投稿日:2023年3月10日 | 最終更新日:2024年2月19日
はじめに
一戸建てを検討される方の中には、3階建ての家も検討対象という方もいれば、3階建ての家ってどうなの?と迷われている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
土地の相場が高い地域では、2階建ては予算的に厳しく、3階建てを検討せざるを得ないという場合もあるでしょう。
そこで、この記事では、3階建て一戸建てのメリットとデメリット、注意点についてまとめました。
3階建てを選ぶときのポイントや3階建てを検討すべきかの判断に役立てて頂ければと思います。
3階建てのメリット
まず最初に、3階建てのメリットについて、間取りも参考にしながら5つ解説します。
狭い敷地でも広さを確保できる
3階建ての一番のメリットは、高さを有効活用し延床面積を大きくできる点です。
希望するエリアで土地や物件探しをする中で、2階建てに限定して探してもなかなか必要とする広さや間取りの物件が出ないということもあります。
3階建てを含めて物件探しをすることで、選択肢は広くなります。
限られた予算でも一戸建てが買える
立地条件の良い場所で一戸建てを探す場合、土地相場も高く相応の資金が必要です。
ですので、気に入った土地や物件が見つかっても予算的に厳しいということもあります。
この点、3階建てであれば、狭い敷地でも一定の広さの家を建てることができます。
土地が狭い分、予算の範囲内でも購入できる一戸建てが見つけやすいと言えます。
3階建てを対象にすることで、物件、土地選びの選択肢が広がります。
立地条件のよい場所では、販売する分譲会社も、狭小敷地でも売れる、販売戸数を増やしたいことから、狭い敷地面積で区画される分譲地も多くあります。
各階独立した間取りがとりやすい
3階建ての間取りでは、各階ごとに独立性が保ちやすく、全体的にメリハリのきいた間取りが実現しやすいです。
生活空間の独立性
例えば、上記のような間取りでは、
1階に車庫と居室
2階にリビングと水回り
3階に寝室、子ども部屋
といった形で、共同で利用するスペース(2階)と個人で利用するスペース(3階)で、階層から生活空間に独立性があります。
また、水回りの動線を2階にまとめて配置することで、生活動線や住居の機能性という意味でも独立性が高くなります。
2世帯住宅や事務所兼用住宅
また、上記ような1階にビルトインガレージがない間取りでは、
1階に親世帯
2階、3階に子世帯
※キッチン、浴室、洗面共用
といった2世帯住宅として世帯の独立性を確保することもできます。
また、1階を事務所や店舗として併用住宅とする間取りも考えやすいといえます。
採光や眺望がとりやすい
一戸建ては、マンション以上に周辺環境の影響を受けやすいです。
ですので、日当たりや眺望といった面でも隣接する家や周辺の建物に左右されやすいといえます。
ただ、高さを有効活用できる3階建ては、2階建てや平屋建てより採光や眺望を確保しやすいといえます。
2階リビングのプランが多い3階建ての間取りでは、1階リビングと比べて、窓の数や位置、大きさの自由度が高くなり、採光や眺望も確保しやすいといえます。
水害対策ができる
マンションと一戸建てを比べた場合、台風や水害など自然災害の被害を受けやすいのは一戸建てです。
※マンションの場合、専有部分(居住部分)は、バルコニーや外廊下など共用部分に囲まれている分被害を受けにくいと言えます
ただ、一戸建てでも3階建ての場合、リビングなど主要な生活空間を2階以上にもうけることで、水害による浸水時の被害を少なくできるメリットがあります。
3階建てのデメリット
次に、3階建てのデメリットについても、間取り図を見ながら以下5つ解説します。
家事動線の負担が大きくなる
3階建ての場合、玄関から2階、3階と上下階の移動が伴う分、家事動線、生活動線上の負担が大きくなります。
上図の間取りでは、1階に車庫と洗面、浴室などの水回りが配置され、2階にリビング(LDK)が配置されています。
この場合、1階で洗濯して2階あるいは3階に干すといった家事動線から、上下階の移動の負担が出ます。
こういった負担については、若い間は苦にならないかもしれませんが、高齢になった場合のことも考えておく必要があります。
間取り上、有効面積が少ない
狭い敷地でも一定の床面積が確保できることが3階建てのメリットとお伝えしました。
ただ一方で、間取りによって、延床面積のうち生活スペースとして使える有効面積が少なくなる点にも注意が必要です。
・1階のビルトインガレージ
・階段室
・階段室から居室までの通路部分
など、居住面積として使えないデッドスペース含め確認する必要があります。
建物内の温度差が生じやすい
3階建ては狭小敷地に建てられることも多く、隣接住戸との距離があまり確保できないこともあります。
その場合、1階と3階では日当たりがまったく異なることもあります。
特に、夏場など3階は日当たりも良く、熱がこもりやすく冷暖房費がかかりやすくなったり、逆に、冬場は日当たりの良くない1階居室が寒い部屋になりやすいということは考えられます。
資産価値が維持しにくい?
