投稿日:2017年8月22日 | 最終更新日:2023年9月17日
家の買い方と資金計画の違い
家を買うとしても、
- 新築分譲住宅を購入
- 注文住宅で家づくり
- 中古住宅を購入してリフォーム
「どれがいいか?」と聞かれれば、一概には言えません。
ただ、予算との関係で言うと、購入しようとするエリアに、新築分譲住宅、中古物件、土地がどれくらいの相場でどれくらい流通しているかは1つの判断基準になります。
購入するエリアによって、一戸建て、マンション、土地も相場が違いますので、予算内におさめるために、どういった選択肢があるかを考えると思います。
この記事では、住宅購入予算を5,000万円と仮定し、資金計画の違い、予算配分の考え方について、それぞれシミュレーションしてみました。
どういう家を買うか?資金計画はどのような点に注意すべきかなどの参考にして頂ければと思います。
新築分譲住宅を購入する
新築分譲住宅を総予算が5,000万円で購入する場合の資金計画例です。
新築分譲住宅と新築マンションそれぞれ
新築分譲一戸建ての場合
物件価格 | 4,630万円 |
諸費用 (物件価格の8%) | 370万円 |
合計 | 5,000万円 |
諸費用を物件価格の8%としています。
諸費用の内訳
- 印紙代
- 仲介手数料
- 住宅ローン事務手数料・保証料
- 登記費用(所有権移転、保存登記、抵当権設定等)
- 火災保険料
- 固定資産税清算金
- 不動産取得税
この場合、5,000万円の予算に対して、物件価格は4,600万円までいけることになります。
仲介手数料不要の場合
ただ、新築分譲物件の場合、住宅会社や業者が売主となっています。
この場合の取引態様が『売主』と『仲介』では、諸費用が大きく変わります。
売主から直接購入する場合、仲介手数料は不要です。
一方、仲介会社を通して購入する場合、仲介手数料が必要となります。
仲介手数料が不要であれば、諸費用が5%程度におさえることができます。
物件価格 | 4,760万円 |
諸費用 (物件価格の5%) | 240万円 |
合計 | 5,000万円 |
この場合、5,000万円の予算に対して、物件価格は4,760万円までいけることになります。
新築分譲マンションの場合
次に、一戸建てではなく新築マンションの場合です。
必要な諸費用は、以下の通りですが、一戸建てとは異なり修繕積立基金や管理準備金が必要です。
- 印紙代
- 住宅ローン事務手数料・保証料
- 登記費用(所有権移転、抵当権設定等)
- 修繕積立基金・管理準備金
- 火災保険料
- 固定資産税清算金
- 不動産取得税
諸費用を物件価格の5%としています。
物件価格 | 4,760万円 |
諸費用 | 240万円 |
合計 | 5,000万円 |
この場合、5,000万円の予算に対して、物件価格は4,760万円までいけることになります。
新築購入時の注意点
新築住宅を購入する際の注意点として2点挙げさせて頂きます。
消費税や販売経費が含まれる
不動産取引において、土地には消費税はかかりません。
また、個人間の不動産取引にも消費税はかかりません。
この点、住宅会社やデベロッパーが売主の新築を購入する場合、販売価格に消費税が含まれていることは踏まえる必要があります。
また、新築の場合、当然ですが、販売経費や利益なども販売価格にのっていますので、本来の不動産価値以上の価格設定になっています。
オーバーローン
上記のように、消費税や販売経費などが販売価格に含まれている場合、自己資金が少ないとオーバーローンになる場合があります。
オーバーローンとは、
物件の市場価値より住宅ローン残高の方が大きい状態をいいます
先ほどの新築分譲マンションの例で、自己資金が100万円しかないといった場合、住宅ローン借入が4,900万円となります。
自己資金 | 100万円 |
住宅ローン借入 | 4,900万円 |
5,000万円 |
これに対して、物件価格4,760万円ですが、販売経費や消費税などを考えて、本来の価値より10%高い価格であると仮定すると、本来の物件の価値は、
4,760÷1.1≒4,320万円
となります。
