マイホーム予算と年収の関係

マイホームの予算を決める上で年収はもっとも大きな要素です。

ただ、

  • 年収の〇倍以内まで
  • 返済負担率は○%以内まで

というのは、あまり意味がありません。

返済負担率とは、
年収に対する年間の住宅ローン返済額が占める割合です

住宅資金の年収倍率は増え続けている

下図は、2020年度に家を購入した人の
住宅資金が年収の何倍になっているか(年収倍率)
を調査したものです。

マイホーム予算 収入倍率
2020年度 フラット35利用者調査 (住宅金融支援機構)
購入する家年収倍率
土地付き注文住宅7.4倍
マンション7.0倍
建売住宅6.8倍
注文住宅6.7倍
中古マンション5.8倍
中古戸建て5.5倍
2020年度 年収倍率

ここ20年日本の実質賃金は上がっていない一方、不動産の価格は上昇しています

その結果、上記のグラフのように、
10年前と比べても、年収に対する住宅予算は増えている
ことが分かります。

例えば、マンションは戸建てと比べ年収倍率の上昇が大きく、

・マンション(新築分譲)
 5.9倍(2010年)→7.0倍(2020年)

・中古マンション
 4.9倍(2010年)→5.8倍(2020年)

10年前と比べ違いが出ています。

これは、2010年に年収600万円の方は3,540万円のマンションを購入していたのが、2020年では4,200万円のマンションを購入していることになり、購入価格が600万円以上違うことになります。

確かに、不動産価格の上昇により、希望する家を買う予算が増えていることはあります。

ただ、年収倍率がこれだけ変わるということは、年収だけで予算が決まるものではないということを示しているともいえます。

この記事では、予算を年収で判断すると後悔する理由について解説します。

これから住宅購入をされる方の予算や資金計画の参考にしていただければ幸いです。

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マイホーム予算を年収だけで決めると後悔する3つの理由

マイホーム予算を年収だけで決めると後悔する理由は、次の3つです。

  1. 年齢によって収入見通しが違う
  2. 家族構成やライフスタイルで支出が違う
  3. マンションと戸建てで維持費が違う

1,年齢によって総収入が変わる

マイホームを買われる方の年齢は、年々上昇傾向にあります。

また、購入する家の種類によっても年齢に差があります。

住宅購入時の年齢
注文住宅39.1歳
分譲戸建て36.8歳
分譲マンション39.4歳
中古戸建て42.8歳
中古マンション44.8歳
令和元年度 住宅市場動向調査報告書(国土交通省)

例えば、37歳で家を買うのと42歳で家を買うのでは、65歳でリタイア想定をすると、現役期間は28年間と23年間の違いがあります。

ざっくりとした数字ですが、ともにリタイアまでの平均年収が600万円の場合、
現役期間が5年違うと3,000万円の総収入の違い
になります。

住宅資金にまわせるお金が変わる

家を購入したあと、住宅ローン返済だけでなく、固定資産税や維持管理などの住宅資金が必要となります。

購入後の収入は住宅資金以外の生活費や教育資金、老後資金にもあてられるわけですが、それでも、家を買ったあとの現役世代の収入が多いほど、住宅資金に対する負担感は少なくなるということです。

つまり、

予算を考えるうえで、購入時の年収より購入後の総収入の方が重要

であり、それは購入時の年齢が大きく影響するということです。

2,家族構成やライフスタイルで支出が違う

下図は、4人家族の生活費の内訳をあらわしたものです。

家計支出
令和元年「家計調査」(総務省)
品目毎月の支出額
食料品82,980円
交通費・通信費62,842円
教養・娯楽費35,360円
教育費31,473円
電気・ガス・水道23,155円
衣料品14,486円
家具・家事用品12,576円
保険・医療費12,108円
その他(諸雑費、お小遣い等)54,680円
合計329,660円

これは、4人世帯の総務省統計値であり全国平均値であり、家族の人数、ライフスタイルでも変わります。

総務省統計局 家計調査(令和元年)

ライフプランを作成すると、

・食費
・教育費
・保険・医療費


などは、家庭によって差が出やすい傾向です。

毎月の生活費が違うとどれくらい変わるか?

例えば、住宅ローン完済までを30年間と想定した場合、毎月の生活費の違いはどれくらいになるでしょうか?

毎月の生活費の差30年間の総支出の差
1万円360万円
2万円720万円
3万円1,080万円

物価上昇率などは考慮していませんが、毎月の違いは少しに見えても、長い目でみると大きな違いになります。

つまり、収入が同じでも家計の状況によって、適正な住宅資金は異なるということです。

同じ年収でも、

住宅ローン返済負担率が20%が適正な人も25%適正な人もいる

ということです。家を買って、

やりたいことにお金が回らない
・家族旅行や趣味に使えるお金がない

とならないように、適正な負担を判断しなければなりません。

3,マンションと戸建てで維持費が違う

マンションか一戸建てかで維持費が異なります。

マンションの場合、共用部分の管理費、修繕積立金、また車を保有すると駐車場代が必要になります。

また、長い目で見ると、修繕積立金も上昇見通しであり、一戸建てより維持費は多くなる傾向です。

つまり、

購入後の維持費(住宅コスト)が違う分、同じ収入でもマイホーム予算は変える必要がある

ということです。

まとめ

ここまでマイホーム予算を年収だけで決めると後悔する理由についてまとめてきました。

もし、マイホーム予算が不安、しっかり決めたいということであれば、ライフプランを作成するするのも1つの方法です。

ライフプランは、先程挙げた3つの理由

  • 購入時の年齢(収入見通し)の違い
  • 家族構成やライフスタイルによる支出の違い
  • マンションと一戸建ての維持費の違い

1人1人反映させることができます。

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