家を将来売却したり、住み替えるといったことを想定する場合、資産性は大切です。
土地の価値に左右される
一戸建てでも木造、鉄骨など構造はいろいろありますが、建物は耐用年数によって減価償却され、価値は減少していきます。
一方、土地は減価償却されない資産で、長い視点で見た場合、一戸建て資産価値は土地に集約されていくといえます。
この点、狭小敷地の場合、土地の広さや道路付け、周辺環境などによって土地の評価が低いと将来の資産価値が維持しにくくなります。
生活動線や住みごこち
また、3階建ての場合、物件によって生活動線の負担や隣接住戸との近さなどから、なかなか買い手が見つからないという可能性もあります。
ただ、資産性については、3階建てかどうかだけでなく、立地条件や交通、生活利便性などが大きく影響しますので一概にはいえません。
ですので、将来の売却を考えるのであれば、資産性という観点からもしっかり確認することが大切です。
メンテナンス費用がかかる
3階建てで一定の床面積を確保した場合、外壁の面積もそれに応じて増えます。
外壁の塗装面積が広ければ、補修箇所や目地のコーキング、張り替えの費用も多くなります。
また、屋根や外壁のメンテナンスでは足場が必要となります。
3階建ての場合、2階建てと比べ、足場を高く組む必要があり足場代は高くなる傾向です。
3階建ての注意点
ここまでメリットデメリットをお伝えしましたが、最後に、3階建て住宅を購入する際の注意点についてお伝えします。
法令の制限を受けやすい
家を建てる場合、建築基準法上の用途地域や自治体の条例などの制限があります。
用途地域とは、
土地の効率的な利用、景観の維持等のため、建てられる建物の種類や大きさ、用途などを地域ごとに規制するものです。
「住居系」「商業系」「工業系」あわせて13の地域に分けられています。
この規制によって、敷地面積に対して建てられる面積(建ぺい率、容積率)、高さ(絶対高さ、道路斜線、北側斜線、隣地斜線)の制限があります。
狭い敷地に建てられることが比較的多い3階建ての場合、用途地域によっては、こういった制限の影響を大きく受ける可能性があります。
土地を購入したものの、
・希望する間取りが実現できない
・広さが足りない
・極端に天井高の低い居室ができる
といったことも起こり得ます。
また、3階建ての完成物件を購入する際にも、その場所に適用されている制限を確認し、内覧にのぞむことが大切です。
将来の増改築や建て替えにも影響する可能性があります。
建築コストが高くなる
3階建ては2階建てよりも建築コストがかかる場合があります。
その主な要因として考えられるのは次の2つです。
構造計算が必要
3階建ての場合、2階建てと違い必ず構造計算が必要となります。
構造計算自体の費用、また、それを満たすための壁量や柱などを算出するとコスト的に高くなるということがあります。
地盤改良等の費用
3階建ての場合、同じ広さに対しても土地にかかる荷重は2階建て以上に大きくなります。
その分、地盤に求められる強度は大きくなります。
購入した土地によっては、地盤改良等の費用がかかり、建築コストが大きくなる場合があります。
まとめ
ここまで3階建てのメリット、デメリットならびに注意点についてまとめてきました。
ただ、不動産は1つ1つ違います。
すべての3階建てに共通するわけではありませんが、是非参考にして頂ければと思います。
3階建てのメリット
- 狭い敷地でも広さを確保できる
- 限られた予算でも一戸建てが買える
- 各階独立した間取りがとりやすい
- 採光や眺望がとりやすい
- 水害対策ができる
3階建てのデメリット
- 家事動線の負担が大きい
- 間取り上、有効面積が少ない
- 建物内の温度差が生じやすい
- 資産価値が維持しにくい
- メンテナンス費用がかかる
3階建ての注意点
- 法令の制限を受けやすい
- 建築コストが高くなる