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住宅ローン控除
住宅ローン控除は、
個人が住宅ローンを利用してマイホームを購入した際に、一定の条件のもとに、所得税や住民税の一部が返ってくる制度です。
家を買う人にとってはとても大きい優遇税制ですが、
住宅ローン控除で還付される税金は、購入時の状況によって大きく差がでます。
この記事では、住宅ローン控除をより有効活用できるよう、事例を交えて解説していきます
事例

家族構成:4人家族(子ども2人)
※配偶者の収入300万円
購入物件:新築戸建て ※消費税率10%
購入価格:3,500万円(うち建物価格1,500万円)
諸費用:200万円
自己資金:700万円
住宅ローン借入:3,000万円
住宅ローン金利:0.5%(変動金利)
返済計画:35年返済(元利均等返済)
時期:【契約】令和3年7月【引渡し】同9月
住宅ローン最大控除額

この事例(新築一戸建て購入)の場合、
住宅ローン最大控除額は、
【1~10年目】40万円/年×10年=400万円
【11~13年目】4,000万円×2%=80万円
13年間総額で480万円となります。
繰り返しますがこれは最大控除額です。
では実際の控除額はいくらになるのでしょうか?
実際の控除額
住宅ローン控除は、納付する所得税、住民税が還付される制度ですので、控除額は納付額つまり年収によっても変わります。
下表は、年収別に13年間の控除額(概算)を表にしたものです。
※住宅ローン金利・年収は、13年間変わらない前提
年収 | 住宅ローン控除額(13年間) |
400万円 | 164万円 |
500万円 | 248万円 |
600万円 | 285万円 |
700万円 | 286万円 |
800万円 | 286万円 |
シュミレーション結果は、国土交通省「住まい給付金」HP上の試算条件に基づき算出した結果です。すまい給付金HP
この表をみると、
・年収によって控除額に差がでる
・年収600万円を超えると控除額の差はなくなる
ことが分かります。
これは、住宅ローン控除額は、
- 収入(支払っている所得税・住民税額)だけでなく、
- 住宅ローン借入残高(年末時点)
によっても変わるからです。
この事例の場合、住宅ローン最大控除額480万円に対して、
実際の控除額は、
・年収400万円では、164万円
・年収700万円、800万円でも、286万円
となります。
これでも十分に大きいのですが、
住宅ローン控除をより有効活用することはできないのでしょうか?
【関連記事】
▶住宅ローン控除とは?要件や期間、控除額についてわかりやすく解説
住宅ローン控除を有効活用する方法

住宅ローン控除額を増やす方法として2つ挙げさせて頂きます。
- ぺアローン・収入合算で借入する
- 借入金額を増やす
ぺアローン・収入合算で借入する
これは、収入がある配偶者などいる場合に使える方法です。
住宅ローン控除は、所得税や住民税が還付される制度です。
ですので、支払う税金が少ないと住宅ローン控除額もそこで制限されます。
そこで、住宅ローンを2人の収入で借入することで控除額を増やすことができます。
住宅ローンを2人で借入する方法として、
ぺアローンと収入合算があります。
さらに収入合算のなかでも連帯債務型と連帯保証型があり、
連帯保証型は、連帯保証人の住宅ローン控除が使えませんので要注意です。
【関連記事】
▶ペアローンと収入合算(連帯債務と連帯保証)とは?団信や住宅ローン控除での違いは?
単独とぺアローンの住宅ローン控除額の違い
今回の事例では配偶者の年収が300万円です。
ですので、借入金額3,000万円を
【世帯主】1,500万円
【配偶者】1,500万円
ペアローンを組んで返済するとします。
その場合、住宅ローン控除額は以下のようになります。
年収 | 世帯主単独 | ぺアローン |
400万円 | 164万円 | 282万円 |
500万円 | 248万円 | 284万円 |
600万円 | 285万円 | 284万円 |
700万円 | 286万円 | 284万円 |
800万円 | 286万円 | 284万円 |
年収400万円と500万円では、控除額が増えました。
これは、世帯主の所得税、住民税だけでなく、配偶者の税金も控除対象に含まれたことによるものです。
ただ、ぺアローンや収入合算は、本来1人の収入では必要な住宅ローンの借入ができない場合に利用される制度です。
メリット、デメリット含め判断することが必要です。
ただ、この表をみると、
年収600万円以上では、ぺアローンでも控除額は変わりません。
これは、毎年の還付される税金より年末時点の借入残高の1%の方が少ないためです。
そこで、住宅ローン控除額を増やす2つ目の方法として、
住宅ローン借入金額を増やすことがあります。
住宅ローン借入金額を増やす
今回の事例では、必要資金
【物件価格】3,500万円
【諸費用】 200万円
合計:3,700万円
に対して、
【自己資金】 700万円
【住宅ローン】3,000万円
合計:3,700万円
という資金計画でした。
そこで自己資金を減らし、住宅ローン借入を500万円増やす、
【自己資金】200万円
【住宅ローン】3,500万円
という資金計画にした場合どうなるか。
年収 | 借入金額 3,000万円 | 借入金額 3,500万円 |
400万円 | 164万円 | – |
500万円 | 248万円 | 248万円 |
600万円 | 285万円 | 312万円 |
700万円 | 286万円 | 328万円 |
800万円 | 286万円 | 328万円 |
年収600万円以上では、住宅ローン控除額が増えました。
これは、住宅ローン控除期間(10年間)の住宅ローン年末残高が増えたことで、最大控除額が増えたことによるものです。
下表は、1年目から10年目までの年末時点の借入残高の推移(概算額)です。
年末時点の借入残高に控除率1%をかけたものが、各年の住宅ローン控除額の上限となります。

利息、事務手数料などの負担
このように住宅ローンの借入金額を増やすことで、住宅ローン控除額は増えるのですが、同時に、借入金額が増える分
- 住宅ローン利息
- 事務手数料や保証料
- 登記費用(抵当権設定)
こういった費用も増えますのでシミュレーションをして判断して下さい。
これまでのまとめ
年収 | 単独 3,000万円 | 単独 3,500万円 | ぺアローン 3,000万円 | ぺアローン 3,500万円 |
400万円 | 164万円 | – | 282万円 | 306万円 |
500万円 | 248万円 | 248万円 | 284万円 | 312万円 |
600万円 | 285万円 | 312万円 | 284万円 | 312万円 |
700万円 | 286万円 | 328万円 | 284万円 | 312万円 |
800万円 | 286万円 | 328万円 | 284万円 | 312万円 |
このように借入金額や借入方法で住宅ローン控除額は変わります。
ただ、今回の事例では、金利0.5%、返済期間35年でシミュレーションしましたが、全期間固定など金利は1%を超えた場合や返済期間が30年でも違う結果になります。
ご自身の住宅ローン返済プランに合わせて判断して下さい。
まとめ
- 住宅ローン最大控除額と実際の控除額は違う
- 控除額は、収入と借入金額で変わる
- 住宅ローン控除を有効活用する方法
1,ぺアローン・収入合算を活用
2,住宅ローン借入金額を増やす - ぺアローンや借入金額を増やすことによるデメリットや負担も踏まえ判断する
ここまで見た通り、住宅ローン控除額は最初の資金計画にも関係してきます。
できるだけ有効活用できるよう参考にしてみてください。
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