一戸建てかマンションか、点で判断は危険
一戸建てとマンションを比べた場合、どちらも一長一短はありますし、人それぞれ家に求めるものが違いますので、どちらが良いということは一概には言えません。
ただ、経済的観点からは、ある程度は客観的に比較することは可能です。
家の予算を決める際、毎月の家賃や住宅ローンのシミュレーション、事前審査など参考に決められる方もいらっしゃいますが、気をつけないといけないのは、「点」つまり、その時点だけで判断してしまうと、のちのち後悔する可能性があるということです。
つまり、購入時点の状況という「点」だけではなく「線」、つまり長期の視点で判断することも大切だということです。
なぜなら、住宅は資産であり、購入した後もその資産を維持管理する費用が発生するからです。当然ですが、リタイア後にも維持管理費用は必要ですので、老後の生活にも影響してきます。
住宅購入にかかる費用とは?
では、家を買う際に考えるべき住宅購入コストでどういうものなのでしょうか?
・固定資産税
・火災保険料
・リフォーム費用
・管理費
・修繕積立金
・駐車場代
主なものをあげるとこういったものになります。
住宅を購入する際の物件価格だけでなく、こういった費用を含めで住宅購入費用を考える必要がありますが、皆さん本当に考えておられるでしょうか?
マンションと戸建ての住宅購入費用の違い
管理費・修繕積立金
マンションの場合、共用部分と専有部分から成り立っています。
共用部分とは、マンションのエントランスや廊下やエレベータ、駐車場、駐輪場など、マンションの住民が共同で利用する部分ですが、こういった共用部分については、住民全員(管理組合)で維持管理していく必要があり、そのための管理費、修繕積立金が必要となります。
また、これらの費用はあくまで共用部のための維持管理費になりますので、専有部分、つまり自分の部屋の中の維持管理費、リフォーム費用は別に必要となります。
駐車場代その他の要否
また、車を所有する場合、殆どのマンションでは駐車場が必要となります。駐車場権利付きの物件もありますが、そういった物件で探すと、対象となる物件が少なかったり、管理費が高く設定されていたりという場合もあります。
いずれにしても、マンションを購入する場合、マンション敷地内、近隣含め、駐車場代は必要と考えていた方が良いです。
また、バイクや自転車を保有する場合、バイク置き場や駐輪場の費用がかかります。
一戸建ての維持管理費
一戸建ての場合、土地建物の全てが購入者の所有となりますので、管理費や修繕積立金といった費用はありません。
ただ、マンションと異なり、部屋内のリフォームだけでなく、外壁や屋根の塗り替え、葺き替えなどの費用もしっかりと準備する必要があります。
また、一戸建ての場合、敷地内に駐車場が確保できる物件であれば、駐車場代やバイク、自転車置き場といった費用は必要ありません。
ただ、都市部においては、敷地面積が小さい物件も少なくありませんので、停められる車の大きさの制限があったり、道路との接道状況によっては駐車しにくかったりということに注意が必要です。
固定資産税や火災保険料
固定資産税は購入する場所や建物の専有面積や床面積などによって変わりますので、一概に言えません。
ただ、マンションの場合、鉄筋コンクリートなど、構造が強固な分、築年の経過に対して固定資産税の減少は少ない傾向にあります。
一方、一戸建て、特に木造の場合、築年数によって、建物の価値は減少していきやすいので、土地の価値が上がらない限り、基本的には固定資産税も減少していく傾向にあります。
また、火災保険料についても、補償内容や保険金額をいくらにするかなどによって変わりますので一概には言えませんが、一般的には戸建てのほうがマンションより、構造的にも補償内容的にも高くなります。
マンションと戸建ての維持管理費の「差」
1つの例として、マンションと戸建て(駐車場あり)の維持管理費を比べてみました。
前提条件は、
※平成30年マンション総合調査(単棟型で駐車場使用量等からの充当額を除いた場合)
□修繕積立金:15,150円/月(202円/㎡×75㎡(専有面積として))
※国交省マンション修繕積立金に関するガイドライン
□駐車場代:12,000円/月※70歳まで車保有前提
これらを前提に、マンションを35歳で購入し80歳までの維持管理費の差を計算すると、
・修繕積立金:15,150円/月×12か月×45年≒818万円
・駐車場代:12,000円/月×12か月×35年≒504万円
合計すると、2,197万円。
😱~って感じですよね。
管理費や修繕積立金は、マンション総戸数や共用設備、機械式駐車場の有無、管理組合の運営などによって変わりますし、駐車場代も地域により異なりますので、これらの金額は上下します。
ただ、一戸建て住宅のほうが、火災保険料の違いや外壁や屋根などのリフォーム費用がマンション以上にかかるとしても、住宅を維持するための住宅購入コストは、マンションのほうが高くなることは分かって頂けるかと思います。
1人1人の購入予算や物件価格の診断をしても…
弊社でも、自分たちの収入でどれくらいの家が買えるのか知りたい、購入後の家計の状況を知りたいという方のために、購入後のライフプラン・キャッシュフローを作成し、予算、資金計画を算出するサービスを提供しています。
その際にも、マンションもしくは、一戸建てに決めているという方は除き、マンション、戸建てそれぞれの資金計画を提案させて頂いております。
その場合でも、
マンション:2,900万円に対して、一戸建て:3,500万円
マンション:5,200万円に対して、一戸建て:6,000万円
といった結果になることが殆どです。
予算や資金計画は、世帯年収や貯蓄、購入時の年齢や家族構成、ライフスタイルなどによって変わります。
また、新築か中古か?リフォームがどれくらい必要か?などによっても変わります。
ただ、マンションか一戸建て、購入する物件の違いによっても、予算は変えなければいけません。
まとめ
どこにどういった家を購入するかは予算によって変わります。
その予算を購入時の年収やその時支払っている家賃という一時的な「点」だけで判断すると間違う可能性があります。
住宅購入は、住宅ローン返済含め、長く維持管理が伴うものです。
購入後の長い視点、つまり「線」で、購入する予算、物件、場所を判断する必要があるということです。
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