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過去の住宅ローン金利推移
下図はこれまでの住宅ローン金利推移です。
住宅ローン変動金利の推移

変動金利もしくは固定期間10年以下の住宅ローン基準金利の推移です。
基準金利とは、
毎月の住宅ローン金利を決める基準となる金利で店頭金利ともいいます。
住宅ローン金利は、この基準金利(金利の定価のようなもの)から各金融機関は優遇幅を決めて、契約者に適用される金利を決めています。
景気や経済情勢によって基準金利が変われば、住宅ローン適用金利も変わります。
変動金利について、ここ20年以上(1996年あたりから)基準金利は大きく変わっていません。
住宅ローン金利が上がる可能性は?
変動金利や固定期間が短い住宅ローン商品を検討されている方は、これからの金利がどうなるか気になるところです。
これから住宅ローン金利が、
・上昇する見通しであれば固定金利
・上昇しない見通しであれば変動金利等
という考え方が基本的ですが、
現在住宅ローン金利水準は、これ以上低くならないところまで来ています。
ではこれから上昇するのでしょうか?
今後の住宅ローン金利の予測は無意味?
経済の専門家やファイナンシャルプランナー、金融機関、住宅会社の担当者の方、今後の住宅ローン金利動向について、いろいろな見方があります。
個人的には、
現在の日本の経済状況や人口推移等をみると、
これから5~10年、物価上昇にともなう、正常な金利上昇の可能性は低いと考えています。(2021年8月)
ただ、コロナ感染拡大のように世界規模で何が起きるかは分かりません。
また、20年、30年と続く住宅ローン返済期間を考えても、10年以上先の金利を予測することは意味がありません。
フラット35(固定金利)の金利推移

こちらは全期間固定金利のフラット35の金利推移です(過去4年)
(借入期間21年以上35年以下、融資率9割以下)
・最低:1.11%(令和元年9月・10月)
・最高:1.45%(平成30年11月)
今月は1.28%(令和3年8月)となっています。
変動金利と異なり、融資実行時の金利が返済終了まで固定されますので、どのタイミングで家を購入したかで返済額は大きく変わります。
変動金利の金利上昇リスクを知る
住宅ローンで変動金利を選ばれる方は6割以上いらっしゃいます。
- 金利上昇は考えにくい
- 住宅会社・金融機関にすすめられた
- とりあえず毎月の返済額を抑えたい
いろいろな理由はあると思いますが、
変動金利タイプを選ぶとしても、金利が上昇した場合の影響を知ることは大切です。
金利上昇した場合の影響・リスクの大きさは、借入金額や金利によっても変わります。
住宅ローン変動金利・返済額を
シミュレーション

では、住宅ローンの借入金額や金利によって、
・金利が上昇した場合の影響がどれくらい違うか
・住宅ローン選びに影響するのか
シミュレーションしてみたいと思います。
シミュレーションの条件
・変動金利:0.5%
・全期間固定金利:1.28%
(フラット35 2021年8月金利)
・返済期間35年(元利均等返済)
①金利上昇がなかった場合
②10年後に2%金利上昇した場合
③全期間固定金利の場合
住宅ローン借入金額で
シミュレーション
住宅ローン借入金額が、
- 4,000万円
- 3,000万円
- 2,000万円
で金利上昇した場合の影響は異なります。
住宅ローン借入金額4,000万円の場合
パターン | 総返済額 | 毎月返済額 (金利上昇後) |
---|---|---|
金利上昇 なし | 4,361万円 | 103,834円 |
10年後に 2%上昇 | 5,186万円 | 103,834円 (131,338円) |
全期間 固定金利 | 4,964万円 | 118,208 |
金利が上昇した場合、総返済額は
金利上昇がない場合より、825万円増えます。
全期間固定金利と比較しても、222万円多くなります。
住宅ローン借入金額3,000万円の場合
パターン | 総返済額 | 毎月返済額 (金利上昇後) |
---|---|---|
金利上昇 なし | 3,270万円 | 77,875円 |
10年後に 2%上昇 | 3,889万円 | 77,875円 (98,503円) |
全期間 固定金利 | 3,723万円 | 88,656円 |
金利が上昇した場合、総返済額は
金利上昇がない場合より、619万円増えます。
全期間固定金利と比較しても、166万円多くなります。
住宅ローン借入金額2,000万円の場合
パターン | 総返済額 | 毎月返済額 (金利上昇後) |
---|---|---|
金利上昇 なし | 2,180万円 | 51,917円 |
10年後に 2%上昇 | 2,593万円 | 51,917円 (65,668円) |
全期間 固定金利 | 2,482万円 | 59,104円 |
金利が上昇した場合、総返済額は
金利上昇がない場合より、413万円増えます。
全期間固定金利と比較しても、111万円多くなります。
住宅ローン金利上昇と総返済額の違い
住宅ローン 借入金額 | 総返済額の 上昇額 | 毎月返済額 上昇額 |
---|---|---|
4,000万円 | 825万円 | 27,504円/月 |
3,000万円 | 619万円 | 20,628円/月 |
2,000万円 | 413万円 | 13,751円/月 |
このように借入金額の違いによって、金利が上昇した場合の影響も異なります。
変動金利の借入を減らし、金利上昇の影響を少なくするために、ミックスローンなどを検討される方もいらっしゃいます。
【関連記事】
▶ミックスローンってどうなの?その効果をシミュレーションしてみた
ただ、変動金利を選ぶにしても、
・金利上昇しても返済が続けられるか
・総返済額が増えても将来の教育、老後資金などしっかりと確保できるか
という点含めての判断になるのではないでしょうか。
【関連記事】
▶住宅ローン変動・固定どっち?金利タイプを判断する3つの基準
▶住宅ローン変動金利の仕組み~6割の人が選ぶその理由とリスク~
まとめ
住宅ローンを決めるとき、金利だけで判断される方は少なくありません。
それ自体は間違っていませんが、
・金利上昇した場合の影響
・団信特約も含めた金利
・金利上昇が家計に与える影響
含めて判断することも大切です。
そして、金利上昇の影響は、借入金額や金利によっても異なります。