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マイホーム資金計画はいろいろ考えられる
多くの方は、マイホーム購入の自己資金が準備できる場合、それを使って住宅ローン借入金額を少なくしようと考えるものです。
確かに、その考え方は間違いではありません。
ただ、一概にはそうとはいえない場合もあります。
実際にご相談頂いた方に近い例でいうと、
ご年収:1,000万円※奥様とお子様の3人家族
・物件価格:4,500万円
・諸費用: 400万円
合計 4,900万円
というマイホームの購入計画に対し、
・住宅ローン借入:2,400万円(返済期間15年)
合計 4,900万円
という資金計画を考えておられました。
マイホームにあてられる自己資金が2,500万円と多く、借入金額も少なくていけるお客様でした。
住宅ローンは、10年後に全額繰上返済をする前提で当初10年固定タイプ(金利0.6%)の商品を予定されていました。
この資金計画で、全く問題はありませんが…、ただ…あえて、
経済的メリットの点から違う提案をさせて頂きました。
ご提案した資金計画は、以下のようなものです。
・住宅ローン借入:3,900万円(返済期間25年)
※住宅ローンは当初10年固定タイプ(金利0.6%)と同じです(10年後に全額繰上返済)
つまり、当初の資金計画より自己資金を減らし住宅ローンの借入金額を増やす資金計画です。
資金計画で自己資金を減らし借入金額を増やす理由
なぜ自己資金があるのに借入額を増やすの?と思われる方もいるかもしれません。
主な理由は次のとおりです。
理由その1:金利負担と住宅ローン減税のバランス
自己資金もあわせ住宅ローン完済までの概算金額を比べてみました。
【10年後完済するまでの自己資金と住宅ローン返済額の合計】
■当初の住宅ローン借入金額2,400万円の場合
【総返済額】2,497万円
【自己資金】2,500万円
【合計】 4,997万円
■住宅ローン借入金額3,900万円の場合
【総返済額】4,090万円
【自己資金】1,000万円
【合計】 5,090万円
当然ですが、借入金額2,400万円より3,900万円の場合の方が金利負担は増えますので、
自己資金合わせた総返済額も3,900万円の借入の場合が大きくなります。
その差は、10年間で約93万円。
【住宅ローン減税額の比較】
次に 、住宅ローン減税の効果について概算額ではありますが比べてみました。
【住宅ローン減税による減税効果】
■借入金額2,400万円の場合:約154万円
■借入金額3,900万円の場合:約308万円
この方の場合年収が高いこともあり(払っている所得税も高い)、
10年間の住宅ローン控除額の差が約154万円となりました。
つまり、借入金額を3,900万円に増やしてことによって、利息負担は約93万円増えましたが、
住宅ローン減税によって還付される額は約154万円増えることになります。
差引で考えると、借入金額を3,900万円に増やした場合の方が約60万円の経済的メリットがでることになります。
細かい話を言うと、住宅ローン借入金額が増えると保証料も変わります。
ただ、それを含めて考えても経済的メリットはあります。
つまり、今の低金利時代、条件次第では借入金額を増やしたほうがお得になる場合もあるということです。
理由その2:住宅ローンの団体信用生命保険の保障額
また、住宅ローンには団体信用生命保険が付いています。
返済期間中に住宅ローン契約者が、死亡または高度障害などになった場合に、住宅ローンの借入残高をなくし、残された家族に住宅ローンの負担を残さないようにするための保険です。
なので、上の例でいうと、返済期間中である10年間の保障という意味では、
借入金額が大きいほうが、保険金額としてのメリットは大きくなります。
理由③:手元資金を増やすことのメリット(運用など)
自己資金を減らし、借入金額を増やすと手元に残る資金は当然増えます。
この例だと1,500万円手元の残るお金が増えます。
例えば、その1,500万円を10年間固く運用するとしても、何十万円からの金銭的なメリットは出てきます。
ちなみに、1,500万円を変動10年物の国債でシミュレーションすると、10年間の利息が487,500円となりました。
※過去10年の適用金利の実績に基づく試算
※最低金利保証は、0.05%(平成29.5時点)
まとめ
このように考えると、住宅購入の資金計画として、いろいろな考え方ができますが、
必ずしも借入金額が少ないほうが良いというわけではないということです。
ただ、注意しなければならないのは、購入する物件によって
・住宅ローン控除が使えるかどうか
・(使えるとしても)控除される金額の上限
が変わります。
また、住宅ローンの控除額は、
・年収や家族構成
・借入金額や返済期間、
・適用金利
などで変わります。
借入金額が増えると、住宅ローンの審査にも影響する可能性があります。
こういった条件を総合的に判断することが必要です。
ただ、現在の低金利時代…
1人1人のご家族の状況に応じて、お得な資金計画、返済計画はいろいろ考えられる
ということです。
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