つまり、4,320万円の物件の価値に対して、住宅ローン借入4,900万円から返済が始まるということです。
中古住宅を購入してリフォーム
リフォーム費用は、物件の状態と希望する内容次第ですが、ここでは500万円として考えます。
諸費用を物件価格の8%とすると、必要資金は以下のようになります。
物件価格 | 4,160万円 |
諸費用 | 340万円 |
リフォーム費用 | 500万円 |
合計 | 5,000万円 |
- 印紙代
- 仲介手数料
- 住宅ローン事務手数料・保証料
- 登記費用(所有権移転、抵当権設定等)
- 火災保険料
- 固定資産税清算金
- 不動産取得税
リフォーム費用は、一戸建て、マンションによって大きく変わる場合があります。
一戸建ての場合、購入する築年数によって、外壁や屋根の塗り替えなどの費用も考える必要があると、必要な費用は大きく膨らみます。
注文住宅を建てる場合
注文住宅の場合、購入する場所の土地の値段で予算配分は大きく変わります。
土地が100万円/坪の場合
坪単価100万円の土地に注文住宅を建てるとした場合、土地代金、諸費用8%とすると、
土地代金 | 2,500万円 |
諸費用 | 200万円 |
合計 | 2,700万円 |
そうすると、土地以外の費用は、
5,000万円-2,700万円=2,300万円
となります。
建築工事の内訳を以下のように考えた場合、
- 本体工事:1,610万円(70%)
- 別途工事:460万円(20%)
- 諸費用:230万円(10%)
となります。
別途工事は、
地盤調査(改良)費用、給排水管の引込工事、外構工事、冷暖房・照明・カーテンなど、建物本体の工事に含まれない工事をさします。
つまり、この例でいうと、建物本体工事にあてる予算は1,610万円となります。
この場合、希望する延床面積を30坪とすると…
つまり、建物本体にかける予算としては、坪単価53.6万円ということになります。
地方の方からすると、25坪の土地…30坪の家…だと、狭いと感じるかもしれませんが、都市部では珍しくありません。
ただ、用途地域によって建ぺい率や容積率の制限もありますので、3階建てになることは珍しくありません。
土地が60万円/坪の場合
また、例えば郊外のもう少し土地相場が安い場所で30坪の土地に注文住宅を建てる場合、
土地代金 | 1,800万円 |
諸費用 | 150万円 |
建物本体工事 | 2,130万円 |
別途工事 | 610万円 |
諸費用 | 310万円 |
合計 | 5,000万円 |
この場合、建物本体工事にかけられる予算は、2,130万円となります。
先ほどと同じく30坪の延べ床面積とすると
建物本体予算2,130万円÷30坪=71万円/坪
この場合、坪単価71万円の家が建てられることになります。
資産性も踏まえて判断
先程の例で比較した場合、
・都市部で100万円/坪の土地(25坪)に注文住宅
・郊外で60万円/坪の土地(30坪)に注文住宅
土地価格が安く済む分、建物にかけられる予算は増え、建物の性能や設備にもこだわりやすくなります。
ただ、一方で資産性という意味では、立地面で郊外より都市部の方が高くなります。
もちろん性能の高い家の方が建物自体の資産価値は大きくなりますが、一戸建ての場合、建物の価値は減価償却する反面、土地の価値は減価償却されません。
つまり、長い視点で見た場合、一戸建ての場合、土地の価値がより重要となります。
このように、土地、建物に予算をどう配分するかで、建物にかけられる費用だけでなく、将来の資産性にも影響しますので、その点踏まえ判断することが大切です。
まとめ
これまでの例をまとめると、5,000万円という予算に対して、
- 4,600万円もしくは4,760万円の新築分譲戸建てを購入
- 4,760万円の新築分譲マンションを購入
- 4,160万円の中古住宅を買って500万円のリフォーム
- 25坪の土地(100万円/坪)に53.6万円/坪の家を新築
- 30坪の土地(60万円/坪)に71万円/坪の家を新築
という家の買い方をシミュレーションしてみました。
どこに、どういった家をどのように買うか参考にして頂ければと思います。