、神戸市、西宮市、尼崎市、姫路市などです。
都市計画運用指針における立地適正化計画に係る概要
(国土交通省)
立地適正化計画とマイホーム購入
立地適正化計画は、マイホーム購入する場所にも影響します。
立地適正化計画は、積極的に居住・都市機能を誘導する区域を定めることから、交通利便性、生活利便性を左右します。
- 公共交通の整備
- 医療・福祉
- 子育て支援、学校教育
- 防災
つまり、「居住誘導区域」や「都市機能誘導区域」の指定は、その街の将来の成長性に大きな影響を与えます。
不動産の資産価値に影響
立地適正化計画は、今後人口が減少していく中で、不動産の資産価値にも大きく影響するでしょう。
住宅を購入して、15年、20年後にその家を売りたい、貸したいと考えたときに、その街に家を買おうという人がいない…という状況もありえます。
そうなると、その家の資産価値はほとんどないということになります。
まとめ
現在の都市計画法が出来て50年近く、その間、戦後高度成長期からバブル崩壊を経験し、その後、日本の人口減・高齢化社会という社会状況に大きく変わりました。
こういったことを考えると、これからの日本にあう都市計画に変わらなければならないのもある意味当然かもしれません。
住宅を購入するとき、仲介会社や住宅会社の担当者の方は、役所や法務局などでその土地・場所に適用される法律や自治体の条例など、物件の情報を確認します。
「居住誘導区域」や「都市機能誘導区域」の情報についても確認することが必要かもしれません。