新築マンションの広告チラシ

宅地建物取引業法 第32条 (誇大広告等の禁止)

宅地建物取引業者は、その業務に関して広告をするときは、当該広告に係る宅地又は建物の所在、規模、形質若しくは現在若しくは将来の利用の制限、環境若しくは交通その他の利便又は代金、借賃等の対価の額若しくはその支払方法若しくは代金若しくは交換差金に関する金銭の貸借のあつせんについて、著しく事実に相違する表示をし、又は実際のものよりも著しく優良であり、若しくは有利であると人を誤認させるような表示をしてはならない。

不動産は高い買い物です。

その取引において購入者が誤って認識(誤認)してしまう広告を、宅地建物取引業法という法律で禁止しています。

先日新築マンションの広告チラシで、

「これってセーフなの?」

と思わせる広告がありました。

新築マンション記載の返済例

新築のマンションチラシに記載されていた、
購入した場合の返済例は以下のようなものです。

・物件価格:2,390万円
・頭金0円、ボーナス払い0円
・変動金利:0.6%(2.075%優遇)
返済期間:35年返済

という条件で購入した場合、

その返済額のシミュレーション結果について、

月々4万円台でマイホーム購入可能に!
・しかも合算収入316万円でOK

・住宅ローン控除額が大幅UP!
  最大200万円から最大400万円、年末調整時に返ってきます、とのうたい文句が…

と記載されていました。

住宅ローン返済例を検証してみた

・月々4万円台?(ボーナス返済なし)
・収入316万円でOK?

・住宅ローン控除額が大幅UP?

頭金0円で買えるんでしょうか?
書かれている内容に軽く衝撃を受けたので、
私も計算してみました。


広告チラシでは、

頭金0円となってますので、
借入金額は、物件価格2,390万円としました。

頭金0円ということは、物件価格まるまる住宅ローンで借入できますということです。
ただし、住宅ローンや登記費用など諸費用は別途必要です。

住宅ローン返済額はいくら?

借入金額:2,390万円(ボーナス返済なし)
・返済期間:35年
・適用金利:0.6%(元利均等返済)

この場合、
毎月の返済額は、63,102になります。

チラシ記載の月々4万円台ではないですが??

住宅ローン控除も含んでいる!?

チラシをよく見ると、

住宅ローン控除、毎月19,666円となっています。

つまり、このチラシにある
4万円台でマイホーム購入可能とした根拠は、

(毎月の返済額)63,102円から
(住宅ローン控除分)19,666円を差し引いて

43,436円/月」

つまり、
住宅ローンで控除される金額を含めて、
実質的に4万円台の返済額でいける

という理屈のようです。

これって広告として大丈夫なのかと疑問ですが…、
まだまだ突っ込みどころはあります。

住宅ローン控除額19,666円の根拠は?

このチラシの新築マンションは、物件概要を見る限り住宅ローン控除が使える物件です。

住宅ローン控除とは、
個人が住宅ローンを利用して家を買うとき、一定の要件のもと、毎年末の住宅ローン残高の1%を上限に、10年間に渡り所得税から控除される制度です。
所得税からは控除しきれない場合には、住民税からも一部控除されます。

では、チラシ記載の
住宅ローン控除分の毎月19,666円はどこから出てきたのか?

住宅ローン減税が毎月19,666円から逆算すると、
1年間の控除額の合計は、

19,666×12ヶ月=235,992円となります。

住宅ローン控除額の上限は、
年末時点の借入残高の1%ですので、

235,992円÷0.01(1%)
=23,599,200円≒2,360万円

つまり、
毎月19,666円の住宅ローン控除ということは、
2,360万円の住宅ローン残高があることが前提

になります。

住宅ローン残高は返済が進むと当然減っていきます。
そこで、2,390万円を借入した場合の住宅ローン残高の推移をみてみます。

10年間の住宅ローンの最大控除額の推移

借入金額2,390万円で金利0.6%のまま10年間推移した場合、
住宅ローン残高とその年の最大控除額(概算)は
以下のように推移します。

購入からの経過年数住宅ローン残高(控除額)※概算
1年後2,328万円(232,000円)
2年後2,266万円(226,000円)
3年後2,204万円(220,000円)
4年後2,141万円(214,000円)
5年後2,078万円(207,000円)
6年後2,015万円(201,000円)
7年後1,951万円(195,000円)
8年後1,887万円(188,000円)
9年後1,822万円(182,000円)
10年後1,757万円(175,000円)
10年間控除額合計    2,040,000円
※10年間金利変動はない前提

返済開始の月によって多少違いが出ますが、
少なくとも年末時点の残高は、
2年目から2,360万円よりは少なくなります。

10年間の住宅ローン控除額

10年間の控除額の合計は、
住宅ローン残高から見た場合、
最大でも約204万円となります

これを1ヶ月当りに直すと、

216万円÷10年÷12ヵ月=17,000円

となります。

つまり、住宅ローン控除を最大限活用できても、
その効果は、19,666円/月ではなく、17,000円/月が最大となります。

神戸阪神間の不動産仲介

住宅ローン控除額は年収でも変わる

住宅ローン返済額
結局私たちの返済額は?控除額は?

さらに、チラシ記載の

合算収入316万円でOKという前提だと話はさらに違ってきます。

年収316万円の根拠もよく分かりませんが…返済負担率から逆算したんでしょうか?

住宅ローン控除額は、年収つまり納める所得税・住民税によっても変わります。

仮に、年収316万円で購入した場合、
将来の給与の上昇も見込み、
購入後10年間の平均年収を350万円とします。

・年収:350万円
・借入金額:2,390万円
・金利:0.6%
・返済期間:35年
・控除対象家族:1人(配偶者)

この場合の10年間の住宅ローン控除額は、
1,591,800円(概算額)となります。
(国土交通省すまい給付金HP)

つまり、年収316万円で購入したとしても、
収入面から住宅ローン控除額は、159万円までということです。

先程、住宅ローン残高から算出した最大控除額204万円と比べて、
還付される税額は少なくなります。

住宅ローン控除は、
借入金額に対して収入(所得税)が少ない場合、毎年末借入残高の1%(上限)までの控除枠を使い切れない場合があるということです。

この場合、
10年間の控除概算額1,591,800円を毎月に直すと、

1,591,800÷120ヵ月≒13,200円/月

これが年収316万円の場合、
毎月の住宅ローン控除額として見込める金額となります。

この広告チラシの計算方法に沿ったとしても、
住宅ローンの実質的な返済額は、

67,063円-13,200円=53,863円

つまり、実質4万円台では買えないということです。

しかも、これは当初10年間だけの話です。

11年目以降は、住宅ローン控除はなくなります。

広告チラシでは「住宅ローン控除の最大額が200万円から400万円まで拡大」とうたわれていますが、年収316万円だとあまり影響がありません。

【関連記事】
 ▶住宅ローン控除とは?要件や期間、控除額についてわかりやすく解説
 
 ▶【事例で解説】住宅ローン控除額っていくら?上限と実際の控除額を知って有効活用する方法

まとめ


しかし、書いていても思いますが、
分かりにくいです。

こういった広告内容…、

購入者が誤認してしまう
誇大広告に当たらないんでしょうか?

この広告をみて問合せをして購入。
でも…購入後、毎月の返済、負担が違う…。

そんな人もおられるかもしれません。

マンションの広告に限らずですが、
分かりにくい広告には要注意です!


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